雪との約束と思い
3万字オーバーの大作です!
咲「んー!いい朝かな?」
時刻は午前7時。いつもより早めに起きた私はベットの上でくつろぐ。
ベルザ「そんなことしてると、遅刻しますよ?」
咲「大丈夫だよ。流石にそこまで馬鹿じゃないし。」
そんな会話をしていると、下から声が聞こえる。
咲母「咲ー。起きてるなら下に降りてきなさーい。」
咲「げ!呼ばれちゃった。」
ベルザ「ほら、早く出た方がいいですよ。」
咲「く、くそぉ〜。」
私はそう言いながら、布団から脱出し下に降りる。
咲「おはよー。」
咲母「おはよう。ご飯できてるわよ。」
咲「...なんかいつもよりボリューム高いね。」
咲母「そりゃそうでしょう。今日は合宿の日なんだから。咲がいなくなると寂しくなるわー。」
咲「最近入院したりしてるからそんなでもないでしょ?」
咲母「何言ってるのよ。入院した時もすごく心配したんだからね?」
実際、母はほぼ毎日見舞いに来ていた。父や祖父も隙間時間を見つけては来てくれていた。
咲「そんな、大袈裟な。」
咲母「また何があるか分からないんだから。しっかり朝から食べていきなさい。」
咲「はーい。(食べ切れるかな?)」
そんなこんなで、朝食を口にした。案の定量が多く、食べるのに時間がかかった。
咲「ご、ご馳走様。」
咲母「はーい。」
咲祖父「おお、咲。おはよう。今日から合宿だっけか?札幌へ行くなんてあの学校も羽振りが良いのぉ。」
咲「うん。ちょっと行ってくるよ。」
咲父「いいなぁ。楽しんでこいよ。父さんの若い頃はな」
咲「その話はいいや」
咲父「おい!?」
そんな騒がしい我が家を出て、私は駅へ向かったのだった。
咲「んで、着いたはいいけど。」
その光景に私はため息を放ちたくなる。
碧「やっほー!札幌だーい!」
誠一郎「テンション上がるぜ!」
隼司「観月、椎名。お前らももっとはしゃげ!」
観月・椎名「いやお前が落ち着け!」
咲「(何よこのテンション。合宿前にもう疲れたんだけど。)」
そんな風に思っていた時、後ろから声をかけられた。
雫「咲さん。おはようございます。」
咲「あ、雫ちゃん。おはよう。」
知鶴「全く、みんなはしゃぎすぎよ。」
穂乃香「知鶴様も楽しみで眠れなくて私に電話を...」
知鶴「穂乃香!?その話はやめなさい!」
咲「2人も一緒だったんだ。」
神宮寺「おい、隼司!少しは落ち着け!」
湊「誠一郎も、っておい!俺を巻き込むなぁー!」
その頃、まとも枠の2人はとても大変そうだった。
咲「可哀想に。」
雫「あ、あはは。」
その後、出発の時間になった私達は出発の新幹線に乗った。
咲「まさかこんな偶然あるとはね。」
そう。私の周りは見事にイツメンで埋め尽くされたのだ。
碧「あはは、隣なんて奇跡だね。いや、もはや運命!?」
咲「馬鹿なこと言わないの。」
雫「私は隣嬉しいですよ。」
私の席は、道に1番近く碧を挟むように私と雫ちゃんがいた。それで後ろは
隼司「よし、お前らだったな。計画通り。」
椎名「いやなんもしてないでしょ!」
観月「これもまた宿命」
ギフテッドクラスの3人がいた。道越しの席はと言うと、
知鶴「穂乃香、なにかして遊びましょう。しばらく暇になると思うし。」
穂乃香「ええ、もちろんです。」
誠一郎「湊!俺らもなんかしようぜ?」
湊「いや、俺寝たいんだけど。」
私達と同じ列には湊と誠一郎くん。その後ろに知鶴と穂乃香さんがいた。予想外なのは、
湊「んで、なんで先生がこんな近くにいるんですか!」
源「なんだよ、俺が近いのは嫌か?」
神宮寺「(先生が隣。これは緊張するな。)」
湊「というか、クラス事に分けたりしないんですか?」
源「いや、他の生徒はそうだぞ?でもお前らは色々事情があるしな。」
湊「でも、椎名と観月は?」
源「あの二人はロキと戦ったし、無関係でもないからいいだろ。」
湊「まぁそうですけど。」
咲「(そういう事ね)」
2人の小声での会話を聞いて私は理解する。私達は四神とも会っているため国から色々隠すように言われてるのだろう。確かに、四神と繋がってるなんて知られたらどこから情報がもれるか分からない。だから先生としては、念の為に見張っておきたいんだろう。
咲「(まぁ騒がしいけど、こっちの方が落ち着くな。)」
そう思いながら、私達は新幹線で札幌へ向かったのだった。
燐「あーあ。今頃みんなは札幌行ってるのかぁ。」
雷斗「青春だねぇ。」
水葉「私達もどこか行きたくない?」
風露「確かに行きたいかも。」
雷斗「でも、今はあいつが遠方に仕事中だろ?」
風露「あ、確かにそうだね。」
燐「そういえば、あいつどこに行ってるんだ?」
水葉「さぁ?なんも言わずに行っちゃったから分からないんだよね。」
燐「てか腹減ったなぁ。なんか作れよ。」
風露「無理だよ。私達料理出来ないんだから。」
雷斗「ならまたコンビニ飯か?」
水葉「たまには外に出ない?」
燐「でもいちいち許可とるのめんどくさくね?」
水葉「変装で何とかなるよ!」
雷斗「よし!行ってみるか!」
?「ダメですよ!」
その時、家の扉を勢いよく開ける人がいた。
燐「おー拓真さん。なんか久々だね。」
彼の名前は司波拓真。四神とコンタクトをとるのが担当の国家の人間である。
拓真「勘弁してください。この前もそうやって出ていった時に、どんだけ苦労したか。」
風露「大変だね。」
水葉「というか、拓真さんが来るってことは。」
拓真「ええ、国からの依頼です。」
雷斗「でも最近はスマホで連絡するじゃん。」
拓真「それが今回は少し変わった内容でして。」
燐「へぇ。で、内容はなんなんだ?」
拓真「はい。とある地方で異常とも言える魔力反応が出ました。そして、それを調査していた人と連絡が取れなくなったことがわかりました。」
雷斗「国から派遣された人間を倒すとなると、相当なやつだな」
拓真「そこで、あなた方四神に依頼が来たのです。もしかしたら謎の組織とも関係があるかも知れないので。」
水葉「なるほどね。道理でわざわざ来るわけだ。」
拓真「一応あの方にも連絡を入れといた方がいいでしょうか?」
燐「ああ、それがいいな。仕事中かもしれないが来てくれるとありがたい。それで、場所はどこなんだ?」
拓真「それは......」
咲「これ!よし、揃った。」
碧「私全然揃わないんだけど!?」
雫「なかなか運が悪いですね。」
隼司「観月、手札教えてよ。」
観月「それは愚者のすること。」
椎名「いちいち言い回しが剣士に似てきてるね。」
私達は席を回して向き合うようになり、そこでトランプやUNOをしていた。
隼司「よし!1抜け!」
咲「私2番。」
観月「我は3番。」
椎名「私4番ー。」
雫「と、言うことは。」
碧「私達が最後ね。」
2人が向かい合い、睨み合う。
雫「むむむむむむ。」
碧「(引かせないように、なるべく顔の変化を抑えないと。)」
雫ちゃんがカードに手を伸ばす。
雫「ん?」
碧「はぁぁぁぁぁ....」
雫「お?」
碧「ぱぁぁぁぁぁぁ!」
雫「こっちですね。」
碧「あーー!なんで!」
咲「いや、分かりきってたと思うよ。」
隼司「顔に出やすいね、碧ちゃん。」
観月「未熟なり」
椎名「まぁこっちからしたら助かるけどね」
碧「むきーーーー!」
一方その頃、知鶴たちの方は?
