真相は未だ闇の中
「アリス様は魔法をお使いになられたいのですか?」
落ち着きを取り戻したアリスと4人の精霊たちは再び会話を始める。
「魔法が使えたら、家とかポンっと出せると思ってたのよね・・・」
眉間にしわを寄せるラグズ、プっと噴き出すカノ、にこにこのスヴィプルは私の頭を無言で撫で、イングズは無表情でこちらをみている・・・ちょっと微笑んでる?
「何よそれ、準精霊でもそんな夢見がちなこと言わないわよ、あはは、ハァ、おかしい。」
カノは地面でバタバタと笑い転げている。むかっ。
「もうわかってるわよ、できたらいいなっておもっただけじゃニャい」
ちょっとふてくされた私はムスッとしてそっぽをむく。
「えっと、アリス様は本当にここにお住まいでいらっしゃる?」
驚愕を張り付けてラグズが問う。
「ええ、そうよ。まぁいるものはあるしいんだけど、さすがに冬になったら困るじゃない?」
「「「「・・・・」」」」
首を傾げる私を4人はジッと見て一息ついて呆れる。
「はぁ?何言ってんのよ!普通ならお社を立ててもらってもおかしくないのに、こんな廃屋で暮らす?ちょっとアンタ本当に御使い様なの!?」
「さすがにこれは1度この家の主を問いつめる必要が「待って待って!」ありますね」
不穏な空気になってきたので私はラグズの言葉を遮る。
スヴィプルの頭を撫でる手も止まっていてなにか深刻な様子である。
仕方がないので、前世のことは抜きに、これまでの私の行動と聞いた話を伝える。
「丸々馬馬とこういうわけなので、お姉ちゃんとしてはなんとか普通に生活できるようにしてあげたいのよ」
「「「「お姉ちゃん?」」」」
あっ、ちょっとだけ余計なこと言っちゃった。
「なるほど、そういうわけですか」
「御使い様が飢え死にするってどんな状況よ・・・」
「確かに、この建物の前の土、ちょっとアルルカナンが豊富だった。」
ラグズ、カノ、イングズの順である。
スヴィプルはますます嬉しそうに私を撫でている。
「ねぇ、結局のところ、"御使い様"って一体何者で何をしたらいいの?」
いきなりこの世界に放り出されたことも伝えたので、カノに「そんなことも知らないの?」と言われずに済んだようである。
「あのねぇ、御使いさm・・・モガモガ・・・ちょっと何するのよ!」
いきなり後ろから口を塞がれたカノが振り向きながら文句を言おうとすると、そこにいた"犯人"はイングズだった。私同様、カノも驚いているようだ。イングズは他の精霊たちにボソボソと何か言う。
アルルカナンによる"通話"は対象外にされると全く聞こえないので何を言っているのかはわからない。ちょっと不安になるよね。
「アリス様、申し訳ありません。ちょっと予想外の事態で、私たちが勝手な判断で伝えるべきではないと思われまして・・・」
ぐっ。彼らにもなんらかの立場があるのだろう。またこの謎は先送りか~。一体"誰"のお使いなんだろう、まさか白い奴!?




