問題解決への希望
エイファさんがそう言って手近にあったものを袋に入れてこちらに放ってくる。タシタシと触ってみるが何か入っている感じはしない。首ごと身体を傾げると、袋の入り口のほうを見てみる。中に入りたいウズウズ感が沸きあがってくるがここは我慢の一手だ。
バチッと音がして右手(右前足)が弾かれた。うん、本能には逆らえなかったorz
「それは見かけはただの小袋なんだけど、中に入れたものの質量を感じなくさせる魔道具、"マジックバッグ"なの。袋なのになぜかバッグ。そして内容量は入れるものの質量によるっていう。割と身近な魔道具なんだけど、袋の大きさによって内容量が替わり、大きいものほどレアになる。この村の近くの低級地下迷宮でもみつかるけど、小銭入れにはちょっと大きいけど商売に使うには小さすぎる。そもそも入れ口が小さくてたいしたものが入らないのよ。せいぜい駆け出し冒険者のお弁当袋ってところかしらね。」
苦笑しつつ呟く。エイファさんには見えないだろうケド、今の私の目は漫画のお星様の目になっているかもしれない。テンションアップ中。
「そしてこれはマジックバッグ共通のルールだといわれているけど生物は入れられないみたい。もしかしたらアリスちゃんは入れちゃうかもと思ったけどそんなことはないみたい。」
そして急激にテンションが落とされたのである。魚は無理か。
うーむ果物採取専用?
「ただ、マジックバッグの中では腐敗なんかは進まないみたいで、猟師さんらは捕獲の後、血抜きして入れておくとかして使ってるみたいね」
へー、冒険者以外でも使われてるんだな。包丁とか使えたら切り身にして運べそうなのに・・・。耳をヘタっとさせてションボリしてしまう。
「そんなにがっかりするほど、どうしてねこってこういうのに入りたがるのかしらね?」
私を抱き上げて頭をなでながらエイファさんが言う。勘違いされてるけど、慰められてるのはわかる。まぁ、魚以外にも使いようはある!というかこれは私の必須アイテムと言っていいだろう。右手をニギっとしながらよし!と頷いて、エイファさんの手から飛び降りると、彼女に向かって締まらない敬礼をしつつ、準備すべく私は駆け出したのだった。
「ほんっとに不思議な子ね」
器用にも、苦笑とも微笑みともとれる笑みを浮かべつつ、エイファの呟きが室内に響いたのであった。
名 前 アリス
飼 主 マーニ・フリームノート
クラス 御つかい猫
ステータス
生命力:005(±000) 魔 力:005(±000)
筋 力:???(±000) 知 力:012(±000)
器用さ:004(±000) 精神力:009(±000)
敏捷性:009(±000)
特技
ねこぱんち(Lv03) 発想 飛び(Lv10) 樹上 走行(Lv2)
畑 ワーク(Lv03) ねこ かき(Lv02)
取得称号
飼い 九死一生 キレイ好き 果物大好き 鮭獲 重箱の隅
チャレンジャー 野良 畑の番人 冒険猫見習 New!
迷い 山
とは言え、この後すぐに地下迷宮に飛び込めるわけではありません。
下準備というか、マーニ君のストーキングミッションというか。出来たことが出来なくなるというのは非常にじれったい、そんな思いを痛感する香澄ナウ。もしかしたら自称w神さまの番外編を挟むかもしれません。誰得とか言わないで。