知鶴「あーーー!もう。なんでここで告白しないのよ!もどかしすぎるわ!」
穂乃香「知鶴様。周りの方もいるのですよ?」
湊「へぇ。知鶴って恋愛漫画好きなのか。」
誠一郎「ちょっと意外かも?」
それを聞いた途端、知鶴の顔が真っ赤になる。
知鶴「///忘れなさい///」
穂乃香「顔赤いですよ。」
源「これ美味いな。やっぱり駅弁は違うなぁ。」
神宮寺「先生、食べるの好きなんですか?」
源「いや、最近痩せ気味でな。まぁ食べるのが好きなのは否定しないけど。」
新幹線では、各々が自由に楽しんでいた。
碧「もう1回!今度はUNOで勝負!」
咲「懲りないねぇ。」
雫「じゃあ配りますね。」
〜10分後〜
観月「上がりである。」
椎名「私も上がり!」
碧「むむむむむむ。」
隼司「今度は俺か。ほら、ドロー4だ。」
咲「あ、私も。」
碧「なん....だと....」
雫「(あぶなかったぁ。)」
咲「色は赤で!」
碧「なんでないのよーー!」
結局その後も碧は負け続けた。
源「着いたぞー。」
咲「んー、長かったぁ。」
碧「ま、まさか、こんなに負けるとは。」
雫「ドンマイです。」
湊「今度その漫画貸してよ。」
知鶴「いいわよ。読み終えたら感想会しましょ。」
穂乃香「知鶴様が漫画をお貸しになるなんて!雨が降りますね。」
椎名「そんなに珍しいの!?」
神宮寺「さ、寒い。」
誠一郎「俺は暖かいぜ!」
観月「龍は寒気に弱いもの。」
隼司「そうだったのか。」
私達は目的地の駅に到着し、そのままホテルへと向かった。
咲「随分立派ですね。」
源「校長が奮発してくれたんだ。」
知鶴「私の家からもいくらか払われてるわよ。感謝しなさい!」
碧・誠一郎・隼司「ははぁ。」
私達はホテルに入り、そのまま各自グループごとに部屋に別れた。
咲「ふぅ、やっと一息つけるね。」
雫「ですね。とりあえず、お風呂の時間までゆっくりしますか。」
知鶴「なら私はこれの続きを読むわ。」
咲「それってさっきの漫画?どんな話なの?」
雫「咲さん!それは...」
知鶴「聞きたいのね!しょうがないわねぇ。この話はね....」
そこから知鶴が早口で話し始めた。
咲「え、え!?」
雫「知鶴ちゃん、好きな物の話になると長話を始めちゃうんです。」
咲「うそぉ。」
そこから約1時間、知鶴の熱弁を聞くのだった。
碧「なんで勝てないの?」
穂乃香「シンプルに顔に出すぎかと。」
椎名「うん。そうなんだよね。」
碧「そ、そんな馬鹿な!」
あれから部屋に帰った碧達はもう一度カードゲームをしていた。
碧「っていうか、2人はいつの間に仲良くなったの?」
穂乃香「バトルロワイヤルの時に1度戦闘しまして、そこから。」
椎名「戦い方が似てるから息が合うんだよね。」
碧「へぇー、そうなんだ。」
穂乃香「あ、ドロー2です」
椎名「私も」
碧「なんでーーーー!」
隼司「で、なんで俺らは5人なわけ?」
神宮寺「先生いわく、分けるのがめんどくさいだそうだ。」
誠一郎「まぁその分ちょっと広めの部屋だしいいじゃん。」
観月「何の問題もない。」
湊「じゃ、待たせるのもあれだし、ちゃちゃっと風呂行こー。」
そうして僕らは温泉へと向かった。
〜温泉へ移動中〜
誠一郎「ひゃー、これは広いな。」
ドアを開け、温泉を見てみるとそこにはとんでもない大きさの風呂があった。
観月「このようなもの見たこともない。」
湊「だいぶ奮発してるなぁ。」
隼司「早く入ろうぜ!」
神宮寺「まず体を洗え!」
そうして僕らは少し興奮しながら、温泉を満喫した。
咲「んー、いい湯だねぇ。」
知鶴「流石、あれだけの額をかけるだけはあるわ。」
雫「こんなの初めてです。」
その頃、私達も温泉を楽しんでいた。
碧「やっほー、みんなも来てたんだ。」
穂乃香「偶然ですね。」
咲「おお、みんなも今から?」
椎名「うん。せっかくこんな立派な温泉に来てるんだから入らなきゃ損だよ」
そう言って3人も湯船に浸かる。
穂乃香「にしても、こんなにいい施設を予約するなんて、何か裏がありそうな気がするんですが。」
咲「確かに、普通こんなところ予約しないよね。」
碧「まぁ細かいことを気にしてもしょうがないじゃん?とにかく楽しもう!」
知鶴「それもそうね。」
疑問は残りつつも、私達は日頃の疲れを取るためにその温泉を満喫した。
咲「ふぅ、いい湯だったなあ。」
温泉から出た後、私が食堂へ向かおうとすると、
湊「お、咲達もはいってたのか。」
同じタイミングで出てきた湊達と鉢合わせた。
碧「おお、そっちも今はいってきたのか。」
隼司「まぁな。このまま食堂へ行くつもりだ。」
雫「ならちょうどいいですし、私達と行きませんか?」
神宮寺「その方が良さそうだな。」
ということで、私達はそのまま食堂へ向かった。
〜食堂へ移動中〜
源「おお、お前ら来たか。」
食堂へ着くと、先生が先に来ていた。
咲「あれ?他の生徒が見えないような。」
源「そりゃ、お前らは別室だからな。」
湊「どういうことです?」
源「それについても話すから、まぁ座れ。」
そう言われて私達は席に着く。
源「実は、今回の合宿でお前らに稽古をつけてくれる人がいるんだ。」
知鶴「稽古?でもそれだけなら別に分ける理由がなさそうですが。」
源「それが、今回の稽古相手は国が選んだ人らしく、国家秘密なんだと。」
誠一郎「また国家秘密?最近多くないですか?」
源「それはそうだな。」
湊「まぁ、強くなれるならいいじゃん。」
神宮寺「ポジティブだなぁ。」
観月「それは我らが聞いてよい話なのか?」
椎名「それ私も思った。」
源「許可は降りてる。安心しろ。」
碧「なんかわかんないけど、まぁとりあえず目の前のご飯食べていいですか?」
雫「碧さん。よだれ出てます。」
隼司「まぁこんなの見せられながら食うなって言う方が無理あるよな。」
源「全く。食いしん坊め。じゃあいただくか。」
そうして私達は目の前のご飯を食べるのだった。
サタン「っち!最近暇で暇でしょうがねぇ。」
ロキ「しょうがないよ。今回のリーダーはハスターって言われてるんだから。」
サタン「にしてもあいつは何してんだ?」
ロキ「なんか研究してるらしいよ。」
サタン「研究?そんなのできたのか?」
ロキ「知らないの?俺らの手駒のほとんどはハスターが作ってるんだよ?」
サタン「初めて聞いたわ。」
ロキ「まぁ今回もなんかすごいの作ってくれるでしょ。」
その頃、別室では。
ハスター「ぐっ!がっ!(耐えろ、耐えるのだ。これも全てあの娘を殺すため。自身の怒りと、恨みを全てのせるのだ。)」
翌日、朝から起きた私たちは先生に呼び出された。
源「よし、全員いるな。じゃあ移動するぞ。」
碧「どこ行くんですか?こんな朝っぱらから。」
源「稽古相手とご対面だ。」
湊「意外と早かったですね。」
源「まぁな。じゃあ行くぞ。」
そうして私達はその場所目掛けて歩き出した。バスでいいのでは?と思ったが、先生いわく
源「健康のためと、体力作り!あとちょっとした観光だ」
との事だった。
咲「(いや、もっと普通に観光したかったなぁ。)」
〜少年少女移動中〜
源「着いたぞ。ここだ。」
そう言われて見たその建物は、1つの競技場だった。
咲「ここですか!?」
隼司「でか!何する気ですか。」
源「それは本人に聞いてくれ。さぁ、入るぞ。」
そうして中に入り、競争場に行くと1人の人が立っているのが見えた。
咲「あの人が今回の稽古相手ですか?」
源「ああ、そうだ。」
その人は全身真っ白の服で、フードも被っていたため顔が見えなかった。
?「どうも、今日から君たちの稽古相手を務める者だ。凪さんとでも読んでくれ。」
凪さんと名乗るその人は顔こそ見えないものの、漂うオーラが四神にも匹敵していた。
咲「(このオーラ。すごい!)」
