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第55話 成り行きと復活

フードの人物の正体とは?

 咲「知鶴!」 


 私はそう言いながら勢いよく病室の扉を開いた。するとそこには、ぼろぼろの状態で寝込んでいる知鶴と穂乃香がいた。


 雫「あ、咲さん。それに碧さんたちも。」


 そばには雫ちゃんが回復魔法をかけ続けていた。彼女も腕をやられ、包帯で巻かれていたが命に別状はないとのことだ。


 神宮寺「雫、さすがに休め。お前まで倒れるぞ。」


 雫「いや、これくらい平気です。私を守るために戦ってくれたんですから、絶対に死なせません。」


 見たところ、かなりの重症だ。知鶴がここまでやられるなんて、いったい誰が……


 ロキ「失礼するよ。」


 その時、病室の扉が開き、ロキが入ってきたのだ。


 湊「ロキ。どうしてお前が。」


 ロキ「どうしても何も、僕が二人を連れてきたんだよ。かなり危険な状況だったからね。」


 湊「そうだったのか。」


 咲「ねえロキ。いったい何があったの?」


 ロキ「それは……」


 そこで私たちは、知鶴の家が火事にあったこと。その実行犯が敵の幹部、セレスだったということ。知鶴が戦闘するが、手に負えず、ロキが助けに入るが謎のフードの人物によって邪魔され、そのまま逃げられてしまったことを聞いた。


 碧「そんなことが。てかその頃、私たちもヴリトラ達に襲われてたよね。」


 咲「うん。多分あいつらの作戦なんだろうけど。」


 ロキ「何か気になることが?」


 咲「なんかあいつら、少し怯えていたというか、ぎこちないというか。とにかく変だったの。」


 ロキ「(怯えていた?…いや、まさかね。)」


 湊「にしても、まさかロキが助けてくれてたとは。感謝するよ。」


 ロキ「いや、僕は恩を返してるに過ぎないよ。」


 神宮寺「恩?どういうことだ。」


 そこでロキは自身に起きたことを話し始めた。








 あれは、僕が組織を抜けてどうしようかと路頭に迷っていた時のこと。


 ロキ「うーん、なんか仕事探さないとな。」


 魔人とはいえ、空腹にはなる。まぁ死にはしないが苦痛はあるためどうしようかと悩んでいるとき、


 男性「が、がぁ。た、助けて。」


 とある男性が狩りにあっているところに遭遇した。


 ロキ「(あの人、なんで反撃しないんだろう。このままじゃ死ぬな。)」


 ロキはその光景が癪に障ったのか、襲っていた半グレを気絶させた。


 半グレ「な、なんだお前。がっ!」


 ロキ「話しかけるな。お前らみたいなのを見てるとイライラするんだ。」


 男性「き、君は?」


 その光景を見ていた男性が僕に声をかけた。


 ロキ「大丈夫ですか?かなり傷ついたいるみたいですけど。」


 男性「あ、ああ。大丈夫だよ。それより、助けてくれたお礼をさせてくれないか?」


 ロキ「え?」


 僕は少し戸惑ったけど、何となくほっておけなくて、そのままついていくことにした。


 男性「着いたよ。ようこそわが家へ。」


 そこは、まさしく金持ちの家という雰囲気だった。僕は気になって表札を見てみると、そこには『九重』という名字が見えた。


 ロキ「九重って、あの九重財閥?すご!」


 男性「はは、昔は頑張ったものだよ。私、非能力者でね。だから、少なくともお金は稼いでおこうと思って。」


 男性はそう言いながら食事を提供してくれた。


 男性「さぁ、ささやかなお礼だが、遠慮せず食べてくれ。」


 ロキ「やった!ありがとうございます。」


 僕は出された料理をすごい勢いで食べた。


 ロキ「ん!すごくおいしい!」


 男性「口にあったようで何よりだよ。ところで君、名前は?」


 ロキ「鐵隼人(くろがねはやと)です。」


 鐵隼人は僕が使っている偽名だ。


 男性「そうかい。あらためて、隼人君助けてくれてありがとう。」


 ロキ「いえいえ、そんな。たいしたことはしてないですよ。」


 そこから僕らは会話が弾み、自身の仕事についての話になった。


 男性「隼人君、仕事は何をしているんだい?」


 ロキ「実は、恥ずかしいことに今は無職でして。」


 男性「そうなのかい。なら、ひとつ提案があるんだが。」


 ロキ「提案?」


 男性「君さえよければ、私のボディガードになってくれないかい?」


 ロキ「え?」


 その提案は、僕にとっては願ってもないことだった。


 ロキ「い、いいんですか?」


 男性「もちろんだ。君みたいな人がボディガードになってくれるなら心強い。任されてくれるかい?」


 ロキ「もちろんです。精一杯やらせてもらいます。」


 こうして僕は、九重財閥のボディガードになったんだ。








 咲「そうだったんだ。」


 ロキ「僕は知鶴ちゃんのお父さんに恩がある。だから僕は、少しでも役に立とうとしているだけさ。」


 湊「(こいつ。敵だったころに比べて、だいぶ丸くなったな。)」


 その時、


 知鶴「う、うーん。こ、ここは?」


 雫「知鶴ちゃん!」


 眠っていた知鶴が目を覚ましたのだ。


 咲「よかった。何とか戻ってこれたんだね。」


 知鶴「咲、それに湊たちも。」


 湊「よくもどってきたな。流石だ。」


 碧「きっと戻ってくるって信じてたよ。」


 神宮寺「よくやったな。知鶴。」


 知鶴「み、みんな。」


 知鶴があたりを見渡す。


 知鶴「穂乃香。しっかり。」


 雫「大丈夫だよ。気を失ってるだけだって」


 知鶴「そう、ならよかった。って雫ちゃん!その腕は?」


 雫「ああ、ちょっと腕をやられちゃってね。でも大丈夫、すぐ回復するだろうってお医者さんに言われてるから。」


 知鶴「そうなんだ。良かった。」


 そして知鶴がロキを見つける。


 知鶴「ロキ、あなたが来てくれなかったら、私たちは死んでいたわ。ありがとう。」


 ロキ「気にしないでよ。僕は恩返しをしてるだけだから。」


 知鶴「さっきも言ってたけど、それどういうこと?」


 ロキ「めんどくさいからみんなから聞いて。」


 咲「まさかの丸投げ?」


 湊「やっぱり、根本的な部分は何にも変わってないな。」


 ロキ「あはははは!」







 セレス「トレーニング中失礼します。戻りました、わが主。」


 ?「おお、帰ったか。」


 セレスの横には、あの謎のフードの人物がいた。


 ?「調子はどうだ?ハスター。いや、いまはアザトースか?」


 アザトース「はい。おかげさまでかなり回復しました。」


 謎のフードの人物は、なんと過去に倒したはずのハスターだったのだ。しかも、今は強化形態のアザトースになっている。


 アザトース「このままさらなる強化に転じ、必ずお役に立って見せます。」


 ?「ああ、期待しているぞ。」


 こうして、最悪の敵が復活してしまったことをこの時の私たちは知る由もなかったのだった。

次回

国から呼び出されていた彼らが戻ってくる。

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