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私はねこになる!?  作者: 夢辺 流離
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新米冒険者パーティ ミーツ 超常現象?

こいつら誰だ!?となるかもしれませんが

私はねこになる!?です。ちょっと長めの一日ですね。


「くそっ!こんな低級ダンジョンでなんでだよ!」

 地下迷宮のことをダンジョンと呼ぶものもいる、という豆知識はともかく、3人の冒険者がいた。彼らはこの地下迷宮を1度突破し、中級の迷宮へと足を伸ばしたが、始めのほうで行き詰まり、低級ダンジョンの下層での鍛錬に訪れたのだった。しかし、下層へと向かう前に運悪く、この階では珍しい(ちょっと)凶悪トラップに引っかかり、庇った仲間が落石のトラップを頭部に受けてしまったのだ。

「リーナ、リーナ!目を覚ましてくれ」

庇われた仲間が必死に叫ぶも一向に目覚める気配はない。

彼らが知ることはないが、打ち所が悪く、脳内で出血を起こしており、

あと少し時間が経っていたらリーナと呼ばれた少女が目を覚ますことはなかったろう。つまり、助かったのである。

「ねぇ、ロイド、ここは一か八か地上に戻りましょう。このままここにいても手の施しようもないわ。」

 事実、低級ダンジョンと侮っていた彼らは回復役も回復薬もろくに準備しなかったのだ。

「くそ、こんな大したこともないマジックバッグなんかのせいで!」

ロイドと呼ばれた少年は、苛立ち紛れに小さな袋を叩きつける。実際はアイテムに目を奪われた自身のうかつさのせいであるが、激情を押さえ込むことはまだできなかったのは年相応かもしれなかった。覚悟を決めてリーナを運ぼうと決めたとき、背後から物音がしたのである。

こんな時に!そう思って二人が振り返って見たものに驚かざるを得なかった。冷静に考えたなら、この階の敵は1種類しかおらず、這いずり回る音がこんな近くまで聞こえなかったということはありえないのだが。ねこである。ねこに見える。しかしこんなところに要るはずのない生き物である。土埃にまみれているが、綺麗にすれば高貴ささえ感じられるのではないか?突発的な新種の魔物か・・・。そんな思いを抱いていたところ、もう一人の仲間が叫んだ。

「ロイド!その仔が銜えてるの、もしかして!」

よく見ればそのねこ?は重たそうにビンらしきものを銜えて引きずるようにしていた。

「アイン!まさか!」

 最後の一人はアインというらしい。アインはロイドの言葉に頷きを返す。もし相手が魔物であったならば、おろかな真似といわざるを得ないが、ロイドはねこ?の前に跪き、真剣に頼んだのだ。

「頼む、なんでも渡すからそのアイテムを俺達にくれないか、いや、ください」

かなり長い時間が経った、とロイドとアインは思ったが、実際のところ数秒ほどであった。ねこ?はロイドの頭に前足をポンポンと乗せると、地面に落ちていた、先ほどロイドが叩き付けた、マジックバッグを銜えると、光がねこ?を包み込み、ただの袋が首かけのちっちゃな鞄みたいになった。不思議な現象を前にぽっかり口を開けているロイドたちの前でシュピっと前足を頭の横に添えると、ねこ?はそのままどこかへと走り去った。アインはいち早く正気に戻ると、

「ロイド!早くリーナに!」

慌てて小瓶を開けてリーナに口伝いに飲ませる、リーナが最早生体反応がギリギリだったので!しばらく様子を見ていると、意識は戻らないものの、脈が強くなり、呼吸も安定し始めた。最早ただ寝ているだけのようである。まだ安心は出来ないが、先ほどの小瓶のことを思えばひとまず問題ないであろう。小瓶の中身は、こんなダンジョンではまず出ることのない、蘇生薬(但し死んで居なければ完全回復する程度の低級)であった。レアなのかそうでないのか複雑な表記であるが、彼らにとっては最も望むものであったのは間違いないだろう。リーナを抱き上げて出口へと向かう2人。分かれ道などで困ったときは小さな足跡があるほうを選んで行ったところ、罠にも敵にも遭遇することなく脱出できたのであった。

あのねこ?が魔物だったのか、それとも神様だったのかは分からない。彼らは最大限の敬意と感謝を込めて右手を頭の横に添える。シュピッ。

今回の件で慢心を捨てた彼らが地道に成長を続け、いつか魔王を倒す勇者になったのだった


         かは分からないが、


割と有名になった彼らの「敬礼もどき」が一地方のギルドを中心に正式な礼となったのを、アリスが自分のせいだと気づくことはなかった。


 余談 そんな未来の話の前に。


 無事付近の村へと辿りついたロイド達3人は、こんな片田舎にもあったギルドへと飛び込んだ。ギルド専門医や酒場のマスターは居らず、ギルドマスターがすべてを兼任していたが。リーナの容態を診てもらったが、ただ、寝ているだけで、じきに目を覚ますだろうとのことだった。

ロイドとアインは漸く真の意味で安堵し、ダンジョンであったことを咳き込むように話した。落ち着いてみれば身に起きた現象に興奮せざるを得なかったのだ。

「だったらリーナさんは気づいてなかった体の悪いところも良くなってるかもしれないわね」

 そう言って微笑んだギルドマスターは奥の部屋へと行ってしまった。

ロイド達は信じてもらえなかったのだろうと思った。実際自分達がギルドマスターの立場でも信じなかったであろうから。


 エイファは自身の執務室へ入ると、一言呟いた。

「まさかね・・・」

 ありえない、と思いつつ、自分の考えた存在がいつまでも脳裏にチラついて離れないのであった。


最近ちょっと不定期更新になってます、読んでくださっている方々には申し訳ないです。次回、アリス視点での鞄ゲットの真実です。

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