凪「じゃあ始めようか。最初は簡単だよ。」
そういうと、凪さんは信じられないことを言った。
凪「全員でかかっておいで。全力で。一撃でも当てれたら君たちの勝ちでいい。」
全員「え?」
その言葉に全員が驚きを見せる。
源「よ、よろしいのですか?」
凪「問題ないよ。さぁ、来な。」
隼司「ならお望みの通りにしましょうや」
誠一郎「そうだな。」
神宮寺「やるしか無さそうだ」
知鶴「私も賛成よ。」
雫「ほ、ほんとに大丈夫でしょうか」
穂乃香「その心配はいらないでしょう。」
椎名「やってやろうじゃない!」
観月「手を抜けばそれこそ無礼。」
湊「皆やる気あるなぁ。」
碧「ほら咲も構えて。」
咲「あ、うん。」
そうして全員が戦闘態勢に入る。
誠一郎「行くぞ!」
隼司「おう!」
神宮寺「実力を見せる!」
最初は3人が飛び出し、接近戦を仕掛けた。
凪「青いよ、3人とも。」
だがその攻撃は全て躱されてしまった。
誠一郎「まじ!?」
隼司「3人の攻撃が当たらないとかあるのかよ。」
神宮寺「一体何者?」
凪「まだ手数が足りないなぁ。」
そういうと、凪さんは3人の隙をついて拳を叩き込んだ。
誠一郎「がっ!」
隼司「うっ!」
神宮寺「くっ!」
3人が激しく吹き飛ぶ。
雫「サラウンズシールド!」
知鶴「火球を喰らいなさい!」
次は2人が仕掛けた。
凪「シールド、もっと強くないとダメかな。」
しかし凪さんは、そのシールドを蹴り1回で破壊した。
雫「一発で!?」
知鶴「とてつもないわね。」
凪「火球、返すよ。」
再び凪さんが蹴りを放つと、今度は火球が返ってきた。
知鶴「嘘!」
知鶴は何とかシールドて防いでみせた。
穂乃香「なら私達が行きます!」
碧「憑依、かまいたち!」
椎名「私も行くか。」
次は3人が突っ込む。
椎名「煙幕だよ!」
そう言って椎名さんが煙幕を放ち視界を奪う。
碧「躱せないでしょ?」
穂乃香「貰いました。」
椎名「ここだね。」
3人の攻撃が迫る。
凪「これじゃあ止まらない。」
しかし、その攻撃全てが躱されてしまった。
碧「まじ?」
穂乃香「あの一瞬で...」
椎名「絶対当たったと思ったけどなぁ。」
観月「躱した瞬間に隙が出来る。」
湊「悪いけどここで叩く!」
咲「逃げられませんよ!」
私達が躱した隙を突こうとした時
凪「狙いはいいけど、遅いなぁ。」
凪さんはその攻撃すらも躱してしまった。
湊「おいおい、冗談だろ?」
観月「にわかには信じ難い。」
咲「こんなにやってもまだかすり傷ひとつないなんて。」
凪「さぁ、こっからだよ。かかってきな!」
そこから私達は全力で戦った。」でも、結局凪さんには傷1つつけられなかった
凪「もうバテちゃったか。まぁ今日は実力知りたかっただけだからいいや。じゃあ解散で。」
そう言って凪さんは消えていった。
咲「な、なんなんですか。あの人は。」
源「俺にも詳しい情報は無い。」
知鶴「ねぇ、もしかしてあんなに豪華なホテルだったのって」
雫「こっから地獄が始まるからかも。」
穂乃香「そんな風には考えたくなかったですね。」
碧「とりあえず、今日は運良く終わったし、1回帰って休憩してから観光しない?」
全員「賛成〜」
こうして、地獄の日々が始まるという予感がひしひしと伝わってきたのだった。
湊「はぁ、えらい目にあったな。」
神宮寺「全くだ。まさかあんな実力者とやることになるとは。」
帰ってきた俺らは汗を流すべく温泉に入っていた。
湊「なぁ、この後暇なら一緒に観光しないか?」
神宮寺「ああ、いいぞ。アイツらも誘うか?」
湊「俺もそう思ったんだけど、アイツら疲れきってるんだよ。」
残りの男子は全員部屋で眠っているのだ。
神宮寺「全く、体力がない奴らだ。と言いたいが無理もないな。」
湊「そういえばあの凪さんって人の躱し方、どっかで見たことあるような。」
神宮寺「流石に気のせいだろ。さて、そろそろ行くか?」
湊「そうだな。」
そうして俺らは温泉を出るのだった。
凪「皆強くなってたなぁ。関心関心。」
その時、スマホが鳴った。
凪「お、拓真さん。どうしたの?」
拓真「どうしたもこうしたもないですよ!何してるんですか!」
凪「札幌で観光。」
拓真「なんでそんなに呑気なんですか!というか、お願いしていた散策と討伐は別の場所でしょう?」
凪「それなんだけどさ、俺が行った頃には魔力反応のみで何もいなかったんだ。」
拓真「え?そんな馬鹿な。」
凪「だから暇になったしいいかなって。」
拓真「いや、暇じゃないでしょ!こっちでも調べるのでもう一度戻ってください!」
凪「えぇ!?しょうがないなぁ。」
咲「ふぅ、酷い目にあったよ。」
碧「全くだよ。ほんとなんなのあの人は。」
知鶴「魔法を蹴りで返されたのは初めてだわ。」
雫「ほんと、びっくりしましたね。」
私達は疲れた分を癒すために温泉に来ていた。
知鶴「ところで、この後どうするの?」
碧「とりあえず観光しよ。明日からは出来ないかもしれないから。」
雫「そうですね。色んなところ周りましょうか。」
咲「せっかく自由時間ができたんだし、使わなきゃ損だよね。」
こうしてこの後の予定が決まった。
湊「これが本場の札幌ラーメン。美味いな。」
神宮寺「そうだな。一度は食って起きたかったからな。」
湊と神宮寺くんは札幌ラーメンを堪能していた。Aクラスの仲間ということもあり、意外と2人は仲が良かった。
神宮寺「あんな稽古したら腹もすくよな。」
湊「そりゃそうだよな。」
そんな会話をしていた時、
住民「きゃぁぁぁ!」
湊・神宮寺「!?」
突如どこからか悲鳴が聞こえた。
神宮寺「今の悲鳴は」
湊「行くぞ」
2人は大急ぎで悲鳴の場所へ向かった。
女性「ば、化け物!」
男性「なんなんだ、こいつは!」
神宮寺「な!(こいつは一体)」
湊「大丈夫ですか!」
2人が駆けつけた先には謎の化け物に襲われていた男性と女性がいた。
?「うぅぅぅ。」
神宮寺「.....湊、構えろ。」
湊「あぁ、やらなきゃ死ぬな。」
2人は危険を察知し、すぐに臨戦態勢をとる。
湊「逃げてください。そして出来たら、凛華高校に連絡を!」
男性「は、はい!」
2人を逃がし、神宮寺と湊が能力を発動する。
?「こいつらは狙いではないが、始末しておこう。」
その頃、咲たちはと言うと。
咲「ほわぁ。雪なんて久しぶりに見たよ。」
碧「確かに、こんなに積もることないもんね。」
雫「2人とも、雪だるま作りません?」
知鶴「より大きいやつを作った方の勝ちよ!」
咲「よし!望むところだ!」
碧「いいね、楽しそう!」
めっちゃ札幌を満喫してた。
穂乃香「ん?咲さん達はどこに行ったのでしょうか。」
椎名「出かけたんじゃない?」
穂乃香「私達を置いていったのですか?それは許せませんね。」
その時、部屋をノックする音が聞こえた。
観月「失礼する。」
誠一郎「あれ?咲ちゃんたちいないの?」
穂乃香「私たちを置いて出かけてしまったようで。」
隼司「そっちも同じような感じか。俺らも湊と神宮寺に置いていかれてさ。」
椎名「ならこのメンバーで観光しない?」
誠一郎「いいね!それ。」
観月「我も賛同する。」
穂乃香「なら、準備を進めましょうか。」
その時、スマホが鳴る。電話の相手は先生だった。
穂乃香「はい、穂乃香です。どうしました?」
源「緊急だ。とある住民から連絡が入った。すぐに来てくれ。」
咲「よーし、どうだ!」
知鶴「くっ!やるわね。」
碧「よっしゃあ!私達の勝ち!」
雫「お見事です。2人とも凄いですね。」
碧「ふふん!私、雪が降った時は必ず雪だるま作ってるから得意なの!」
知鶴「そうだったのね。イメージ通りな気がするわ。」
咲「私もそう思う。」
碧「咲!?」
そうして次の場所へ行こうとした時
ドゴォン!
