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私はねこになる!?  作者: 夢辺 流離
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~プロローグ~

 長編初投稿!?

念のためR15指定になっております。

 突然のことだけど、世界が真っ白です!

何だろう?パルテノン神殿?みたいなものも見えるけど、一面真っ白な景色には遠近感も時間の流れも仕事をしていないよな気がします。

一見落ち着いているようで、内心パニックで放心していた私の頭に聴いたことのない声が届きました。


「ふむ、この突発的な状況に対して、ずいぶんと落ち着いておるのだな。関心である。」


 えっと、真っ白な紙に黒の線だけで描いた落書きのようなものが目の前に突如現れました。もうこれ、夢でいいよね?夢の世界から戻るにはどうするんだっけ?こっちで眠ればいいんだっけ??


「おい!聴いておるのか!?」


 現実放棄気味にぼんやりしていると怒られちゃいました。


「えっと、ここはどこで、いえむしろそもそもあなたは誰ですか?」

 

「ワシの言うことを全く聴いておらなんだようだな・・・まあよい。人に名前を尋ねるときはまず自分から名乗るもんじゃわい。」


「ええぇっ、人なんですかどうみても落g・・・」

 すっごいキツイ目で睨まれました。

有栖ありす 香澄かすみです」

 思わず名乗ってしまってましたよ!!目つき鋭すぎです。

「ふむ、頭がパーになってはおらんようだの・・・。チッ。今ここで目が覚める前のことは覚えておるか?」

 ・・・今、舌打ちしませんでしたか?しかも相当気になる発言が聞こえたような気がします。あっ、また睨まれました。仕方ないので思い出してみます。冷静になってみるとどうしてこうなっているのか考える必要があったのです。別に脅しに屈した訳じゃないですから!ひぃっ、すみません。考えが読まれていたのかまた睨まれました。


 前述の通り私こと有栖香澄は、浮かれ気味で危うい前半と、良くも悪くも慣れが出てきた高校1年生を終え、やはり気がゆるんでしまう春休みを終えて今日から高校2年生になる、ということで休み中の怠惰な生活に沈みきった体をむりやり動かして、少し早めに起きて身支度をしていた。高2デビュー!今日から私は変わるのだ!!

 なんてことはなく、単純に休みボケからさっさと立ち直るためだ。

 私がどんな人間かと言えば一言で済ますことができるだろう。成績は優秀と言うほどではなく、かといって下から数えるほど悪くもない。運動はちょっと苦手だが、人並み程度と言って差し支えないと思う。容姿は人並み外れて美人ということはないが、髪や肌の手入れはちゃんとしている。スタイル抜群ということはないが、慌ててダイエットしなきゃ!なんていうこともなく、おいしく朝ご飯を頂いてます、ああ幸せ。

「いってきま~す」

「はいはい、いってらっしゃい。気をつけてね」

 母親に送り出され、近所のおばさんたちに挨拶しながら登校する。文句なしに普通。

 でも私は、積み上げてきた「普通」の16年間に恥じるところはない。むしろ誇らしくすらある。やるべきことに精一杯やってきたと思っている。そしてこれからもそうあるのだろうなんて思いながら、大分見慣れてきた通学路を歩いていた。



「思い出したかね?」

相変わらず頭に響く声で意識が呼び戻された。

「ええ。ですがこんな辺鄙なところにいる理由が全くないのです」

 しまった。考えごとをしながらだったので考えなしに言ってしまった。

「辺鄙なところで悪かったな!本当はもっと美しいところなのだがそれではお前がパーになってしまうのだ」

 といって世界にかかっていた、靄?を落書きさんが払うようにすると視界は一変した。どれだけお金をかけようとも再現できないであろう光景におもわず見入られていると、頭痛が全力疾走して頭が割れそうになる。鼻に熱を感じると、鉄の臭いが強く感じられる。鼻血ぶーである。

「質問の答えだが儂、「神」である。儂とお主等人間とでは存在する次元が違っておってのぅ、脳で認知しようとするとオーバーヒートしてしまうので一時的に情報を制限せざるを得ないのだ」

 ん?今さらっと問題発言しなかったか。神であるとかなんとか。普通ならイタイ発言なんだが、今のを見せられれば条件反射で嘘だーなんて言えなくなる。だから私を鼻血ブーにしたのか、案外性格悪いな、神様よ。

「何か不穏な気配を感じるのぅ。まぁよい。どうやらショックで前後のことをちょっとばかしトんでおるようじゃて。そのへんを少し補足しとくわい。」

 そう言って落書きの指先で空中にチョンと触れると、制服姿の女子高生が道を歩いている姿が映し出される。 

「春休み前と同じように通学しておったお主は、途中で小学生を見かけたのじゃ。春休みがその小僧の方が長かったのじゃろう。その付近にある公園にでも遊びに行こうとしておったのではないか?サッカーボールに夢中になっておっての、周りが見えておらんかった。」

 なんだろう、この嫌な予感というか、もう先が一つしか予測できない。

「蹴り外したボールが路上に転がってしまい、追いかけたところに車が来ておってのう」

 私は思わず目を閉じた。

「車に跳ねられて怪我を負うところじゃった、本来は。しかし儂等の予想を飛び越えてお主がもっそい勢いで飛び出して小僧を歩道へとはじき出して助けよってのう。その結果、お主が死んだという訳じゃ」

 ・・・そんなあっさり言われてもというのが本音である。

「予定になかった事故により慌てた担当が知らせてきた頃にはお主はポックリいっておってのう・・・。わずかでもいきておったなら奇跡的に無事だったで済ませられたのだがさすがに蘇生はできんのじゃ。スマン」

 スマンって軽すぎだろ、神様。

「事故のショックでパーになっとるならさっさと成仏させてやろうと思っておったがざんn・・・なんとか魂は無事であったのでな、多少の融通は利かせてやろうかと思ってここに呼んだのじゃ何かあるかの?」

 今何か不穏なことをいいかけなかったか・・・?

「よみが 「だめじゃ、それはできん」」

 おもいっきりカブせられました。

「さっきも言ったように蘇らせられるならすでにやっておる。」

「じゃあ何だったらできるんですか!?」

 少し強い物言いになってしまったのは仕方ないだろう。

「うむ、そうじゃのう。転生の際に少し色を付けてやれるといったところが妥当じゃな。」

「転生先を選んだりは?」

「できぬ。もともと転生とは試練なのじゃ。故にその条件に至っては完全にランダムじゃ、選ぶことはできん。それとも成仏しちゃうかね?もともとあの小僧はたいした怪我をすることはなかったのじゃ。はっきり言ってお主の死に損というか。この状況はいわば儂の恩情といったところでな。それほど融通はきかんと思ってくれてよい」

 えー半分脅しじゃないですかヤダー。

「さっき予定外の事故って言ってませんでしたっけ?そちらの管理怠慢じゃないんですか?」

 ちょっとイラッとしたので強気に出てみました。神様?なんか汗が滴ってますよ?視界はおかしいですが、住み心地は抜群の環境なんですがね・・・。

「えーい、うるさいわい!多少サービスしてやるのじゃからさっさと行かんか!」

 そう言うと私の背後に出来た空間の歪み?もちろんそんなもの知らないので、それっぽいものが発生して私は飲み込まれていきました。

さすが神様・・・やることがキタナイ・・・それが私の、有栖香澄としての最後の思考でした。

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