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紺青のユリ  作者: Josh Surface
第二章「母」少女編 西暦18年 3歳
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第三章「母」第二十三話

アントニアお祖母様。

私の大好きなおばあちゃんっと言ってもまだまだ若い50代。ギリシャのアテナで生まれているのか、あまり派手な服を選ばず、しっとりとした落ち着きのあるチョイス。でも背はすらっと高くて、性格はまるで子供心を忘れていないお転婆さん。何より自然な笑皺がとってもチャーミングな女性。あ!因みに御本人の前で、『お婆ちゃん』とか『お祖母様』は禁句になってて言っちゃいけなかったんだ…。


「ウィプサニア~!よくいらしてくれたわね~。」

「いつもいつも、アントニアお義母様お招き本当にどうも、ありがとうございます。」

「いえいえ、いいのよ。娘のリウィッラもすでに料理して待ってるわよ。」

「本当ですか?!私も何かお手伝いしなければ。」

「今日は、ほら!お客様なんだから。あら~!こちらがリウィッラちゃん?」

「はい…。」


私達家族は、謁見など宮殿へ出向く時には、必ずアントニアお祖母様の所へ立ち寄る事が恒例になっている。


「娘の名前からつけてくれたなんて、とっても嬉しいわ~。」

「こちらこそ、とっても光栄です。」

「ゲルマニクスに似てなくて良かったわ。だってあの子に似るとイビキがうるさくなるから。」

「ウフフフフ…。」

「アハハハハ!」


お母様は先ほどの宮殿よりも、随分とリラックスしているようで本当に良かった。アントニアお祖母様とは血の繋がりは無くとも、実の子供の様に可愛がってもらっているからだと思う。


「ドルスッスさん。いえ、皇帝継承者なのだから、ドルスッス様とお呼びした方が宜しいかしら?」

「お義母さん、何か照れ臭いですよ。それに僕とゲルマニクスはまだまだライバルですしね。」

「あの子は意外に頑固でしょ?ドルスッスさんのライバルだなんて、まだまだですよ。」

「いえいえ、僕の方こそ見習わないと…。今宵はお招き、本当にありがとうございます。」

「今日はうちのゲルマニクスの代わりに、可愛いウィプサニアに付き合って宮殿まで連れていってくださって、本当に心より感謝しております。」


私達もご挨拶をした。先ずはネロお兄様から。あ!もし、お姉さんと呼ばなかったり、お祖母様などと口走ったら、しっかりと『くすぐりの刑』で怒られる…。


「アントニアお姉さん、本日はお世話になります。」

「はーいネロくん、貴方はいつも本当に礼儀正しい子ね。」

「アントニアお祖、いや、アントニアお姉さん。こんにちわ。」

「ありゃ?ドルススくん、また鼻水が…。」

「鼻水ですか?垂れてないですよ…。」


それでもアントニアお祖母様は、自ら自分のトゥニカの裾をギュッと伸ばして、ドルススお兄様の鼻を拭く振りして、『くすぐりの刑』を始めた。


「うっひゃひゃひゃひゃーー!」

「ドルススーーー!今言ったな!?」

「ウヒャヒャヒャ!アッヒャヒャヒャ!」

「誰がーーーババアだってーーーーー?!」

「そんな事、ウヒャヒャヒャ!言ってないっす!アッヒャヒャヒャ!マジ本当に!くすぐったい!」

「お前ーーー!今、『祖母』の『祖』まで言ったろーーー?!」

「すいませんす!アッヒャヒャヒャ!申し訳っす!!!アントニアお姉さん!!」

「よっしゃ!それでいい!」


ドルスッスお兄様はようやく刑から解放された。その後に、次女のドルシッラは一生懸命ご挨拶をした。


「おばーちゃま、こんににちちわ。」

「ハイハイ、コンニニチチチチワ~。よくできまちたね~。ねぇ?ドルシッラちゃん。」


ドルシッラはキャッキャ喜んでる。

そして私はゆっくりお祖母様に気が付いてもらうよう、じっと待ってた。


「あれ?!ユリアちゃーん!!!もう!こんなに綺麗になって!待ってたんだから~!」

「アントニアお祖母様!」


私は堪らずお祖母様に抱きつくと、お祖母様はいっつもほっぺにキスをしてくれる。実は私がお父様のほっぺたに三回キスするようになったのは、アントニアお祖母様から教えてもらったから。


「あ!そう言えば、ユリア今言った~。」

「え?」

「ユリアちゃん?言っちゃったわね。」


ニヤニヤとアントニア様が笑ってらっしゃる。あ!あれ程気を付けてたのに…。気が付くと私は『お姉さん』によって刑の餌食としてくすぐられ、頬っぺたが痛くなるほど笑った。


続く


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