碧「どわぁぁぁぁ!」
突如碧の雪だるまへとんでもない速さで何かが飛んできた。
碧「な、なんてこった。」
咲「大丈夫?碧。」
雪が晴れて、姿が見えてくる。
湊「はぁ、はぁ。」
咲「湊!?一体何が。」
湊「話はあとだ!来るぞ!」
湊がそう言った瞬間、どこからか謎の化け物が降りてきた。
神宮寺「ちぃ!(なんなんだ、こいつは)」
知鶴「ちょ、ちょっと!何よこいつ!」
雫「神宮寺さん!」
碧「とりあえず、戦うしかなさそうね。」
咲「うん、行くよ。」
そうして私達は能力を発動する。
咲「半吸血鬼化!」
碧「憑依、九尾の狐。」
雫「後方支援は任せてください!」
知鶴「前衛は任せるわよ。」
湊「俺が引きつける!」
そう言って湊が複数の影を放つ。
?「ぐぅぅぅ、がぁぁぁ!」
その影は全て化け物に命中した。だが、
湊「ちっ!(ほぼ効いてないか。)」
?「がぁぁぁぁ!」
次の瞬間、化け物が湊へ迫る。
碧「させるかぁ!」
碧が火球で止めに入る。
?「がぁぁぁぁ!」
碧「くっ!(かき消された!)」
知鶴「ならこれはどう!」
その言葉と同時、空から雷が落ちる。
?「ぐがぁぁぁぁ!」
知鶴「くっ!(これもダメなの?)」
咲「なら、私が近距離で叩く!」
そう言って攻め込もうとした時、
?「やっと見つけたぞ。」
咲「!?(この声は)」
私は咄嗟に振り向くが、その時にはもう既に攻撃が迫っていた。
咲「ぐぅぅぅ!」
私はそのまま激しく吹き飛ぶ。
ハスター「久しぶりだな。柊咲!」
咲「ハスター!」
そいつの顔を見た瞬間、腸が煮えくり返り怒りが収まらなくなった。
ハスター「貴様にやられた屈辱、あれから忘れたことは無い!」
咲「うぅぅぅぅ!」
雫「さ、咲さん!?落ち着いてください!(まるで獣のようだ。)」
ハスター「あんな剣士を殺されたくらいでそんなに怒るとは。人の沸点は低いな。」
咲「!!!!」
その言葉は、私の怒髪天をついた。
咲「ハスター!お前だけは殺す!」
次の瞬間、私はハスターへ突っ込む。
ハスター「魔法しか使えないと思うなよ、小娘!」
その瞬間、ハスターの腕が触手のように変わった。
ハスター「怒りのまま突っ込んでくるのでは勝てるわけがない!」
そう言ってハスターが触手で私を攻撃した。
咲「がぁ!(こんなの!)」
しかし私はそのまま強引に距離を詰めた。
咲「殺す!」
ハスター「な!(前より速くなっている。)」
私の攻撃がハスターに当たったと思った。だがハスターはギリギリで防御魔法を入れ込んでいた。
ハスター「簡単には殺さないぞ?貴様にはじわじわと痛みを与えてやる。」
その頃、湊達は化け物を相手していた。
?「ぐぉぉぉぉ!」
湊「なんなんだこいつ!」
神宮寺「(攻撃力はあるが、動きは今までのヤツらに比べたらまだ遅い!)」
碧「これじゃあ火力が足りないのかな?なら。憑依、アクロバティックさらさら!」
そう言った碧が化け物へ渾身の蹴りを放つ。
碧「おりゃぁ!」
?「がぁぁぁぁ!」
その攻撃で化け物は少し怯んだ。
知鶴「今ね!ありったけのエネルギーをお見舞いしてやるわ!」
雫「強化するよ!」
その隙をついて知鶴さんが渾身のエネルギー砲を放った。
?「がぁぁぁぁ!」
知鶴「よし!」
その攻撃は効いたと思った。しかし、
?「ぐぅぅぅがぁぁぁ!」
知鶴「嘘!?」
雫「そんな...」
その攻撃を受けても化け物はピンピンしていた。
湊「くっ!(こうなったら影で圧殺する!)」
?「そろそろ入ってもいいよな?」
?「大丈夫でしょ。」
次の瞬間、上から拳と斬撃が飛ぶ。
湊「な!(いつの間に!?)」
神宮寺「くっ!」
2人はその攻撃をバックステップで躱した。
神宮寺「お前ら!」
サタン「ん?お前見たことあるなぁ。」
ロキ「また会ったね。湊くん?」
湊「ロキ!」
予想外の増援。それにより絶望度が高まった。
ハスター「ほらほら、どうしたのだ?仇をとるのではなかったのか?」
咲「黙れ!(なんで当たらないの?)」
ベルザ「咲さん!落ち着いてください!(怒りに任せすぎて攻撃が単調になってる。)」
ベルザの声も虚しく、私は怒りのままに攻撃を続けた。
ハスター「少しは成長したかと思ったが、期待はずれだな。」
そう言ってハスターが触手で私を殴る。
咲「ぐっ!(なんて威力!)」
ハスター「はぁ、もう興ざめだ。」
次の瞬間、ハスターが無数の風の矢を放つ。
咲「がぁぁぁぁぁ!」
私はそれを避けられず、もろに喰らってしまった。
咲「ぐっ、がっ。」
ハスター「さぁ、もう終わりだ。あの剣士に会えるのだから喜ぶといい。」
そう言ってハスターがあの風の斬撃を飛ばした。その時、
?「そんなのさせるわけないでしょ。」
その斬撃が急に起動を変えて、ハスターに向かっていった。
ハスター「何!?」
ハスターはギリギリで躱した。
ハスター「お前は。」
風露「咲ちゃんを殺させるわけないでしょ。」
咲「風露...さん....」
何故四神がここに?いや、そんなことよりも!
咲「み、みんなの方に。」
風露「安心してください。そっちにも向かわせてます。」
その頃、湊達の方は
神宮寺「くっ!(こんなの聞いてねぇ!。)」
湊「くそ!(どうすれば!)」
サタン「おらおら!どうしたどうした?まだまだ上があるだろ!?」
ロキ「ほら、もっとギアを上げるよ?」
思わぬ増援により、苦戦を強いられていた。
碧「このままじゃまずい!(もうぬらりひょんを憑依させるしか!)」
その時、2つの戦いの間に割って入る者がいた。
燐「おら!」
水葉「そこまでだよ!」
サタン「くっ!」
ロキ「おっと!」
そこに四神の2人が駆けつけたのだ。
燐「無事か!2人とも!」
水葉「遅れてごめん!」
湊「燐さん!水葉さんも!」
神宮寺「何故ここに?」
サタン「四神か!面白い!」
ロキ「いいね、盛り上がってきたじゃん!」
2人の登場でロキとサタンのボルテージが上がる。
燐「(こいつらを野放しにしたらまた何か仕掛けるかもしれないな。)水葉、少し本気出すか?」
水葉「そうだね。今回は遊べないなぁ。」
一方、穂乃香達は湊達の助太刀に向かうはずだった。
穂乃香「な!これは一体!」
誠一郎「...とりあえず、やらなきゃならないな。」
そこには湊達への道を塞ぐようにロボットの軍団がいたのだ。
観月「我らの足止めが目的か?」
椎名「何はともあれ突破以外ないね。」
隼司「よし、やるぞ!」
次の瞬間、全員がロボット達を倒しにかかる。
隼司「よし!(こいつらとは1回やり合ってるから強さがわかるぞ!)」
着々と倒していったのだが、
?「あらあら、簡単にやられちゃうわね。」
?「仕方ない。俺らが出るか。」
次の瞬間、どこからか異様なオーラを纏った奴らが出てくる。
穂乃香「!!この空気は....」
?「はじめまして。私はカーリー。魔人よ。」
ヴリトラ「久しぶりだな、誠一郎よ。」
誠一郎「ヴリトラ!」
そこにはカーリーと呼ばれる魔人と、誠一郎と戦ったことのあるヴリトラがいた。
隼司「こいつら、ロキ達に似た何かを感じるな。」
誠一郎「ヴリトラ、あの時は倒し損ねたけど、俺も強くなったんだ。ここで倒させてもらうぞ。」
ヴリトラ「ふっ、ほざけ。あれが全力だとは思わないことだ。」
次の瞬間、誠一郎くんが能力を発動し、腕はゴリラ。背中に羽を生やした。
誠一郎「行くぞ!」
誠一郎くんがヴリトラ目掛けて突っ込んでいく。そして渾身のパンチを放つ。
ヴリトラ「ふぅぅぅん!」
ヴリトラは真正面から堂々とそのパンチを受け止めた。
ヴリトラ「面白いじゃないか。俺も楽しめそうだ。」
一方カーリーと対峙していたのは穂乃香だった。
穂乃香「(敵がどんな攻撃を仕掛けてくるか分からない以上迂闊には動けませんね。)」
カーリー「さて、私達も始めましょう。」
