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7話_

お昼の続き

「そういえばさ……」

ちょうど話しかけようとした、その瞬間——

「あーっ、ミオちゃんじゃん! どこ行ったのかと思ったよー!」

底抜けに明るい声が、すぐ近くから飛んできた。

二人そろって振り向くと、佐藤莉緒が大きく手を振りながら近づいてくる。

「うちも一緒していい?」

そう言うが早いか、返事を待つこともなく、どさっと白雪さんの隣に腰を下ろした。

気づけば、食堂は先ほどまでの喧噪が嘘みたいに落ち着き、

人の数も半分ほどに減っていた。

「トイレ行って教室戻ったらさ、ミオちゃんいないし!

 せっかく食堂案内しようと思ったら、もう座ってるし!」

佐藤莉緒はラーメンセットの乗ったトレイを、机に置く。

「そうだったんですね。待っていればよかったです……」

白雪さんが、少し申し訳なさそうに言う。

「大丈夫大丈夫。言ってなかったうちが悪いから。相川が案内してくれたんだ?優しいじゃん」

「うん、まあね」

「てかミオちゃん、Bランチなんだ? 相川は……またラーメン?」

「また?」

その言い方が引っかかって、聞き返す。

「いやさー、うちいつもラーメンセット大盛りなんだけど」

箸を手に取りながら、佐藤莉緒は続けた。

「この前さ、お小遣いピンチの日があってさ。

 仕方なくラーメン大盛りだけ頼んだんだよ」

ちらっとこちらを見て、俺を指さす。

「そしたらさ、相川がうちのトレイ間違えて持ってったんだよね。

 めっちゃ声かけたんだけど、イヤホンしてて全然気づかなくて!」


——そういえば。


「……あれ? 先週、なんか麺めっちゃ多い日あった気が……」

「ほら! それ絶対うちの大盛りだから!」

机に両手をついて、佐藤莉緒が立ち上がる。

「マジか……全然気づかなかった。ごめんね、佐藤さん。差額払うよ」

「いいっていいって!あ、今更だけど佐藤じゃなくて、莉緒でいいよ。

佐藤て苗字多すぎるんだよね!隣のクラスにもいるし、バトン部なんて三人もいるし!

 その代わり、貸し一つね。今度なんでも言うこと聞いてもらうから」


……大盛り差額五十円。払った方が安い気もするけど。


「でも、うちは仕方なく普通盛だったんだけどさ、あれ物足りなくない?よく足りるよね」

「普通盛りでも結構量あるだろ」

「足んないって! バトンやってると腹減るんだって!」


胸を張りながら、佐藤莉緒、いや莉緒さんはラーメンをずずっとすする。

麺とご飯を交互に食べる様子に、白雪さんが感心したようにつぶやいた。


「そんなに食べるのに、太らないのがすごいですね……」

「でしょ? バトンめちゃハードだからさ。これくらい食べないと、頭も体も持たないの。

ミオちゃんも今日からバトン部なんだし、ガッツリ食べたほうがいいよ」

「えっ、今日は見学だけって——」

「大丈夫大丈夫。絶対気に入るから」

「キャッチセールス並みに強引すぎる。まだ見学なんだし、無茶させないであげて」

「相川、やっぱ優しいじゃん?」

莉緒さんは、にやっと笑った。


「ま、その貸しの内容は……そのうち言うから覚悟しといてね」

嫌な予感しかしない


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