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紺青のユリ  作者: Josh Surface
第十三章「兄弟の対立」乙女編 西暦24~25年 9~10歳
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第十三章「兄弟の対立」第二百五十八話

親愛なるお兄様達へ。


私ユリア・アグリッピナは、ネロ・カエサルお兄様、そしてドルスス・カエサルお兄様の事を心から今でも尊敬しております。


「ドルスス、この間の首都長官就任おめでとう!!凄く兄貴として誇りに思うよ!」

「ネロ、何の用さ?」


既にお兄様達よりも年齢を重ねた今でも、私の年老いた瞳の中には、幼い頃の光景が目に浮かぶのです。それはお二人がとても仲が良かった頃で、パラティヌス丘を三人で遊んでた時。


「おいおい、そんなにとんがるなよ。昔はお互いに仲が良かったんじゃないか。僕も最近分かったんだよ。自分らしくなかったって」

「だからって、自分がやってきた事が許されるとでも思っているのか?お前は何を作ってきたんだよ?!」

「ドルスス、今日はケンカしにきたわけじゃないんだ」


あたしが計算ができなくて、哲学者を役者と勘違いして、真似ばっかりしてましたっけ。お兄様達のケンカを初めて見たのも、あの頃でした。


「これが何だか分かるか?ネロ」

「そ、それはエトルリアの黒い硬貨!しかも二枚!」

「これは硬貨なんかじゃない、セイヤヌスさんは、これは単なる魔除けのお守りだと教えてくれた!」

「セ、セイヤヌスだと!?」


それでも私は、時の流れを操る神クロノス様がいるのなら、すぐにでもあの頃の時に戻して欲しいと願います。覚えてらっしゃいますか?三人で一緒に見たローマの虹を。


「ドルスス!お前はエトルリア人の恐ろしさを知らないから、まんまとセイヤヌスなんかに言いくるめられてるんだ!」

「言いくるめられてるのはお前の方じゃないか、ネロ!固定概念で物事を決めつけ、そして、人の人生まで振り回して!挙げ句の果てに、僕が首都長官になった、媚をうるつもり!?」


あの頃の私は、リウィッラ様とセイヤヌスの不義を目撃し、結婚や信頼という漠然とした未来に、幼いながら不安を抱えていました。でも、ネロお兄様?貴方は私にこんな素敵な言葉を残してくれたんですよ。"少しでも相手の事が信頼できなかったら、自分から相手を信じればイイさ。少しでも相手が自分の事を信頼してくれなかったら、信頼してくれるように頑張ればイイのさ。"と。


「お前は分かってない!それこそ怪しいトゥスキのやり方じゃないか!どんなことがあっても信用してはいけないんだ!」

「トゥスキというな!エトルリア人を差別するな!彼らの文明は、このローマの全てを支えてくれている!その上にのさばっている理不尽なローマ人こそ、まさにネロ!お前の人生を象徴しているじゃないか!!」

「なんだと!?」


その後に大雨が降ってきて、三人一緒にびしょ濡れになりました。でも、なぜかその後がびっくり。急に雨があがって、水滴で輝いたローマ神殿の空に七色に輝く虹の橋がかかり、まるで桃源郷のように、うっとりするほど綺麗で平和な世界だったこと。ドルススお兄様、貴方は本当にネロお兄様を尊敬されていましたね?。っても穏やかな笑顔で、虹の橋を眺めながら、とても素敵な言葉を掛けてくれた事を覚えてらっしゃいますか?


「ネロ!セイヤヌスさんはな!お前のくだらない差別によって傷ついたサルビアを救い、わざわざ僕との誤解を解いてくれたんだ!人の言いなりにしかならないお前が、壊した信頼を取り戻してくれたのは、セイヤヌスさんだけだった!」

「いい加減にしろよ!ドルスス!お前がそこまでお母様ーの政敵と手を組むというなら、こっちにだって考えはあるんだぞ!」


"ネロお兄様の言う通りだったな?どんな時でも、この虹の橋を忘れないようにしような。" それが私に残る、三人で手を繋いだ最後の記憶なのです。そして、この時に見たローマに架かる信頼という名の虹の橋こそ、私が一生忘れられない光景だったのです。


「ドルスス!お前とは決別だ!」

「望むところだ!ネロ!」


続く

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