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これが本当の戦闘技術

 




アルたちの目の前のフィールドにはアックスに手を掛け不適に笑い相手を見るrooooがいて、少し離れた前には盾を持った戦士がそれを鋭い目で見ている。

 相手はⅥクラスの643レベのナイトであり、その実力を持ってして数日後に学院を卒業しダンジョン攻略へと参加を決められていた人物だった。


「君が先日600レベに到達した人物か……君の名はよく聞いている、レベル500台にして600台のプレイヤーを倒したというその実力はかねがねよく耳にするよ。 だからこそ、此処を出て行く前に君と当たることができてよかった……君の600に到達して得た力を俺に見せてくれ!」


 それを聞いたrooooは軽く頭を下げる。

 そして、それを見た騎士は高らかに叫ぶ。


「俺は! ギルド【クレイモア】福マスター、聖騎士パラディンのLocoloco! この試合で君に本当の壁というものを見せてあげよう!」


 その声は会場全体へと響き渡った。

 それを見て聞いたアルは心の中で笑う。 


「そんなことを言ったら…」


 隣で隠れ桜がそう呟く。


「あぁ…完全に火が付いちまうな。 せっかくあいつ戦闘まで我慢してたのに爆発しちまうぞ」

「ですね…」


 そう言うアルと隠れ桜だったが心配の色は見えなかった。







■□■□







「俺は! ギルド【クレイモア】福マスター、聖騎士パラディンのLocoloco! この試合で君に本当の壁というものを見せてあげよう!」


 そんな事を言われた当の本人は心の中の歓喜に打ちひしがれていた。 レベル600での初陣がこの人でよかった、こんなに強い人と戦うことができ相手も全力を求めている、そんなシチュエーションに震える腕を体を止めることができなかった。

 笑っていた口を閉じ真剣な目に気持ちを変える。 これから始まるのは遊びじゃない本気の殺し合いだ。

 名乗りも上げられたならば自分も最大の敬意を払って名乗り返そう…。


「ありがとよ…先輩。 俺は嬉しいぜ、あんたみたいな人と戦うことができて……だからこそ! 我が斧に懸け聖戦となすことを誓う! 俺の名はroooo! ギルド【Exactly】戦闘用員、ページ! この試合でその壁というものを打ち砕いて見せよう!」


 お互いの名乗りが終わり互いが自身の半身…獲物に手を掛ける。


「いい名乗り合いでしたね…、ではこれより第7試合を開始する」


 担当の教官がそう言い手を振り上げる。


「始めっ!」


 そして試合の火蓋は切って幕をあげた。

 

「はぁ!」


 腕を振り下ろした瞬間に体制を低くしたrooooが己が身体能力だけで数メートルあったLocolocoとの距離を埋める。 そして振り下ろすアックス。 小手調べにと振り下ろされたアックスはLocolocoの持つ盾によって逸らされ地面を抉る。


「甘いな…飛べぇ!」


 Locolocoが手に持つ長剣の腹で隙だらけのrooooの腹へと振り抜く。


「がぁ!?」


 一瞬でつめた距離は一度の攻撃で引き離される。


「スキルなしでその運動能力…ジョブ補正といえどいやはや流石としか言いようがない。 だがまだまだだ、かかってくるがいい。 壁はまだまだ崩れんぞ」

「行って…やろうじゃねえぁああ!」



 またもや体制を低くしアックスを下に構える。


「ぶっ潰すぞ! オルエルラ!」


 発動。【アクティブスキル:バトルシンクロ】


 rooooが自分の武器の名前を叫びスキル発動が発動しrooooの持つアックスに赤い炎が灯る。


「ほぉ…。 ならば…」


 rooooのスキルを見て何かを感じたのかLocolocoは盾を前にかざしスキルを発動する。


「守よ」


 発動。【アクティブスキル:ブロッキング】


 発動と共にLocolocoの目の前に巨大な盾のエフェクトが現れ徐々に盾に合わさっていく。 最終的にLocolocoの持つ盾の二周りほど大きな位置で幕を張り止る。

 ブロッキング、自身の盾を強化し物理攻撃、魔法攻撃に対する耐性を上昇させるものだった。

 瞬間、rooooが溜めた力を爆発させ飛びかかって来る。


「はああぁああ!」

「来い!」


-ガギィン-


 鋭い音と共に交差する盾と斧。

 そして続けざまに続く音、音、音、音、音。 

 すべてが重く鈍く一撃当たればただではすまない攻撃を涼しい顔をしながら守り、時には流し守に徹するLocoloco。

 それでもrooooは攻め続ける。 此処で途切れてはペースを持っていかれる、状況は悪くとも流れを保つために。 だが、


「ふっ」

「やばっ」


 緩急の付いた弾き飛ばしによりrooooの攻めが途切れる。

 rooooは押し切れないと判断するとすぐさまバックステップを踏み離れようとするが、Locolocoがそれを許さない。 後ろに下がるrooooに張り付くように近付きスキルを放つ。


