赤き伝説の影
灰燼の星の夜、部族の火が赤黒い空を照らす。俺、アレキサンダー(元藤原タクヤ)はザルクと並んで火のそばに座っていた。部族の奴らが集まり、長老が杖を手に立ち上がる。皺だらけの鱗に覆われた顔、赤い目が静かに光る。
「昔、この星を支配したレッドドラゴン。炎の支配者だ。全身を覆う赤い鱗、口から吐く溶岩の息。部族の祖がその心臓を奪い、力を封じた。だが、伝説では復活すれば水源を焼き尽くし、灰燼の星を再び支配すると…」
長老の声は低く、重い。部族の奴らが息を呑む。ザルクが隣で槍を握り直し、小声で呟く。
「ジチュー野郎、耳を貸せ。レッドドラゴンはただの伝説じゃねえ。復活の兆候がある。」
その時、遠くで地響きがした。溶岩が脈動し、集落の水源から黒い煙が立ち上る。部族がざわつき、長老が杖を地面に叩きつける。
「水が汚されてる!ジチュー野郎、見てこい!」
長老が俺を睨む。ザルクが立ち上がり、俺を引っ張る。
「行け、ジチュー野郎。長老の命令だ。だが、俺も行く。」
外に出ると、夜風が熱を運ぶ。砂漠のような荒地を進むと、水源の近くで異変が目に入った。溶岩がうねり、黒い粘液が水を汚している。ザルクが鼻を動かし、顔をしかめる。
「腐敗の臭い…レッドドラゴンの手下、ドラゴンゾンビの仕業だ。復活が近い証拠だ。」
「水源がなくなれば、部族は死ぬ。どうする、ザルク?」
ザルクが俺を見据え、口元を歪める。
「レッドドラゴンを倒すしかねえ。だが、その力…俺が手に入れる。心臓を移植すれば、部族を救える。」
心臓移植?驚きを隠せない。ザルクの目には野心が宿っていた。
「リスクは高い。死ぬ可能性もある。だが、部族の未来のためだ。アレキサンダー、援護してくれ。」
俺は頷く。地球に帰る道を探すには、部族の力が必要だ。
翌朝、偵察に出た。溶岩地帯の奥で黒い影が蠢く。
ドラゴンゾンビ――腐敗したドラゴンの亡魂だ。体はぼろぼろ、目が赤く光り、腐敗毒が空気を汚す。数匹が俺たちに近づき、爪を振り上げる。
「来るぞ、ジチュー野郎!」
ザルクが槍を構え、1体を貫く。だが、ゾンビは倒れても立ち上がる。俺は毒針の尾を振るうが、鱗に弾かれ、毒が効かねえ。腐敗毒が肺を刺し、咳き込む。
「くそっ…この毒、ヤバい…」
ザルクが俺を庇いながら吼える。
「耐えろ!レッドドラゴンが出てこねえ限り、勝機はねえ!」彼らは一旦撤退して部族の村に戻った。
村に着いた時、遠くで巨大な咆哮。溶岩が爆発し、赤い鱗の巨体が姿を現す。レッドドラゴン――20メートルはあり、炎の息が空を焦がす。部族の奴らが恐怖に震える中、ザルクは言う。
「みんなしっかり休め。明日決戦だ。」
夜、火のそばで俺は毒針を見つめる。体内で何かが蠢く感覚。地球に帰るため、俺は戦う。