第61話 ありえない襲撃
綿谷対神宮寺
決着!
べラス「雷神か。良く戻ってきたな。」
雷斗「国からの依頼のタイミングを考えて、何かあるんじゃないかと思ってな。すぐに終わらせて戻ってきたんだ。だが、そんな事はどうでもいい。」
雷斗はそう言うと、刀を取り出して自身に雷を落とした。それにより雷斗さんの体に電撃が走り、さっきまでとは比にならないオーラを放つ。
雷斗「よくも誠一郎くんを傷つけてくれたな。お前は殺す。」
べラス「今日はついてるな。雷神を仕留められるなんて。」
べラスはそう言って再び構えを取る。
雷斗「さあ、最速で終わらせよう。」
その言葉と同時、雷斗が凄まじい踏み込みを見せる。
べラス「おお、速いな。だが、それだけだ。」
べラスは刀を受け流そうと腕を前に出すが、
雷斗「馬鹿が。直線的な攻撃なわけないだろ。」
刀の間合いになった瞬間、雷斗が突然地面を踏みこみ一回転。その勢いを利用して横なぎを首元めがけて放つ。
べラス「おお、痺れるなぁ!」
しかしべラスも超反応。ギリギリでその斬撃を躱し、即座にカウンターを入れるために懐に入り込む。
べラス「食らっときな。俺の八卦掌。」
雷斗「ちっ!(躱せないか。)」
次の瞬間、べラスの八卦掌が雷斗に突き刺さる。
雷斗「ぐぅぅ!」
その一撃を受けて、雷斗が後ろに吹き飛ぶ。
べラス「(手ごたえがおかしかった。)防いだか。やるな。」
雷斗はギリギリで刀を割り込み、直撃を防いでいた。
雷斗「(なかなかの威力だ。単純な力比べは話にならないな。)」
雷斗が再び刀を正眼に構える。
べラス「(これは長引くな。なら、あいつに動いてもらうか。)」
雷斗「戦闘中に考え事か?」
雷斗がそのわずかな隙をついて、背後に回り込む。
べラス「やばっ(流石に速いな。)」
次の瞬間、渾身の袈裟斬りがべラスを襲う。
雷斗「散れ。」
べラス「おっとー!」
べラスは前に飛び何とか直撃を避けた。だが、その背中には浅くも斬り傷があった。
べラス「流石に完全には避けれなかったか。(連絡はしといた。後は返信が来るまで粘るか。)」
神宮寺「くっ!(なんだこの手数。)」
綿谷「よく捌いてるが、何時までもつかな?」
その頃、神宮寺は綿谷の凄まじい手数と、その猛攻に苦戦を強いられていた。
碧「がっ、くそ。(体が、動かない。)」
碧はまともに攻撃を受けて、未だに動けずにいた。
神宮寺「(このまま魔力切れを待とうとも思ったが、この調子じゃ先に切れるのは俺か。)」
綿谷「さて、そろそろ終わらせないとだな。あの方達の機嫌は損ねたくない。」
そう綿谷が口にした瞬間、突然攻撃の量が増える。火球、風の斬撃、吹雪、それらが混ざり凄まじい広範囲攻撃が神宮寺を襲う。
神宮寺「なっ!(まだ底があったか。)」
神宮寺が何とか捌こうとするも、その量に圧倒され少しづつ押されていく。
綿谷「遠距離にばっか集中してると、こうなるぞ。」
神宮寺「何!?」
神宮寺が気づいたときには、既に綿谷に背中をとられていた。
綿谷「まあ頑張った方だよ。」
神宮寺「がはぁ!」
次の瞬間、綿谷が凄まじい蹴りを放つ。神宮寺はそれをまともに食らってしまい、そのまま前方に吹き飛ばされる。
神宮寺「ぐぅぅぅ!」
神宮寺が激しく地面を転がる。
綿谷「強化した蹴りだ。もうまともに動けないだろう。」
綿谷がその場を立ち去ろうとした時、
神宮寺「ま、て。」
綿谷「まだ立つのか?しつこいな。」
綿谷は怪訝そうな顔を浮かべながら徐々に歩みよる。
神宮寺「(多分完全龍化しても、ただの的になるだけだ。なら!)」
次の瞬間、神宮寺が立ち上がり、自身の魔力のありったけを放出する。
神宮寺「来たれ、カンナカムイ。」
そう言い放つと、神宮寺の体に電撃が走り、やがて全身に電気を帯びるようになった。
綿谷「何?(なんだこれは。ここまで力があるとは聞いていなかったが。)」
神宮寺「これが俺の今の全力だ。今までと同じと思うなよ?」
次の瞬間、神宮寺が凄まじい速度で突っ込んでいく。
綿谷「なっ!(急に早くなった?)」
神宮寺「はぁ!」
神宮寺が鳩尾にパンチを放つ。その攻撃速度は今までとは比にならなかった。
綿谷「がはぁ!(なんだ。速さだけじゃない。攻撃の重みも上がってる。)」
神宮寺「はぁ、はぁ。」
そのパンチ受けて綿谷はその場に膝をつく。だが、それと同時に神宮寺が大量の汗をかき、息が荒くなっていた。
綿谷「ぐっ、貴様!」
