みっけ
この学園は町の4分の1を占めるほど大きく広い。
学院自体は神白沢市の西の位置の存在し、学生寮を中心に北に城門と門、南に生産者たちの砦、此処が我らの最果てと言う名の食べ物から武器、日常道具まで扱っている市場のような商業地が展開されており、そこでほとんどの物が揃う為隣り合う様に学院と寮が造られたらしい。
そして東にはダンジョン攻略者たちの総合的本部、本部。 そのままだが本部と言う名の場所でありほとんどの8英雄が其処に住んでいる…とされている。
そしてアルたちが通うリリアス学院であるが教室などは正直なところ必要最低限分しかないと言う学院である。 理由はかねがね予想は付くだろうが学園のその3分の2を実技用のフィールド、練習用、対人専用、スキル発動専用場所……などなど主に戦闘用の実技スペースになっている。
もともとこの学院の意味自体が自分の力をつけるためなのだからそこは分かるが正直なところ座学と言う科目は無い……というに等しい、あってもダンジョンの結果発表などその他もろもろの注意などが主だからだ。 べべリアのように担任も付いているがこれもほぼ連絡用と監視用といってかまわない存在だろう。
まぁ例外なもの以外は生徒との仲は良好である。
そして普段ほとんどいない教室にアルたちとその他のクラスメートたちもちらほらとおり、各々が好きな時間を過ごしている…。
時はそうお昼休み。
そのグループの一つの4人グループは一際目立っており異色の空気を出している。 個人の机ではない教室では長机を利用しておりその机を囲むように集まっている4人。
一人はニコニコとお弁当を食べ、一人はパンをおいしそうに食べ、そして眠そうにだるい顔をしているの者となぜかむすっとしている者も一人ずつ。
もちろん前者がアルであり後者が隠れ桜である。
「まぁ…いつのことのようでいつもと同じ状況じゃないんだが……毎回言ってると思うけが一つ言わせてくれ、何故いる」
その言葉をいつのことのようでいつもと同じ状況じゃない原因に向かって言うのだが、
「って言われてますよロー君、いつもと同じ状況じゃないんですって、んむっ」
「はぐっ…んぐ…………?」
「ずずず」
本人のルサルカには通じずrooooに流され、そのrooooすらパンを食べるのに必死であまり理解されていない、通常時で通じるかといわれればNOと言わざるえないが…そして唯一通じる隠れ桜はイチゴ牛乳のパックのストローを咥えてずずずずと鳴らしながらじと目でこちらを見てくる始末。
「はぁ…」
おでこに手を押さえため息。
「気にしないでくれ…」
「ずずずずず」
「……ん? …っは。 どれどれ」
そして手を当てるあるに何を思ったかアルの真正面に座っているルサルカがその体を乗り出しアルのおでこに自分の手を当てる。体調が悪いんですか? と気遣うような目線で。
「うおっ、大丈夫だって!」
「ずずずずずずずずっ…すすっすすすっす」
唐突な行動に多少あせりながらも対処するがルサルカの行動ともにイチゴ牛乳のパックをすう音がでかくなるという。
「本当に大丈夫なんですか? 体調が悪いなら少しでもましになるようにブレイブ使いますが…」
「大丈夫だって、怪我とかそー言うのじゃないから……、それと桜…無くなってまで吸うなよ…」
隣でずっとススッスーーとならす隠れ桜に対してそう言うと、彼女はパックジュースを握りつぶし。
「捨ててくる」
そう言って立ち上がり教室の外へと出て行く。 立ち去る際にアルに対して冷酷な目線を忘れずに。
「……? 捨てるのであればインベントリに入れて後でまとめればいんじゃないんですか?」
そうルサルカが不思議そうに疑問を口に出すがそれをrooooが答える。
「あぁ、それは新しいのを買いにいったんだろ。 ほらあれだ活動メダルのやつ」
「あの担任の方から送られてくる市場の商品と交換できるメダルですか……」
「あのメダルはこの学院の購買やらで物と交換できるんだよ」
ルサルカの言葉に答えるようにアルが言うとあー、んー? と考えるが疑問になるルサルカだった。
「なんだルカはそんなのも知らなかったのかよ」
「えと、その…」
「まぁ寮で弁当作ってくる自炊はのルサルカ嬢には関係話だからな」
「そ、そーです!」
ふーん、まぁそんなもんか。 とだけ答えたrooooは俺もジュース買ってくらーと席を離れていく。
そしてrooooが消えてルサルカが大きくため息を吐く。
「どんだけ余裕無かったんだよルサルカ嬢…」
「あははは……」
あせったのか少し顔が赤いルサルカは申し訳ないように笑う。
「でも大丈夫ですよ。 今は余裕ありまくりですから!」
「そーかい、そりゃいいこっちゃ」
「これもアルのお陰ですけどね」
