魔法実験教室
結果から言えば、まぁ最初からうまくいくわけもないわけで。
ほどほどに大きい木を倒すのはなんとかなったのだけれど、板材に加工したりするには少々荒いのだ。
「申し訳ありません、アリス様。勢いが強いほど細やかな操作が難しくなるようでして。少し修練が必要なようです。」
ラグズは少しうなだれているが、私からすればイメージを伝えただけであそこまで実現できたことにビックリである。
「ねぇ、イングズ、地中からこんな石を探すことはできる?」
思い浮かべたのは"ダイヤモンド"である。
もったいないが、粉末にして水に混ぜて使うことで、ウォータージェットの威力が増すとか言ってたような。
そんなことを花の女子高生が詳しく知る訳もないので(知っている人もいるだろうけど)、もちろんTVで見た情報だ。
「ん。」
と短く返事をして、キリッとした表情になるイングズ。
「イングズ、お仕事もらえて嬉しそうなの~」
とはニッコニコで私の背中の毛を撫でているスヴィプル。
いつかハゲるんじゃないだろうか?手が休むことはない。
チラっとカノのほうを見ると眉間に皺が寄っている。
「なによ?」
ヒィ!鋭い視線で穴があきそう!
「ふふふふ~。カノも何かしたいんだって~。みんな働き者なの~。」
スヴィプルが撫でるのをやめたかと思うと私の周りをパタパタと飛び回る。右手が・・・私の右手が勝手に動く!怪我したくなければ大人しくして!もう、本当にウズウズしちゃうから!本能的に!
「ちょっと!そんなんじゃないんだから!」
最早カオスでありました。
「四方10キロにそんなキラキラ石はない・・・」
イングズの声が静かに、だが力強く届く。
ちょっと悲しそう?なんとなくイングズの表情がわかるようになってきたかな?
「そっか。まぁ珍しいものだしいきなり見つかるもんじゃないよね。」
実のところ、私が研磨された後のダイヤモンドを想定してしまっていたのだが。
「その石があったらどうするの?」
イングズがちょっと首を傾げて訪ねる。キュン。
ヤバい、無表情ッ子っかわいいぞ(>_<)
撫で撫で~。私は体で手を擦ってから(一応キレイにしたつもり)、イングズの頭を撫でていた。
右手が・・・私の右手が勝手に動く!なんでもいいから大人しくして!もう、本当にウズウズしちゃうから!女子高生だった頃のかわいいもの好き的に!
その様子をスヴィプルが羨ましそうに、嬉しそうに見ていた。
ってカノも?私が視線を向けるとキッと睨まれたけど。
「砕いて水に混ぜると切れ味が良くなる・・・と思う。」
「ダメー!きれいなの壊しちゃ駄目なの~!!」
うおっと!珍しくスヴィプルが声を荒げる。
「アリス様、どうしてその石なのです?」
うん、ラグズは真面目だねぇ。
「えっと、その石がすごい堅い、からかな?」
「なんで疑問系なのよ」
ひぃっ。カノさん、目怖いです。
「砕いて粉にするんなら、砂とかじゃだめなの?」
とイングズ。
いいのかな?
とりあえず実験だ。イングズに集めてもらった砂を少しずつ混ぜて木をカットしてもらう。
おお!さっきより滑らかじゃん!
結論から言ってしまえば、少しでも混ぜればより「切断」に近くなる。
実際は削ってるのには変わらないけど。
混ぜるのが多すぎると返って良くないみたい。
なにより水を操るラグズへの負担が大きいようで、立ちくらみの後その場に座り込んでしまう。
「ありがとう、お疲れさまね」
ラグズの頭もナデナデ~。
うおっ真面目ッ子の照れた感じと上目遣いヤバいわ!
み、右手が~(以下略)。
とりあえず、切った木はスタッフ(ラグズ)があとでちゃんと薪サイズに切ってくれました。
カノも乾燥させるのを手伝ってくれたのでナデナデしたら睨まれました。
デレはまだ先のようです。
そんなこんなで日が暮れて、今日のところはここまで、となりました。
4人はお外で野宿だというので、一緒に中でどう?と言ったら、
「中でも外でも変わらないじゃない!」
とのこと。誰の台詞かはいうまでもない。
精霊はご飯たべなくていいらしい。
私がほへ~っと思っていたら、御使い様もいらないはずなんですが。
とラグズの苦笑。ああ、空腹で倒れてた時のことですね。
帰ってきたマーニ君と晩ご飯
鞄から出した魚を直前にこそっと葉っぱごと置いておいたのを
マーニ君が焼いてくれて一緒にいただきます、と手を合わせます。
お箸、はどうしようもないのでもはや諦めています。
前足で押さえつけるようにしてあぐあぐ。お醤油ほしいです(ToT)
塩分濃すぎですかね?
野菜が微かのスープをすすってごちそうさま。
ご飯、おいしいのになぁ・・・。