ノワーロ・スーカ
ガリッガリッガリッと3度ほど後ろ足で枝を引っ搔いてようやく樹上に復帰した私は前足を目一杯開いて枝を掴んで、深呼吸ニャう。
すー、ハー。すー、ハー。
ちょちょちょいっと小刻みに足を動かして声のしたほうへと身体を向ける。動物番組のように落っこちるところもかわいい!なんて言えるほど人事じゃないし、高さもかなりあるので。
「改めましてこんばんは、お隣よろしいですかな?」
瞬きもない双子のお月様はなかなか迫力あるなぁ・・・。と思いつつ枝の付け根のほうへ身体を寄せる。
風も衝撃もなく、お隣にふわっと彼?が降り立つ。
全然枝がきしまないんですけど。何?私のほうが思いとかそういうこと?
ピキっとこめかみ(あるのか?)に線が走る。
「私の名前はノワーロ・スーカと申します、お見知りおきを御使い様」
そう言って頭をーー首がないので頭と胴が一体のようだがーを下げられてこめかみのソレもすっと引く。
こちらも頭を下げつつ
「これはどうもご丁寧に。アリスと申します、こちらこそどうぞよろしくお願いします」
と挨拶したところ、
「ふぉぉっ!?み、みみみ御使い様が私などに頭を下げなさってはなりませぬぞ~」
と目をバチッと大きく開いて・・・は元からか。
ズザザーっと枝の端まで滑るように移動すると起用に頭を下げなさる。
「なんでか御使いってことになってるんですが、私はそんなに大したものでもないのでお気遣いなく。」
めめめ滅相もないとばかりに首を左右に振るノワーロさん。
「そもそも私は"御使い"というのがどういう存在か分からないですし自覚もないのです。もしよろしければ教えていただけませんか?ノワーロさん」
と言えば、姿勢を正し、まっすぐこちらを見ながら、
「私のことはノワーロ、とおよびください。御使い様につかれましては四精様からお聞きになられたのでは?」
私は首ごと身体を傾げつつ、
「ノワーロさんは色々知っておいでなのですね。カノ・・・四精達は御使いについては大精霊さんに相談してから話す、と。」
と応える。
「ホー、そうでしたか。そうなると私が勝手に話すと言うわけにもいかず、困りましたな。あ、ノワーロとおよびくださいね。」
「ではノワーロさんのことを教えてくださいませんか?」
「ホホー、私目のことですか。それでしたら構いますまい。あ、ノワーロと及びくださいね。人間達がなんと読んでおるかは知りませぬが、我々はこの森を"スーカの森"と読んでおります。そしてこの森の管理、といいますかなを与えられておりますのが私、ノワーロ・"スーカ"と言うわけなのです」
胸を張るようにどこか誇らしげにノワーロが応える。
「え、ノワーロさんって偉い人?」
と些か間抜けな声で聞いてしまう私。
それを聞いたノワーロさんはハッとした様子で再度ズザーっと端まで移動すると、
「もうしわけありません偉ぶるつもりではなかったのですが・・・」
えっと・・・何コレ?どうしたらいいの?
私は久しぶりに考えるねこのポーズで首を傾げるのだった。




