【心的外傷恋愛短編小説】サイレント・ティアーズ ~月長石の処方箋~
「お前なんか、生まれてこなければよかったのに」
五歳の誕生日に母から告げられたその言葉は、二十四歳になった今も月城紗月の心を蝕んでいる。愛されたことのない彼女は、愛というものを信じることができない。
神楽坂の雨の夜、偶然足を踏み入れた会員制バー「LUNA」。そこで出会ったのは、神秘的な雰囲気を纏うバーテンダー・天宮智也だった。彼が差し出したカクテル「サイレント・ティアーズ」は、まるで月長石のような乳白色の光を放っていた。
「紗月さん、もしよろしければ占いなどいかがですか?」
タロットが示したのは、彼女の痛みに満ちた過去と、やがて訪れる大きな愛の未来。だが愛着障害を抱えた紗月は、智也の無償の愛を受け入れることができずにいた。愛されることへの恐怖が、せっかくの幸せを自ら壊そうとする。
「愛とは感情ではなく、意志だから」
傷ついた魂同士が出会い、本当の愛を学んでいく物語。心理学の知識を織り交ぜながら描かれる、現代の大人のためのヒーリング・ラブストーリー。
愛を知らないあなたに贈る、奇跡の処方箋。
第一章:渇望のクレーター
2025/09/25 17:22
第二章:月長石の処方箋
2025/09/26 13:37