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私はねこになる!?  作者: 夢辺 流離
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温泉技師

 小動物が雑草らをくわえて運んだり、モソモソと食べている姿を横目に見てほっこりしながら露天風呂の設計を考える。

もちろん、ただの女子高生だった私に設計師のような真似ができるわけもなく手探りでの活動である。

 ノワーロさんに、訪れる動物達について聞いて、大きさごとに分類する。

小動物用、中動物用、他の3種類に分けることにする。

小動物用はまぁ言い方は悪いけどコンビニのおでんの鍋みたいなものでいいだろう。

中っくらいのは・・・家庭用プールの膨らますやつをちょっと浅めにすればいいかな?

そしてその他サイズはもう、アレだ、結構ばらつきがあるから浴槽の中に段を設けて各の体格に見合った深さまで各自勝手に行ってください!


 と大ざっぱに考えをまとめたところで大地をくり貫く。

背後でノワーロさんのおお!という声や小動物の悲鳴のような鳴き声が聞こえた、みんなごめん。

おでん鍋や家庭用プールはさくっと作り、かなり大きい階段風呂(仮)に苦労しながらもひとまず形にする。

プロの設計士ではない私の強みは現物を模型代わりに好き放題できることだった。

「こんな感じでどうです?」

 と聞いてみれば

「流石ですな。十分ですぞ。ところでごにょごにょ」

 と細かい依頼を受け多少顔がひきつりつつも仕方ないなぁと思いつつもまぁいっかと了承する。

小中他のお風呂(予定)を陥没させて一段下げるとそれぞれの場所へ繋がるルートを整備したりしてご依頼の管理人席用風呂(ただのノワーロ専用風呂)を全体が見やすい位置に設置した。

ノワーロさんはご機嫌そうだ(ふくろうの表情がわからなくても雰囲気で伝わる)。

 細々とした要望をノワーロさんや、お手伝いにきた小動物らから受けて改善する(手伝いにこなかった方々の要望はなし。)と、おし!と気合いを入れて、最初にくり貫いた土砂の中から石だけを取り分けると地面の上で石を変形("シェイプチェンジ"と銘々)で、造った模型の上を覆うように石を薄く広げていく。要はタイルのようなもの。この際、石同士を結合させることができる(ただし成分が異なるとアルルカナンを大幅に増加させる)ことが判明、"ユニファイ"と銘々する。

ツルツルだと滑るので表面を加工して多少のざらつきを浮かばせて


             浴槽完成!


 後は湯脈を引いてくれば完成である。

でもこれ、洗ったりするのどうするのかな。

そのたびに呼び出されるの面倒だなーなんて考えながら源泉へと続く堀を掘り(うまいこと言ったと本人は思った)表面を石で加工して湯道を造る。

問題はどうやって"蛇口"のように開け閉めできるようにするかである。

私に手間がかかるような機構はなるべく避けたいのである。

ちらっとノワーロさんの鋭い爪を見る。

流石に蛇口の開け閉めは無理かなぁと思う。

うーん、板を抜き差しする形にする?

あ、もう、それでいいや。

後は排水を例の2段式濾過装置へとつなげて、と。

ついでに以前造った濾過施設や沸きだし口を加工しようかと思ったのだが、コテっと膝?が折れる。

「アリス様!アルルカナンを使いすぎです!」

 とノワーロさんに止められて延期した。

実際の使い勝手を見るために実際に入浴だ。

ノワーロさんに"栓"を抜き差ししてお湯の出し入れを覚えてもらう。

最初はチョロチョロと。

少しずつ勢いよく出てくる泉湯に居合わせた動物達(一部おっかないの笑顔を見てアリスの顔がひきつる)の鳴き声遠吠えがこだました。

一斉に浸かれる露天風呂に皆満足げである。

専用風呂に浸かりながらノワーロが声を上げる。

「1つ、以後この地での流血を禁ずる。1つ、この風呂を造ってくださったアリス様とその血族マーニ様への手出しを禁ずる・・・」

 専用風呂でちょっとゆるんだ顔じゃ、威厳が足りないよ?


 その後もいくつか決まり事が定められたが私にとって重要なのは私の家族に手出しは厳禁というところだ。

そのために今回のお手伝いをした、という下心もあった。

しかし、今のところはよけいなことは考えず皆で露天風呂に浸かりながら心地よさに浸ろう。あれ、もしかしてうまいこと言っちゃった?えへへ。


 2日間も帰宅しなかったアリスがマーニに怒られたのは言うまでもない。

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