「剣よ!」


 発動。【アクティブスキル:スラッシュエア】


 振りぬいた剣から光の波動が飛びrooooを襲う。


「っつう…ありゃぁあ!」


 至近距離から放たれた波動を受けるがうまくアックスで受け止めることに成功し、多少のダメージを追いながらも離れることに成功する。

 この世界の戦いにおいてはゲームの違い、連続してスキルを放つことができないのだ、その為Locolocoも追い討ちを掛けることをしなかった…いや、できなかった。 ゲームにおいて繋げて放てるスキルもリアルでやれば体勢というものがあり無理な姿勢ではスキルを放つことも攻撃に転じることも難しくなる。 ならばどうやって戦う? 戦いにおいて重要なものは? 勝つためには? と言われれば、それは補助バフスキルと言うしかなかった。

 そしてrooooの持つアックスの炎が赤から青へと変わる。 


-ドクンッ-


 それはrooooから発せられた音なのか、はたまたその手に持つアックスから発せられたものかは分からない。 だが一つだけLocolocoにも、それを見ていた者たちにも分かることがあった。


「さぁ」


 それは、


「こっからが本番だ」



 アックスから全身に移った青き炎を纏い凶悪な笑顔を見せる。

 そんなrooooを見て発動してはならないものを発動させてしまった。 ……と。 

 




□■□■





 状況は最初に戻っていた。 rooooが怒涛の攻めを見せ、Locolocoは守に徹する。 此処までは違いなかった。 が、


「っふっは、せぃ、だらぁ!」

「く……」


 その巨大なアックスを玩具のように振り回し攻めるroooo、それに対し余裕の表情が消え本気で守に徹するLocoloco。

 聖騎士パラディンの要である防御スキルを使えずブロッキングと自分の力だけで守り抜いていくLocolocoには余裕がなかった。

 それを理解しているrooooも今がチャンスと攻めに攻め、攻め続けスキルを発動させる暇を与えない。 アックスを上から振り下ろし流されればそのアックスを軸に蹴りを放ち、横から放ったものが弾かれればその力を使って回転し再度攻める。 そんな大振りの攻撃でも止められることはない、とめることができないのをLocolocoも理解していたからだ。 

 rooooが発動したスキル【バトルシンクロ】はページ、グラディエーターと重装備を使う職にはポピュラーなスキルであり、その効果はダメージ蓄積および時間経過による自身と武器のステータスの上昇スキルであった。 最初の赤は上昇スキルだけであるが、ダメージ又は時間が一定数超えれば青に変わりバフ効果が付く、それがSAスーパーアーマーだった。

 攻撃耐性が付いた相手に攻めに行くことはできず、だからといって守ってばかりでは自身の体力が削がれていくのは目に見えている。 

 だからLocolocoは賭けに出た。


「っせい!」

「あめえ!」


 アックスの上からの大振りを弾くがそれに対応した下からの蹴り上げが迫ってくるが、それを予想していたLocolocoはスキルを発動する。


「守護の盾よ!」


 発動。【アクティブスキル:プロテクトウォール】


 自分に対する攻撃をほんの数秒間無効化するスキルを発動し間一髪で間に合う。

 そしてひらくrooooとLocolocoの距離。


「あぶないね…。 しかし、このスキル体力持って行かれるから嫌だったんだよねぇ…しかたないんだけどね」


 今だ戦闘中なのに飄々としゃべるLocolocoになぜか先ほどまで攻めていたrooooは攻めに行けなかった。


「どうなってやがる…」


 そんな呟きにも反応せずしゃべるLocoloco。


「あーくそ、別に嘗めてかかったわけじゃなかったんですけどね…それも含めて今回は俺の落ち度か…」


 そう言って手で目を覆う。


「わるいですねroooo君、最初から本気で行くべきだったんだ。 君もそれを望んでいたはずなのにどこか心の奥で余裕が生まれてたんだ、所詮600なりたてだと…」


 そして手を離す。


「っ!」


 その目は本当の殺気を帯びた目だった。


「出し惜しみは無しだ」

「っつ…」

「第3ラウンドと行こうじゃないか」


 その言葉と共に武器を構えなおすLocolocoにrooooは額にたれる一筋の汗に気づくことはなかった。



 _to be continued.

今回の補足~

バフって一定時間キャラクターの能力などを強化するタイプの、スキルや魔法のことですね。

反対はデバフって言います。 相手から受ける能力低下の攻撃ですかね。

それとSAスーパーアーマ、簡単に言えば敵の攻撃を受けても怯んだり攻撃が止まったりしないという意味です。

たとえば攻撃スキルを使おうとした所を相手に殴られ体勢を崩し放てなくなる…というのをなくすバフですね。

さて今回は戦闘前編、イメージは攻めと守り、斧と盾……、まんまなんですけどね、ちなみに今回登場のLocolocoさんは話し考えながら急遽作らせていただきました。

理由は簡単、斧使いって攻めなら他の職の攻める職と叩き合うよりは守る奴と戦ったほうがよくね?ってなったんですよね、因みに遠距離職or魔法職とは戦わせる気はなかったでござる。

まぁどうでもいいよね!

また次回にお会いしましょう 

さて何ページだ…?

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