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紺青のユリ  作者: Josh Surface
第十章「亀裂」乙女編 西暦22年 7歳
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第十章「亀裂」第百九十二話

外でのドルスス兄さんは、とてもエッチだった。ところ構わずサルビアの身体を求め、サルビアもそれに応えるように兄さんを赤子のように包んでる。


「あ…。さすがアントニウス様の血を受け継いでる殿方だこと、手を動かすのも早いんだから。」

「だって、サルビアが今夜は可愛がってくれるって言ったんじゃないか。」

「そうだけど、あ…。こんな外では。」

「外だからいいじゃないか。それに暖かくなるだろう?」


やだ…。

くちづけよりも、もっと凄いのがあるの?私は壁際から両手先を必死に壁につけて、ジッと観察していた。どうしよう?なんだか胸がドキドキしてきちゃった。


「サルビア、僕は君を愛してるよ。」

「私もよ、ドルスス。今年よね?成人式は。」

「…。」

「どうしたの?」

「何でもない。」

「だめ、ちゃんと言って。」

「何でもないよ。」

「言わなきゃ今夜はお預けだよ、ドルスス。」

「わ、分かったよサルビア。」


ドルスス兄さん…。

もう!まるで餌を取り上げられていうこと聞く飼い犬みたいじゃない。恥ずかしいな。


「今年も無理なんだ。」

「え?!」

「僕の成人式。」

「はぁ?!どうして?あんたの兄さんネロは、二年も前に式をあげてもらったじゃない。一つしか年が変わらないのに、なんで今年も成人式をあげてもらえないのよ!」

「仕方ないじゃないか。母さんがいううには高度な政治的判断だって…。」

「そんなことで諦めたわけ?!」

「抵抗したさ!でも今度はネロ兄さんもやってきて、喧嘩になって。」

「それで負けておめおめと逃げてきたわけ?」

「違う!兄さんの顔を殴るわけにいかなかったからさ。」

「結局、ドルススはお子ちゃまじゃない。言いなりになって、言い訳ばっかり。あたしとの約束はどうなるの?!」


約束?

ドルスス兄さんはサルビアと何かを約束されていたんだ。何だろう?


「サルビア、お子ちゃまって言い方は酷いじゃんか。大丈夫、ちゃんと二人一緒になれるさ。」


二人一緒?!

へ?何なの?


「私、ローマ市民でもない未成年者なんかとは、絶対に婚約しないから!」


そう、いくらローマ市民の子供として生まれたとしても、成人式をあげてもらえなければ、一人前のローマ市民と言えない…って、ドルスス兄さんが結婚?!なっ?!いつからそんなこと?!


「いくらドルススが皇族ユリウス家でも、あたしの父はちゃんとしてないと、絶対に結婚だって許してくれないんだから。」

「分かってるよ。」

「本当に分かってるの?あたしだって、もういい年齢なんだから。早くしてくれないと、いつまでもドルススとはいられないんだからね。」

「え?どういうこと?」

「だって、あたしの方がドルススよりも二つ上なんだよ?姉さん女房でも、子供産む年齢には限界があるって事。」


こ、子供産む?!

もう二人の仲はそんなのところまで。


「分かったから、今夜はアントニア様のドムス最後の夜なんだから、思いっきりさせてくれよ。」

「もう!仕方ないなドルススは。本当に甘えん坊なんだから。真ん中ってやっぱり放ったらかしにされ易いタイプなの?」

「ああ、そうだよ。」


サルビアは床に腰掛けてるドルスス兄さんの上に思いっきり跨がって、くちづけの嵐を受けていたが、何処かドルスス兄さんの最後の言葉が、寂しげに寒空へ舞って行く感じだった。


続く

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