11話
11時にもう一本あげます
「むー、今日イマイチ決まらんかった」
練習後の更衣室で、鏡の前に立った私はぼやいた。
他のメンバーはきちんと練習着から制服へと着替えている。
だが、私は練習着の上からパーカを羽織り、髪だけ整えて、
はあ、とため息をつく。
散らばったタオルや制服を、無造作にカバンに放り込む。
ミオちゃん、部活入ってくれるといいな。
せっかく見学来てくれたから、いいとこ見せようと頑張っていたが空回りしてしまい、
何度か小さなミスしてしまった。
「莉緒行くよー」
友人たちの声に「待って」と返事をしながらカバンを勢いよく持ち上げる。ジャラジャラっとアクセサリーが鳴り響くが、
ブチッ
何かが切れる嫌な音が聞こえる。
足元をみると、傷だらけの指輪がついてるキーホルダーがコロコロと床に転がっていた。
「ああああああ!」
「莉緒大丈夫?なんか変な音したけど」
「あ、それ莉緒が大事にしてるやつじゃん」
「また?莉緒さー、アクセ雑に扱いすぎ」
「やばっどうしよう!これ昔の超大事なやつなの!」
と私はさけぶ。
「はいはい。まーテープで一旦止めとけば?」
「うち、マステあるよ貸そっか?」
「ありがとー」
キーホルダーを見ると指輪がついてるところは無事だけど、
カバンに着けてあった部分の金具が緩くなっていた。
新しい金具買わないと。でもどこに売ってたっけ?
とりあえず友人たちを待たせてはいけない。
無理矢理マスキングテープでカバンにくくりつけて、
よし完璧とカバンを持ち上げた。
「莉緒、雑すぎ」友人たちが笑う。
「帰りに新しい金具かうから大丈夫」
「じゃかえろー」
皆で部室を出る。
私はもう一度、カバンについた指輪のキーホルダーが無事についていることを確かめて、
それからようやく、友人たちの背中を追った。




