エイファさんと一緒 前編
どうしてこうなった。
エイファさんとお風呂ニャウ。エイファさん、着やせするタイプだったのね、ご立派なものをお持ちです。というか、お風呂あったんですね。
風呂桶に入れられてます、気持ちええ。というかエイファさん、仕事いいのかい?私としては嬉しい限りですが。桶の縁に手をかけて顎を乗っけてます。びばのんのん。富士山ではないけど、目の前の双丘も絶景かや。うん、満足です。ねこになった以上、羨ましくなんかないんだからね!と思っていたらつまみ出されて全身泡まみれにされてます。目をチラッと開けてみれば毛玉ならぬ泡玉がいます。と、上からお湯が降ってきて慌てて目を閉じます。うん、やっぱり耳の位置的に、水は気をつけないと。濡れると意外と細いなぁ。でもやっぱ毛玉のメラメラふわふわのほうがさわり心地良さそうだわ・・・フルフルフルっとっと。ついついやってしまった。
「キャッ」と小さな声を上げながらもエイファさんは笑っていた。頭を指で小突かれたけど別に怒っているわけではなさそう。桶に再び浸かりながら、エイファさんが身体を洗っているのを待っている。う~ん、美人さんだ。いかん、身体がちっこいせいかすぐのぼせるのだ。うへ~。
私に気づいて慌てて洗ったエイファさんに連れ出される。タオルで全身の水気を拭かれる。くすぐったい。ニャハハ。っと首根っこを摘まれて台の上に乗せられる。何か動いてるのが見えて気になって覗き込むと重心が傾いてコロンと落ちてしまう。振り向いてみてみれば・・・なんぞコレ?
「一応ちゃんと育ってるみたいね?また重くなってるわ、フフフ」
前世のものとは仕組みが違うみたいだけどどうやら秤のようですね。
にゃんこの成長具合をみてるだけなのは分かっているのに、重くなってるといわれるとグサッとくるものがあるのです。そんな凹む私を抱き上げて
「やっぱりキレイにすると毛並みがきれいね。さわり心地もこんなに良かったなんて」
と言いながら触りまくってます。私もお風呂に入れて機嫌が良いのです。尻尾が揺ら揺ら。エイファさんもそれが分かるのか撫でる手が止まらない。
「そういえば、飼い猫なんだし、首輪つけないとね」
顎に指を当ててそういって探しに行ってしまう。それほどかからずに帰ってくると、手に持っていた赤いリボンを私の首に結ぶ。枝とかに引っかからないようにしないとな・・・。
「アリスちゃん、この板に手を載せてくれる?」
そういって両手をそろえて差し出してくる。その上の金属板は見たことがない素材のようだったが、エイファさんがよからぬことをするとは思っていない。肉球でそっと触れてみた。




