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私はねこになる!?  作者: 夢辺 流離
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名前はまだない③

 結局のところ、水だけをお供に森をさ迷うこと2日にしてようやく脱出できました。まだ未成熟の身体と、周囲への警戒を行いながらであるため、その行程は遅々としか進まなかったのだ。ようやく森を抜け視界も開けてきたが、人里を見つけるのと、身体が限界を迎えるのがどちらが先かは運しだいでした。

 森を抜け、低い身でも視界が広がったのだが、しばらく歩いても人里は見えてこない。背中を冷や汗が流れる。水しか飲まずに3日目。身体はすでにダルい。しかも周りからも見晴らしの良くなった今、警戒は怠れないのだが、集中力が途切れがちです。ぶっちゃけピンチです。身を隠す木々もないし。頼りない身体でトボトボと歩き続けていました。足を止めたらもう動けなくなりそうで歩くしかなかったのです。そして歩き続けられたのはどれくらいだったのか、心身ともに突かれきっていた私に世界は容赦なく、ポツポツと地面を黒く点描していく水滴は徐々に勢いを強め始め、わずかに身体を濡らしながらも木の下へとその身をもぐりこませたところでコテンと身体は倒れてしまい、四肢にも力が入らなくなってしまいました。鳴り響き始めた雷も私のまぶたを開くことはできませんでした。自称神め、絶対ワンパン(正:にゃんパン=ねこパンチ)いれてやr・・・

と思ったところで私の意識も黒く塗りつぶされてしまいました。

 


「魔物かっ!?」


 声変わり前のちょっと高めの少年が叫んだ声は、誰の耳にも入っていないようです。というか魔物です、なんて応える魔物もいないでしょうが全身埃や土で汚れた少年は警戒を怠らず恐る恐る木の下に近づきました。

「子猫??」

 こちらもまた全身薄汚れていて力なく倒れている生き物は洗ってやればなかなかに見栄えはよくなりそうにも見えますが、ギザギザの尻尾に見たことのない毛色に模様。魔物、魔獣の子供にも見えなくもないのです。わずかに躊躇いを感じつつも、今にもどうにかなりそうな毛玉をほうっておけなかった少年は弱々しい、だが確かにある命を濡らさないように、脱いだ外套で包むと駆け出した。

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