そう言って彼女は刀身が湾曲している刀を取り出した。
穂乃香「それは、曲刀ですか。」
カーリー「そうよ。私の愛刀なの。さぁ、行くわよ!」
そう言ってカーリーが突っ込んで来た。
穂乃香「(速い。けど見える!)80%解放!」
カーリー「挨拶代わりに!」
カーリーが斬撃を振り下ろすが、穂乃香は躱してみせた。
カーリー「(いい反応だ。これは油断出来ないなぁ。)」
穂乃香「次はこちらからいきます!」
穂乃香は反撃の斬撃を放つ。
カーリー「優秀だね。でも私には届かないよ。」
そう言ってカーリーはバックステップて躱した。
穂乃香「(いまを避けるとは。これは長期戦になるかもしれませんね。)」
カーリー「いい攻撃だったわ。楽しめそうね。」
サタン「いくぞ!」
サタンが燐さんに拳を放ち、衝撃波が生まれた。
燐「こんなの喰らうか!」
しかし燐さんはその衝撃波を払い除けた。
燐「今回は遊べないんだ。早く終わらせる。」
そういうと、燐さんは炎を拳に纏わせて殴りかかった。
サタン「いいなぁ!殴り合いと行くか!」
2人が殴り合いをする中、ロキや水葉の方でも戦いが起きていた。
ロキ「ははっ!いいね!やりがいがあるよ!」
水葉「なかなかやるね。(能力もあるけど、シンプルな実力もある。)」
ロキとレーヴァテインと水葉のトライデントが激しくぶつかり火花が散る。
ロキ「ならこれはどう?」
そう言ってロキが剣を振るうと電撃が水葉さんを襲った。
水葉「へぇ、そんなのもあるんだ。」
しかしその電撃はシールドで防がれていた。
ロキ「うぉ、速!」
ロキが1度距離をとる。
ロキ「いいねぇ、楽しいよ。」
水葉「(なんだ?この子から違和感が。)」
一方、湊達は再び化け物と戦っていた。
湊「ちっ!やっぱり固いな。」
碧「くっ!(このままじゃ魔力が!)」
神宮寺「まずいな。どんどん削られてる。」
このままでは全滅と思っていた時
?「がぁ、ぐがぁ。」
知鶴「な、何よ急に。」
雫「動きが鈍くなった?」
ハスター「ちっ!(街で暴れ回らせ過ぎたな。今日はここまでか。)」
次の瞬間、ハスターが一気に風魔法を使い自身の周りをおおった。
ハスター「これで終わりと思うな。また必ず近寄る。」
風露「待ちなさい!」
風露さんが止めようとしたが、ハスターの姿は既に消えていた。
?「が?」
碧「え?何あれ。」
ハスターが消えたと同時に化け物も風と共に姿を消した。
サタン「あ?なんだよ引くのか?」
ロキ「残念。またね。」
そう言ってロキが自身の足元から煙を放つ。
燐「ちっ!(また逃げられる!)」
煙が晴れると既にロキたちは消えていた。
水葉「みんな!大丈夫?」
碧「は、はい。何とか。」
湊「助かりました。」
知鶴「早く戻って回復しないとやばそうね。」
水葉「うん、速くそうしよう。」
風露「咲さん。大丈夫ですか?」
咲「は、はい。(怒りに任せすぎた。)」
その頃、穂乃香達の方でも動きがあった。
誠一郎「はぁ、はぁ。(こいつ、今まで力を隠してたのか。)」
ヴリトラ「やはりお前はいい。さぁ、まだやり合おう。」
カーリー「やるね。まだまだこれからだよ。」
穂乃香「くっ!(膠着してしまった。何かしら打開策を打たなくては。)」
隼司「ちっ!(助太刀したいが、数が多すぎる。)」
その時、どこからか落雷が落ちた。それにより、ロボット達が完全に停止したのだ。
椎名「落雷!?」
観月「一体何が?」
煙が舞う中、1つの人影が見える。
雷斗「ごめん。遅くなった。」
誠一郎「雷斗さん!」
そこには四神の雷斗さんがいたのだ。
ヴリトラ「四神か。まさか来るとは。」
カーリー「ちょっと面倒になってきたね。」
その時、ヴリトラ達の周りを風が覆う。
ヴリトラ「なに、もう撤退か。」
カーリー「まぁちょうどいいかも?」
そう言い残し2人は消えた。
雷斗「大丈夫?みんな。」
穂乃香「はい。何とか無事です。」
隼司「というか、雷斗さんが何故ここに?」
雷斗「詳しくは後で話すよ。さぁ、ホテルに戻ろう?」
こうして、私達は無事ホテルへ帰還したのだった。
セロ「あのハスターとかいう奴、咲さんを殺すつもりのようですね。」
ベルゼブブ「どうする、とられる前に仕掛けるか?」
セロ「いえ、ここはあえて泳がせましょう。場合によっては彼ら諸共始末してしまえば良いのですから。」
凪「これは。」
拓真「何かわかったのですか?」
凪「あぁ、まさかこんなに自然に溶け込ませていたとは。(これは対策を打たないととんでもないことになるぞ。)」
拓真「とりあえず、国へ応援要請を取ります!」
凪「ああ、そうしてくれ。それと、ついでにあれもお願いしといて。」
拓真「え!?あれですか?」
神宮寺「いっ!」
雫「大丈夫ですか。今回復させますから。」
神宮寺「あ、あぁ。助かる。」
知鶴「湊達も大丈夫?」
湊「まぁなんとか。」
碧「あのまま戦ってたら魔力切れでやられてたかも。」
隼司「こっちもやばかったよな。」
誠一郎「ああ、まさかヴリトラ達が出てくるとは。」
穂乃香「あのカーリーという者も厄介です。まだなんの能力があるか分からないので。」
椎名「雷斗さんが来てくれて良かったよ。」
観月「命の恩人である。」
雷斗「いやぁ、そんな大したことはしてないよ。」
碧「そういえば、咲はどこ行ったの?」
雫「咲さんなら、さっき部屋に戻って行きましたよ。」
碧「どうしたんだろ?」
雫「さぁ?」
知鶴「そういえば、四神の皆さんはなんでここに?」
燐「ん?あぁ、まだ言ってなかったね。」
水葉「実は私達宛に国から正式に依頼が来たの。」
湊「国から?」
雷斗「なんでも、この地方で異常な魔力反応が出てきて、それを調べていた国から派遣された奴と連絡が取れなくなったっていう内容でさ。」
神宮寺「それは確かにおかしいですね。国から派遣された人ならSランクはあってもおかしくないのに。」
燐「だから私達に調査と討伐が依頼されたってわけ。」
風露「でも、調査の方はほとんどいらなそうだけどね。」
雷斗「あぁ、恐らくアイツらが原因だろう。しかし、結構面倒くさい相手だな。」
その頃、とある一室では。
咲「.........」
ベルザ「咲さん?大丈夫ですか?」
咲「ベルザ。ごめん。私また...」
私は部屋で自身の行動を悔いていた。あの時、冷静に対処していればハスターを倒せたかもしれないのに。
咲「(もしあの時いたのが冬季なら、あのまま倒せたのかもしれない。)」
冬季は皆を守るために行動してた。でも私は違った。
咲「(どうしたら。)」
その時、部屋の窓が開いた。
凪「やぁ、咲ちゃんだっけ?」
咲「え?」
そこには凪さんが立っていた。
凪「何やら悩んでるみたいだね。」
咲「は、はい。実は」
そこで私は今日のことを話した。
凪「なるほど。怒りに任せてしまったことを悔いているんだね。」
咲「はい。私の恩人ならこんなことにならなかったかもしれないのに。」
その時、凪さんが刀に触れた。
凪「...大切にしてるね。この刀。」
それは、冬季が授けてくれた刀だった。
咲「はい。私の恩人が大切にしていたものなんです。」
凪「そうなんだ。」
凪さんはそっと刀を置いて話し始めた。
凪「俺も怒りに任せて戦った時があったんだ。その時は大切なものを守れずすごく後悔した。」
咲「そうなんですね。」
凪「だから君が悩む気持ちも分かるよ。でも、きっとこの刀を渡した人は君が悩んだり苦しんだりする事が少しでも減らすために命をかけて守ったんじゃない?」
咲「あ...」
その時、1つの光景が頭をよぎる。
咲「はぁ。」
冬季「どうした、ため息なんかついて。」
咲「冬季か。いやね...」
その頃の私はまだ能力が使えない普通の人間だった。
咲「周りの皆を見てると、なんで私は能力が使えないんだろって思うこともあってさ。」