綿谷は、自身より格下であるはずの神宮寺からの攻撃により膝をついたことに対して激怒していた。ゆえに怒りのまま杖で突きを放つ。
神宮寺「ちっ!(躱せる。だが、体力がもつか?)」
神宮寺の能力『龍化』。その名の通り体を龍やドラゴンと同じものに変える。だが、その能力にはもう一つ上の段階があった。それは、龍やドラゴンの種類を選ぶこと。選べる種類は三種類だが、今はカンナカムイしか使うことが出来ない。種類によって得られる効果や能力が変わるが、その反動として、体への負荷、体力と魔力の消費量が比にならないほど増えるのだ。
神宮寺「(このまま長期戦になれば、間違いなく俺が負ける。必ず次の一撃で仕留める。)」
綿谷「いい加減にしろ!この青二才が!」
次の瞬間、綿谷の腕から鎌が出てくる。そして首を切り取るかのごとく横なぎを放つ。
神宮寺「(怒りで直線的だ。これなら行ける!)」
神宮寺がその斬撃を躱すと、一瞬で懐に入り込む。
神宮寺「これで終いだ。」
綿谷「しまっ!」
次の瞬間、神宮寺が電撃砲を放つ。
神宮寺「万雷破!」
その電撃砲は、綿谷の至近距離で放たれ、それをまともに受けた綿谷の全身に電流が走る。
綿谷「あががががががががが!」
しばらく感電していた綿谷だったが、しばらくするとその場に倒れこんだ。
神宮寺「はぁ、はぁ、はぁ。」
その時、神宮寺の体が糸が切れるかのように力が抜け、その場に膝をつくと同時に、カンナカムイの力が消えた。
碧「神宮寺!」
碧が自身の体に鞭を打ち、神宮寺を支える。
神宮寺「あ…お…」
碧「すぐ病院につれてくから!頑張って!」
そう言って碧も立とうとするが足を踏み外してこけそうになる。
椎名「ちょちょちょ、あぶな!」
観月「我らで支えよう。」
その時、加勢するために戻ってきた観月と椎名が戻ってきた。
碧「二人とも!無事だったんだ。」
観月「我らは問題ない。このまま運ぶとしよう。」
そうして碧と神宮寺は観月と椎名に病院へと運ばれていったのだった。
その頃、夜闇と氷華は凄まじい攻防を繰り広げていた。
夜闇「どうした!こんなものか?」
氷華「そう思うか?」
二人の斬撃による攻防により、凄まじい火花が散り、あまりの勢いに竜巻ができ始める。
氷華「(このままじゃ辺りが吹き飛ぶな。)」
周辺を気にした氷華が一度距離を取る。
夜闇「それは悪手じゃないか?」
その一瞬をついて、夜闇が紫色の魔力弾を放つ。
氷華「(これは避ける。)めんどくさいな!」
氷華が躱した魔力弾が近くの建物にあたる。すると、その魔力弾があたった建物が塵の様に消えていく。
氷華「相変わらずの能力だな。」
夜闇「昔と同じと思うなよ?」
そうして二人が再び衝突しようとした時、
氷華「お返しだ。」
氷華が急停止し、冷気を操り氷を作り出し夜闇へと放った。
夜闇「相変わらず速いな。(回避は無理だ。だがまぁ、関係ないけどな。)」
その時、夜闇が目の前に黒い渦を発生させる。すると、氷はそこへと吸い込まれていった。
氷華「そんなの想定してるよ。」
しかし、氷華は既に背後に回り込んでいた。
夜闇「おお、やっぱりそう来るか。でもな、目的はもう果たしてるんだよ。」
氷華「!!!!!」
次の刹那、突然地面からあの渦が出現する。氷華はバックステップでそれを躱したが、夜闇はその渦に入っていった。
夜闇「じゃあな。また会おう。霜凪氷華。」
そう言い残して夜闇は渦の中へと消えていき、その後すぐに渦の穴が閉じた。
氷華「(あいつのあの力。まさか使ってくるとはな。)」
咲「みんな、大丈夫かな。」
その頃、咲たちは知鶴たちの病院に避難していた。念のため、源や真鍋も同じ病室に待機していた。
源「生徒たちが奮闘してる中、俺はここに留まることしかできない。」
源が拳を強く握りしめる。
知鶴「先生が気にすることないですよ。」
雫「そうですよ、先生にはいつも守られっぱなしなんですから。」
二人が先生を励ましていた時、
?「ここだったか。探すのに苦労したぞ。」
突然病室に魔界への穴が開いた。そこから出てきたのは、
ベルゼブブ「柊咲。見つけたぞ。」
サタン「ここに強者がいるんだよな?」
咲「なっ!(なんでこの二人が。)」
そこにはサタンとベルゼブブがいた。だが全員の頭に疑問符が浮かぶ。この二人が行動を共にしている理由がわからなかったのだ。
ベルゼブブ「さあ、貴様を処分しよう。」
サタン「俺をイラつかせるなよ?」
咲「くっ!(考えるのは後回しだ。何とかこいつらを抑える!)」
次回
咲に二人の悪魔が襲い掛かる。




