腐敗龍
灰燼の星の朝、溶岩地帯の空は赤黒く脈動している。俺、アレキサンダー(元藤原タクヤ)は長老とザルクに囲まれ、部族の戦士たちと並んで立っていた。昨夜のレッドドラゴンの咆哮が耳に残っていた。
「水源の汚染が進行中だ。」
長老が杖を振り上げ、部族を鼓舞する。
「ジチュー野郎、アレキサンダー!レッドドラゴンの手下が水源を毒している!我らは守る!平和を!奮い立て!ドラゴノイドの誇りにかけて!!」
部族のドラゴノイド――鱗に覆われた戦士たちが槍や剣を構える。ザルクが俺の肩を叩き、小声で言う。
「ジチュー野郎、覚悟しろ。ドラゴンゾンビは腐敗毒で厄介だ。だが、上位種のボーンドラゴンがいるなら、さらに戦いは長引く。」
「分かった。援護するぜ、ザルク。」
長老が号令をかけ、部族が溶岩地帯へ進む。遠くで黒い影が蠢く。ドラゴンゾンビ――腐敗したドラゴン(3〜5メートルほど)の亡魂が15体、ぼろぼろの鱗を揺らしながら迫る。だが、その中央に異様な存在。ボーンドラゴン――白い骨だけになった上位種、15メートルの巨体が炎を纏う。
「来るぞ!」
ザルクが吼え、部族が突進。ドラゴンゾンビが爪を振り、腐敗毒が空気を汚す。俺は毒針の尾を振るうが、鱗に弾かれ、毒が効かねえ。肺が焼けるように痛む。
「くそっ…この毒、強すぎる…」
長老が部族を指揮し、3体を炎で焼き殺す。だが、ボーンドラゴンが咆哮し、酸を吐いた。部族の戦士たちが酸を浴びて溶けて絶命、叫び声が響く。ザルクがボーンドラゴンに飛びかかり、溶岩槍を骨に叩き込む。だが、骨が弾き返し、ザルクが後退。
「ジチュー野郎、援護しろ!」
俺はゾンビに囲まれ、毒針を乱打。1体が倒れる。
さっき浴びた腐敗毒が体内に染みる。体が熱を持ち、何かが蠢く感覚。毒が熟成し始めてる?
ボーンドラゴンが長老を狙う。骨の尾が振り下ろされ、長老が転ぶ。俺は反射的に飛び込み、毒針で尾を刺す。効果は薄いものの、ボーンドラゴンが一瞬うろたえる。ザルクがその隙に槍を投げ、骨の肩を砕く。
「よくやった、ジチュー野郎!」
長老が立ち上がり、部族を再編成。ドラゴンゾンビ5体が残り、ボーンドラゴンが再び咆哮。腐敗毒が濃くなり、俺の視界が揺れる。だが、体内で毒が変化する感覚が強まる。毒針が淡い緑に光り始めた。
「この力…何だ?」
ザルクが俺を振り返り、目を細める。
「アレキサンダー、お前の毒が覚醒しかけてる。レッドドラゴン戦に備えろ!」
戦闘は膠着。ボーンドラゴンが酸を撒き散らし、部族が後退。俺はドラゴンゾンビを肉弾戦で1体倒し、息を整える。
強くなる。地球に帰るため、俺は立ち続ける。