冬季「なるほどね。でも能力があったっていいことないぞ?」
咲「それ皮肉?」
冬季「いやいや、違うって。」
その時、冬季が能力を発動する。
冬季「俺の能力だって、普段使い出来ないし、普通の人間と対して変わらないさ。」
咲「でも能力があると、魔物との戦闘にも困らないでしょ?」
冬季「え?戦闘狂?」
咲「違う、そうじゃない。」
冬季「ま、いつかそんな悩みが無くなるようになるさ。それまで気長に待とうや。」
咲「....ふふっ、全く呑気なんだから。」
でも、そんな呑気さに少し救われたような気がした。
凪「怒りは時に強い武器になり、時には重大な弱点になる。そこをしっかり見極めないとね。」
そう言って凪さんは消えていった。
咲「(あの人、どこか冬季と似ているような。)」
ベルザ「咲さん?」
咲「....ベルザ、私思い出した。」
そうだ。私は仇を取るなんて思わなくていいんだ。だって
咲「冬季はいつか帰ってくるんだからね!」
ロキ「ハスター、そいつの調子はどうなの?」
ハスター「悪くなかったぞ。明日には改良が済むだろう。お前も準備しておけ。」
ロキ「わかった。」
ハスター「あと、いつまでも遊ぶなよ。私たちは殺し合いに来ているのだから。」
ロキ「...」
ロキは部屋を後にしたあと、深いため息をついた。
ロキ「はぁぁぁぁ。(楽しくないなぁ。)」
ヴリトラ「どうした、ロキ。」
ロキ「あ、ヴリトラ。いやね、あんまり楽しくないなーって。」
ヴリトラ「そうなのか?戦いを楽しそうにしていたが。」
ロキ「うん。戦いはね。でも殺し合いは楽しくないんだよ。」
ヴリトラ「なんだそれ。分からない奴だな。」
ロキ「(みんなは殺し合いを楽しんでる。僕とは違うんだ。)」
翌日。朝起きると四神の皆さんが待っていた。
燐「おはよう、皆。」
知鶴「おはようございます。しかしどうしたんですか?」
水葉「昨日襲撃してきた奴らの居場所がわかったんだ。」
雫「え!?速すぎないですか?」
雷斗「まぁ国が総力を上げて探したからね。」
風露「今からそこに向かうつもりだけど、全員で乗り込むのは流石に危険だから、待機する人達と攻め込む人達に分けようと思うの。」
そういうことで、メンバーが分けられた。
水葉「じゃあ、攻め込む人達は、咲ちゃん、碧ちゃん、知鶴ちゃん、誠一郎くん、神宮寺くん。
待機する人達は、湊くん、雫ちゃん、穂乃香ちゃん、隼司くん、観月くん、椎名ちゃんね。」
源「俺は他の生徒を安全な場所まで連れて行こう。」
咲「じゃあ、行ってくる。」
湊「あぁ、頼むぞ。」
そうして私達は敵のアジトへと向かったのだった。
ベルゼブブ「セロ、そろそろ支度ができたぞ。」
セロ「そうですか。では行きましょうか。」
レヴィアタン「襲撃にいくのか?」
セロ「ええ。今回こそは確実に手に入れます。」
雷斗「着いたよ。ここだね。」
そこにはとてつもない大きさのビルがあった。
碧「あれ?咲、そのネックレスって。」
咲「あぁ、これね。お守りだよ。もう感情に任せて動かないためにね。」
燐「よし!行くぞ!」
そう言って燐さんがドアを開けようとした時、
空間に皹がはいり、穴ができた。
知鶴「!?この穴は!」
セロ「どうもこんにちは。」
咲「セロ!」
セロ「残念ですが、ここから先に行くより前に、あなたを回収させて貰いましょうか。」
雷斗「舐めるなよ?俺らがいる中でそんなことさせてたまるか。」
そう言って雷斗さんが剣を構えた。
雷斗「先にいけ。こいつは俺がやる。」
水葉「わかった!皆行くよ!」
その言葉と共に、私達はビルの中に入ろうとする。
セロ「逃すわけないでしょう!」
雷斗「それはこっちのセリフだ!」
セロは私達を止めようとするが、雷斗さんがそれを見逃さない。
セロ「ちっ!面倒ですね。まずはあなたから始末しましょうか。」
雷斗「やれるものならな。」
中に入った私達は2つに別れた道を見つけた。
燐「私は下に行く!風露と水葉は上を頼む!」
水葉「OK!」
風露「任せて。」
燐「咲ちゃん!神宮寺くん!知鶴ちゃん!一緒に来て!」
咲「はい!」
知鶴「わかりました!」
神宮寺「やってやります!」
水葉「じゃあ2人はこっちに!」
碧・誠一郎「はい!」
こうして私達は2手に分かれたのだった。
その頃、待機組の方でも異変が起きていた。
湊「ちっ!やっぱり来たか!」
そこには無数のロボットとゾンビ軍団が来ていた。
サタン「よぉ、また来てやったぜ。」
湊「お呼びじゃないんだよ!」
湊がそう言いながら影を放つ。
サタン「悪くねぇが、甘いな!」
サタンはその攻撃を跳ね返した。
ヴリトラ「サタン、そいつは任せた。俺は他の奴らを潰す。」
隼司「おいおい、舐めてくれるなぁ。」
穂乃香「私達を見くびらない方がいいですよ。」
観月「ザコは我らが始末する。」
雫「私も手伝います!」
椎名「頼むよ、2人とも。」
ヴリトラ「2対1か。それも面白い!」
碧「うーん、ここにも居ない。」
誠一郎「一体どこに行ったんだ。」
碧達が敵を探していた時、
水葉「!?避けて!」
次の瞬間、あちこちで爆発が起きた。
碧「ぐぅぅ!」
誠一郎「ちっ!」
2人は何とかその爆発を躱した。そして煙が晴れていく。
ロキ「やっほー。あれ?咲ちゃんはいないのか。」
碧「ロキ!」
誠一郎「お前か。」
ロキ「さぁ、殺しあおうか。」
そう言ってロキが武器を取り出す。
水葉「ここは私がやるよ。3人は先に行って。」
風露「わかった。行こう、2人とも。」
碧「はい!」
ロキ「行かせないよ!」
ロキが指を鳴らそうとする。
水葉「君の相手は私よ!」
しかし水葉さんがトライデントの突きでそれを阻止する。
ロキ「おっと!いいね、楽しめそうだ。」
その頃、地下に向かった私達はというと
燐「うーーん。」
咲「あの、燐さん。もしかして。」
燐「迷ったね。」
咲「嘘でしょ!?」
この地下室は迷路のように複雑でさっきから同じ場所を行き来していた。
神宮寺「これはまずいな。」
知鶴「探索魔法とかあったかしら。」
そんなふうに悩んでいた時、
ベルゼブブ「どうも。」
燐「な!」
空間に穴が開き、そこからベルゼブブが現れた。
ベルゼブブ「柊咲の身柄を渡してもらおう。」
燐「それは無理な相談だね。」
ベルゼブブ「そうか。なら、仕方ない。」
次の瞬間、ベルゼブブの眷属が大量に押し寄せてきた。
燐「ちっ!(こいつらの狙いは咲ちゃん。なら!)」
次の瞬間、燐さんが私を持ち上げた。
咲「え?ちょっと!」
燐「咲ちゃん。ここは私達が抑えるから先に行って!」
そう言って燐さんが私を投げた。
咲「あーーれーーー!」
燐「2人とも、やるよ。」
知鶴・神宮寺「はい!」
碧「ここが最上階ですか。」
風露「そうみたいだね。」
そう言って扉を開けると、そこには2つの人影があった。
カーリー「来たのね。」
レヴィアタン「ちっ!邪魔を!」
碧「レヴィアタン!?なんでここに。」
レヴィアタン「それを言う理由などない。それより、柊咲はどこにいる。」
誠一郎「言うわけねぇだろ。」
風露「2人とも、やるよ。」
カーリー「ふふっ、楽しめそうね。」
拓真「あああ、ついに始まってしまいました。」
凪「そんなに怯えるなよ。ところで、あれはどうなった?」
拓真「まだ国からの許可は降りてません。」
凪「ちっ!何を渋ってるんだあいつらは」
その時、システムが異常な魔力を感知する。
拓真「!?これは」
凪「くっ!来やがったか。(本格的にまずいな。早く許可出しやがれ!)」
セロ「やりますね。流石は四神!」
雷斗「そりゃどうも!」
セロと雷斗さんが一進一退の攻防を繰り広げる。
雷斗「(こいつ、さっきから俺の速度にいとも簡単に対応してくる。これは面倒な戦いになるな。)」