そう言って微笑むルサルカは本当に心のゆとりができているのだろうと見ているアルですら分かるほどだった。
「あと明日のお話なんですが」
「うんうん、明日はわい空いとるで、なんやデートでもするか?」
「え、本当ですか!? …って誰ですかあなたはっ!?」
と、いつの間にか隣に座っていたビールと柿ピーこと柿ピーに対し顔を綻ばせたり驚いたり忙しい子だ。
「なんやアル、この可愛い子は……。 ぐっと来るわ!」
「まぁ見ていて面白いな」
「てかあんさんはまたどこでフラグ立てたんや…、ん? ん? このおにーさんに言うてみ? やっぱあれか? 試合がフラグやったんか!?」
と、これまたいつの間に俺の隣に着たんだ…と思うほどの速度でアルの隣に座り肩を組み耳元で話しかけてくる。
「と言うかその試合がフラグってローと同じ発想だな」
「なん……やて」
ローと同じ発想と言うことにひどくショックを受ける柿ピー。
「あの…アル? この方は…?」
「ん、あぁ忘れてた」
そこでやっと本題に入ることができる。
「こいつはこのクラスの元締めの似非関西弁野郎の柿ピーだ。 ヨロシクやってくれ」
「えっと、似非関西弁野郎の柿ピーさんですか…。 ………………………ヨロシクです」
「なんやその間は! それに似非や無いからな! ほんまもんやからな!」
凹んでたところから一気に生え突っ込みを入れる柿ピーにちょっと押されるルサルカ。 それを見て元気だなあ、とお思うアル。
「えと…すいません柿ピーさん」
「うむ、素直な子は好きや。 んで? 明日デートやっけ? ばっちこーい!」
「すいませんお友達で」
「告白しても無いのに振られたよ!? アルちゃん!」
「知るか…」
「ひどいっ」
「で、明日のお話なのですがアル。 明日前の公園で集合でいいですか?」
ああ、技術の鍛錬の話かと思い至ったアルは一つ返事で了承を出す。
「なんや自分ら! わいだけのけもので遊ぶんかい! ひどいにもほどがある! アルだけに」
「だまっとれ柿のおまけのピーの分際で」
「口に出してはならないことを言いおったな! わいがビールと柿ピー食べながら必死こいて考えた名前を!」
「必死じゃないですね…」
「だから自分は……」
「あん…」
「…」
ぐだぐだ。
「で? 実際なんの話しなんや? ここまじめに話してくれてもいいで? 力になれることは力になるで」
落ち着きを取り戻した一行はやっと本題に入ることができ柿ピーがまじめな顔でそう言う。 頭には柿の種とピーナツがのっているが。
「えと…その…」
そんな柿ピーをみて頭のことを言いたいのか鍛練ことを言いたいのか迷ってアルの顔をちらちら見るルサルカの気持ちを理解し頷く。
「ほっ…」
「なんやその熱いアイコンタクトの結果は」
「とりあえず、頭に柿の種とピーナッツ乗せるならビールを乗せて最後までやり切れよ。 だから似非関西弁なんだよ。 なっ」
「違います!」
「なんやと…」
「だから…」
閑話休題。
「ふむ…なるほど。 朝集まるのは身体能力の鍛錬ってわけやな」
「はい…」
言っていってもよかったんですかと言う顔をするルサルカ。
「別に隠すほどじゃないさこの程度。 それが奥義とか言って盗まれたくないと言うのならあれだが」
「ないですけど…」
それでも不服そうなルサルカ。 なんだ? 二人の秘密とでもしておきたかったのか? など思う。
そんな空気の中。
「なんや! そんなことならわいにも最初から声かけてえな!」
「え?」
「まぁルサルカ嬢は知らないだろうが、こいつ現在はランサーの職業で元剣道経験者なんだよ。 まぁ思い出したのはさっきこいつが着てからなんだが」
「ええ!?」
「ひどいわ~あるちゅぁ~ん」
「黙れ死ね」
「ひどいっ忘れてたくせに!」
泣きまねしながら迫ってくる大の男にネタとわかってなおガチ引きするアル。
「だいたいお前が前、この職と剣道関係ないから忘れてくれてもいいとかなんちゃら言ってただろうが!」
「いやまぁ…そうなんやけどな? 実際いったんやし忘れるって言うのもどうなんや…?」
「あのころの俺はある意味厨二病発揮してたからな…」
「そういやあの時期に言ったんやったな」
「まぁそんなことでこいつが居ればお前の剣術と類なすものがあるしいいんじゃないか? と思ってな、其処の所ルサルカ嬢はどうなんだ?」
その言葉にはじけるルサルカ。
「大賛成です!」
「即答か」
「即答やな…しかしご指名されちゃったわ。 これはフラグたったんや無いか!?」
「稽古相手で」
「お友達より格下げっぽい!?」
またもや凹み机に突っ伏す柿ピー。
そして帰ってくる出て行った組み。
「なにこれ…ずずず」
「なんで柿ピーつぶれてんだ?」
カオスだった。