御使い
「先ず聞いておくが、四精はもとより精霊は御使いに対して基本不可侵のはずだが。先ほどの攻撃はなんのつもりだ」
とはクロエ。
「確かに大精霊様からも口を酸っぱくしてしつこいくらい言われたわ。御使い様に対してこちらからの接触は避けるようにってね。だけどね、御使い様と四精であるまえに私とアリスは友達だもの。ピンチだったら助けるわ。」
とアリスから顔を背けるように言い放つカノ。
「そもそも御使い様が何故二人いて、何故争うことになっているんです?カノはアリス様を助けただけで、あなたを害するつもりではなかったので先ほどの行為は問題ないはずですよ」
「「え?」」
アリスとクロエが同時に発声しお互いを見合う。
カノは拳を握りしめてプルプルと震えている。
「そうか、貴様等精霊も御使いの存在についてそこまでくわしくないのだな。では聞くが、”御使い”とは言うがそもそも我らは誰の使いなのだ?」
私たちはともかくアリス、あんたまで首を傾げるなと怒る声が響いた。
「誰が呼んだのかは分からないが”御使い”という呼び名は正確ではない。我らはこの世界、正しくはこの”星”の観測装置、目なのだ。風も水も大きな流れとなってこの星を循環している。そしてアルルカナンもまた巡るのだ。この純粋な無色のエネルギーはあらゆる存在の生命力を高める効果がある。一所に集まれば過剰な影響を及ぼすことになる。そのため多いところから少ないところへ分配し、均す役割を行うのが”生環の儀”の役割。」
「そんなの、たった一人で全部分かるわけないじゃない」
「”御使い”はこの星の”目”であるとは言ったが、それと同時にこの星の分体とでもいうのが正しいのか、一部にして全部である。大まかなアルルカナンの多寡は星自体が循環するように働きかけている。その支援役として生まれるのが貴様ら精霊というわけだ。そして大きな輪での循環が果たせない詳細なところを部分的に修正するために”御使い”が生み出される」
ーゴクリ。思わぬ壮大な展開に思わず息をのむアリス。
「それを長ければ数千年にも渡り続け、過剰なところと不足するところがあまりにも多く出来て個々に対応出来なくなったとき”生環の儀”によって偏りを防ぐのだ」
「そう、先代様はこの星のために・・・」
カノの呟きは小さく聞こえたのは四精だけだった。
「ーーーだがそれは一面でしかない」