セロ「しかし、こんなところで油を売っていていいのですか?」
その時、セロが不審なことを言う。
雷斗「何?なんの事だ?」
セロ「知らないんですね。彼らの情報管理もなかなかのものです。」
雷斗「何を言ってる!」
セロ「彼らは他の地方で大量の魔物を放ってます。今頃その地方では魔物が暴れ回っているでしょう。」
雷斗「なんだと!」
その情報が本当かどうかの確証はないが、もし本当ならとんでもないことだ。
雷斗「ちっ!(とっととこいつを始末しなければ!)」
次の瞬間、雷斗さんが凄まじい踏み込みを見せた。
セロ「速いですが、止められますね。」
雷斗「ちっ!(まずいな。早く情報を共有しなければ!)」
サタン「おらおら!もっとギアあげてけよ!」
湊「暑苦しいなぁ。(さて、このパワーをどう乗り越えようか。)」
次の瞬間、サタンが凄まじい威力のパンチを放つ。
サタン「おら!」
湊「くっ!」
湊は間一髪でその攻撃を躱した。
サタン「お前なかなかやるな。そうだ。」
するとサタンが思いもよらないことを言う。
サタン「お前、俺らの仲間にならないか?」
湊「....は?」
サタン「お前なら実力も悪くない。今より強くなれるぞ?どうだ。」
湊「悪いが、そんな誘いにのるくらいならとっくの昔に死んでるさ。」
サタン「はぁ、やっぱり断るか。じゃあ聞くが、お前はなんのために戦ってるんだ?」
湊「え?」
サタン「俺の様に強者を求める訳でもないなら、お前の戦う理由はなんだ。」
湊「....そんなの決まってるだろ。」
その時、湊の胸に去来するものがあった。
それは、仲間と遊んだ日の光景だ。
知鶴「穂乃香、あなたなんでも出来るわね。」
穂乃香「いえいえ、そんな事は。」
誠一郎「ほら湊。それじゃあ隙だらけだぞ。」
湊「あー!ちょ!タイムタイム!」
『皆でゲームしたり、食べ歩きして、楽しかったなぁ。』
雫「あの、この衣装はいつまで着てれば?」
碧「もうちょっと着ててよ。」
咲「湊、これ美味しいよ。」
『皆と笑って色んなことして、面白かったなぁ。』
冬季「湊、俺に何かあったら、皆を頼むな。」
湊「お前に何かあるなんてことないだろ?」
冬季「まぁそのつもりだけどな。」
湊「(あの楽しい日々をまた過ごしたいからな。)」
サタン「あ?どうした?」
湊「悪いな。譲れない理由があるんだ。」
湊はそういうと、全身に影を纏わせた。
湊「こっからは別人だぞ。」
サタン「はっ!面白ぇ!」
隼司「くっ!(こいつ、固い!)」
穂乃香「(このままではジリ貧ですね。)」
ヴリトラ「その程度か?」
次の瞬間、ヴリトラが槍を振り回す。
穂乃香「くっ!」
隼司「ちっ!」
2人はバックステップで何とか躱す。
ヴリトラ「興ざめだ。そろそろ終わらせてやろう。」
そう言った瞬間、ヴリトラの姿が変わる。体の色は紫になり、筋肉が隆起した。そして背中からは羽が生えた。
穂乃香「これは....」
隼司「ははっ、やべぇな。」
明らかにオーラが変わり、確実に強化されていることがわかった。
穂乃香「(なら、もう出し惜しみしてられませんね。)100%解放。」
隼司「ちょ、そんなに解放したら体への負荷が!」
穂乃香「(それでも、あの方のためなら!)」
昔から、私は天才と呼ばれてきた。何をしてもいい結果を残してきた。でも、あの入学試験の時、
生徒「悪く思うなよ?」
穂乃香「くっ。」
私は魔物を倒した後の疲労しきっていた時に他の生徒から奇襲を受けていた。
知鶴「弱ってる相手を狙うなんて見苦しいわね。」
穂乃香「え?」
そんな時に助けてくれたのが、知鶴様だった。
私を超える魔力量。それに惹かれたのか私はその後、あのお方と関わることが多くなった。
知鶴「穂乃香、あなたは私の右腕よ。これからよろしくね。」
穂乃香「はい、この身をあなたに捧げます。」
以来、私はあのお方に付き従えると決めたのだ。
穂乃香「私は、あのお方のために!全てを差し出すと決めたのです!」
次の瞬間、穂乃香が爆発的な踏み込みを見せる。
ヴリトラ「な!?(速い!)」
穂乃香「はぁ!」
穂乃香は渾身の突きを放った。
ヴリトラ「(これは避けなければ!)」
ヴリトラは何とかその突きを躱した。
隼司「す、すげぇ。(あの速さ、下手したら俺より。)」
観月「隼司、何をしているのだ。」
椎名「ぼーっとしてないの!ほら!」
その時、隼司の背中を2人が叩いた。
隼司「お前ら、ロボットはどうした?」
観月「雫殿が引き受けてくださったおかげで全て片付けることが出来た。」
雫『サラウンズシールド!クラッシュ!』
観月『なんと!』
椎名『すご!』
雫『ここは引き受けます!隼司さん達の方へ!』
観月「我らも加勢する。」
椎名「3人でやろ?」
隼司「.....あぁ!」
次の瞬間、3人がヴリトラへ突っ込む。
ヴリトラ「何!?(あのロボットを全て倒したのか?)」
椎名「とりあえず十八番を!」
椎名が煙玉を取り出す。
ヴリトラ「させるか!」
ヴリトラはそれを阻止すべく、煙玉が落ちる前に弾こうとする。
ヴリトラ「(なんだ?この違和感。)」
ヴリトラの槍が煙玉に当たった瞬間、
椎名「騙されたね?」
何と、煙玉と思っていたものが爆発したのだ。
ヴリトラ「ぐぅぅぅ!」
ヴリトラはその爆発をもろに喰らった。
椎名「炸裂弾だよーだ。」
観月「好機!」
その隙をつくように観月が斬撃を放つ。
ヴリトラ「ふぅぅぅん!」
ヴリトラはその攻撃を何とか受け止めた。だが、
観月「我が剣はそんなものでは止まらない!」
ヴリトラ「な!(押し込まれる?)」
隼司「やっぱお前ら最高だわ!」
隼司くんがヴリトラの背後に周る。
ヴリトラ「くっ!(背後をとられたか。だが気を抜けばこいつの斬撃を喰らうことになる。)」
隼司「これはもらったぁ!」
ヴリトラ「やられたか....」
次の瞬間、隼司の斬撃がヴリトラを捉えた。
ヴリトラ「ぐぅぅぅ!」
隼司「よし!」
穂乃香「畳み掛けます!」
ヴリトラ「調子に乗るなよ!」
そういったヴリトラの力が上がる
観月「なんと(押し返される。)」
ヴリトラ「うらぁぁぁ!」
ヴリトラは強引に観月を押し返した。
ヴリトラ「これからが本番だぞ。」
咲「はぁ、はぁ。あーもう!なんなのよ!」
その頃、私は迷路の道に苦戦していた。
咲「速く見つけないといけないのに!」
そう言って走っていると、1つの扉が見えた。
咲「見つけたぁぁぁぁ!」
私はその扉を開けて、その部屋に入った。その部屋はとてつもない広さをしていて、中にはハスターとあの化け物がいた。
ハスター「ほう、まさか自ら死にに来るとは。」
咲「この時を待ってたよ、ハスター!」
ハスター「貴様は私が直々に手を下すつもりだが、今はそんな暇はない。」
そう言うと、ハスターは化け物を動かした。
ハスター「ゆけ、クトゥルフ。そいつを始末しろ。」
クトゥルフ「ぐがぁぁぁ!」
その言葉を聞いたクトゥルフは私目掛けて飛び込んできた。
咲「くっ!(何この大きさ!)」
私は何とか躱して距離をとる。
咲「これは大変な相手だね。」
そうして私は血液パックを取り出した。
咲「(昨日とは違う!冷静に対処する!)」
そう思い、私は血液パックを飲み干した。その直後、私の周りを血液が覆う。そして私は完全な吸血鬼化に成功したのだ。
咲「よし!できた!」
ハスター「(なんだ?昨日とは明らかに何かが違う。)」
クトゥルフ「がぁぁぁ!」
クトゥルフが再び襲いかかる。
咲「無駄だよ。」
しかし、私はその攻撃を軽々と避けてカウンターの蹴りを放った。
咲「えい!」
クトゥルフ「ぐがぁぁぁぁ!」
クトゥルフは大きく吹き飛び、壁に衝突した。
ハスター「何!?(どこにあんな力が。)」
クトゥルフ「がぁぁぁぁ。」
咲「くっ!(やっぱり立ってくるか。なら!)
ちょっと手伝って!」
そう言って私は魔法陣を展開した。
ハスター「(なんだ?とてつもない魔力が。)」
そこから出てきたのはベルザだった。
ベルザ「お呼ばれしました。私はどちらを相手すれば?」
咲「クトゥルフの方をお願い。」
ベルザ「承知しました。」
そう言うと、ベルザはクトゥルフの方へ向かっていった。
咲「さて、これであなたと1対1ね。」
ハスター「全く、そんなに殺されたいのか。」
そう言うとハスターはこちらへ振り向いた。
ハスター「では、ここで確実に始末してやろう。」
咲「望むところよ!」
水葉「はぁぁぁぁ!」
ロキ「いいね、いいねぇ!」
ロキと水葉さんが凄まじい攻防を見せる。
ロキ「本気でやらないと負けちゃいそうだな。」
そう言ってロキが剣に付与した魔法の効果を発動する。
ロキ「身体強化、雷を纏わせる。」
水葉「(やっぱりこの剣、特殊な効果があるね。)」
ロキ「これはどう!」
水葉「はぁ!」
ロキの斬撃を水葉さんはバックステップで躱した。
ロキ「いいね、楽しくなってきたよ!」
水葉「.....それ、本心?」
ロキ「え?」
水葉さんが突然疑問を投げる。
水葉「君のその楽しいって気持ち、何か嘘くさいんだよね。」
ロキ「な、何を」
水葉「気になるなら考えてみなよ。」
ロキ「......(俺は今、楽しいのか?)」
あの方に生み出された時、
?「お前の名前はロキだ。」
ロキ「はい、承知しました。」
俺はあの方の意のままに働いてきた。望むのなら殺人だって行った。でも、その時に毎回思うことがあった。
ロキ「(...楽しくないなぁ。)」
そう、俺は殺す時だけは楽しめなかったんだ。他のみんなは違う。殺戮を楽しむ奴らばっかだ。でも、誰かと戦ってる時は楽しかった。殺すことの無いお互いの実力をぶつけ合う戦いは特に。それがなんでかは分からないけど、戦闘を重ねる事に、殺すことへの抵抗が強くなった。
ロキ「お、俺は。」
その時、ロキからの闘気が消えた。
水葉「どうやら、自分の気持ちに気づいたようだね。」
レヴィアタン「お前ら、生徒の割にはやるなぁ。」
誠一郎「ちっ!余裕ぶりやがって。」
碧「ムカつくわね!」
カーリー「これが四神なのね!面白いわ!」
風露「私は面白くないから、早く終わらせるよ。」
次の瞬間、風露が風の矢を大量に放つ。
カーリー「(この近距離で!?)」
カーリーは躱そうとするが、完全には躱しきれず、何発か喰らっていた。
カーリー「ぐっ!(なにあの量。あんなの躱しきれるわけないわよ。)」
風露「次は全部当てる。」
カーリー「いいのよ。私は時間さえ稼げれば。」
風露「?どういうこと?」
カーリー「教えるわけないでしょ。」
碧「(時間稼ぎ?何か目的があるのか。なら早く終わらせないと!)」
レヴィアタン「だがそろそろ飽きてきたな。もう終わらせようか。」
次の瞬間、レヴィアタンの姿が変わった。体には鱗が出てきていて、口からは牙も生えていた。
誠一郎「なら、俺もリミットを外すぞ。」
そう言った瞬間、誠一郎くんの姿がライオンに統一された。
碧「なら私も!憑依、ぬらりひょん!」
碧がそう言った瞬間、彼女の周りを白い布が覆い、布が晴れると髪が長くなり、和服となり、謎の杖を持っていた。
碧「(この前は途中で意識を失ったけど、今の私なら!)行くよ!大妖乱舞!」
次の瞬間、今まで憑依してきた妖怪が一斉に突撃する。
レヴィアタン「何!(なんだこれは。)」
誠一郎「が、がぁぁぁ!(ギリギリ意識は保ってる!)」
それと同時に、誠一郎くんも突っ込む。
レヴィアタン「(まずい!)」
誠一郎「がぁぁぁ!」
碧「行けぇぇ!」
まず誠一郎くんの爪による斬撃が飛ぶ。
レヴィアタン「ぐっ!」
その攻撃はレヴィアタンに直撃した。
レヴィアタン「図に乗りやがって!」
レヴィアタンが反撃しそうになった時、碧の妖怪が襲いかかる。九尾は炎を放ち、アクロバティックさらさらは蹴りを放つ。
レヴィアタン「がっ!」
続いて鵺が後ろから襲撃し、かまいたちが斬撃を放った。
レヴィアタン「ぐぅぅ!」
レヴィアタンがたまらず距離をとる。
レヴィアタン「いいだろう、貴様らを強者と認める。久しぶりに胸が高鳴ってきたぞ!」
燐「おら!喰らえ!」
ベルゼブブ「そんな簡単に当たりませんよ。」
知鶴「ああ、もう!次から次えと!」
神宮寺「キリがないな。一度の攻撃で大量に削れればいいんだが。」
知鶴「(...なら、あれを使うしか。)」
神宮寺「知鶴。何か手があるのか?」
知鶴「あるにはあるわ。でも、これを使うと、私は.....(いや、迷ってる場合じゃないわね。)」
次の瞬間、知鶴がとんでもない量の魔力を放出する。
知鶴「今から使う魔法は、とんでもない量の魔力を使うわ。その後のことは任せてもいい?」
神宮寺「ああ、わかった。」
知鶴「ありがとう。じゃあやるわね。」
すると知鶴が魔法陣を展開し、詠唱を始めた。
知鶴「大いなる神よ。この私に一時、その力を授けたまえ。」
すると、その魔法陣から1つの刀が出てきた。
燐「え!?(あの刀は。)」
ベルゼブブ「(まさか!学生があの魔法を!?)」
知鶴「神器、天叢雲」
その刀からは強烈なオーラが放たれており、魔物達が距離をとる。
知鶴「神の一撃を受けてみよ!天空斬!」
そう言って知鶴が刀を振り下ろした。
魔物達「ぐぎゃぁぁぁ!」
その一撃で、魔物達は跡形もなく消し飛んだ。
ベルゼブブ「な!(我が眷属が!)」
神宮寺「よし!今なら行ける!」
知鶴「うぅ。」
神宮寺が知鶴を抱えたまま、道の先に進む。
ベルゼブブ「な、待て!」
燐「あなたの相手は私だよ!」
ベルゼブブは2人を阻止しようとするが、燐さんがそれを許そうとしなかった。
ベルゼブブ「ふっ、まぁいいだろう。今頃各地方では大量の魔物が暴れ回っているだろう。」
燐「なんだって!」
その情報は確かだった。今各地で大量の魔物が暴れ回っていたのだ。バトラー達がすぐに対処したが、数が多すぎるためか少しずつ押され始めている。
ベルゼブブ「さぁ、どうします?」
燐「ちっ!(あいつが動いていることにかけるしか!)」
拓真「!!来ました!国からの許可がおりましたよ!」
凪「よし!やっと来たか!」
そう言って凪さんがフードを外す。
凪「さぁ、今すぐ解決してやるよ。」
咲「喰らえ!」
ハスター「当たるか!」
その頃、咲やベルザ達は激しい戦闘を繰り広げていた。
ベルザ「くっ!(中々頑丈ですね。めんどくさい!)」
アザトース「がぁぁぁ!」
次の瞬間、クトゥルフがエネルギーを溜め始めた。
クトゥルフ「がぁぁぁ!」
そして巨大なエネルギー弾が放たれた。
ベルザ「(なんだ?何か嫌な予感が!)」
その攻撃をベルザはサイドステップで躱す。すると、そのエネルギー弾が衝突した壁が粉々になったのだ。
ベルザ「これは.....とんでもないですね。」
その時、ベルザの姿が消えかかる。
ベルザ「まずい!(活動時間が!)」
咲「ベルザ!」
ベルザ「咲さん。すみません....」
そう言ってベルザの姿が消えていった。
咲「くっ!(2対1か。これはまずいね。)」
ハスター「どうやら限界のようだな!」
咲「まだまだこれからよ!」
そう言って私が血の斬撃をいくつも放つ。
ハスター「無駄だ!」
ハスターはシールドで防ごうとする。だが、
咲「そんなのじゃ止まらない!」
ハスター「何!?」
その斬撃はシールドを破壊し、そのままハスターに直撃した。
ハスター「がぁぁぁぁぁ!」
ハスターはその攻撃を受けて、その場に膝をつく。
咲「チェックメイトよ。」
ハスター「くっ!貴様ごときに、私が負けるなど、有り得んのだー!」
ハスターがそう言うと、なんとクトゥルフを取り込み始めたのだ。
クトゥルフ「ぐ、がぁぁぁ!」
咲「な!?(自分の仲間を!)」
ハスター「こやつを作ること自体にも抵抗があったのに、まさかこやつを取り込むことになるとは。」
ハスターのオーラがどんどん禍々しいものに変わっていく。
ハスター「ははは!ふはははは!」
すると、徐々にハスターの姿が変化していった。
咲「な、何これ。」
神宮寺「咲!無事か!」
その時、ドアを蹴破って知鶴を抱えた神宮寺くんが入ってきた。
神宮寺「な、なんだコイツは。」
知鶴「こんな魔力、感じたことがない。」
ハスター「これが私の完全な姿。今の私の名はアザトース。万物の王の前にひれ伏せ!」
サタン「あっははははは!」
湊「狂ってんのか?」
サタン「違うさ、楽しいのさ。お前のような強者とやり会えてな。」
湊「悪いが、いつまでも付き合ってやれねぇんだよ!」
湊がそう言いながら影を纏わせた拳を放つ!
サタン「ぐぅぅ!」
それがサタンの胸部に当たる。
サタン「いい威力だ。やはりお前はいい。(影を纏わせてから急に強くなった。面白い。)」
湊「俺はお前に飽きてきたけどな。(こいつ、恐らく能力らしい能力はないな。単純に身体能力や肉体の頑丈さに恵まれてやがる。強いて言うなら異常なまでの身体強化ってところか?)」
そうして再びサタンが襲いかかろうとした時、
サタン「あ?」
突然サタンの動きが止まった。
湊「どうした?今更怖気付いたか?」
サタン「(妙だな。各地に放った魔物たちの気配が消えた。)」
その違和感は他の魔人たちも感じていた。
カーリー「あらあら、随分と暴れているわね。」
風露「何の話だ!」
カーリー「あなたには関係ないわよ!」
カーリーがそう言って斬撃を飛ばす。
風露「はっ!」
風露さんはその攻撃をサイドステップで外す。
カーリー「そうそう、そうやって逃げ回ってれば、ん?(変ね、魔物の反応が消えたわ。)」
ヴリトラ「(あの魔物たち、いつまで人間達と争っている。)全く、もっと早く終わらせられないのか?」
穂乃香「よそ見してる場合ですか!」
ヴリトラ「ちっ!」
穂乃香の斬撃をヴリトラは皮1枚で躱した。
隼司「ここだ!」
ヴリトラ「ぐぅぅ!」
しかし、隼司の背後からの襲撃に反応出来ず、背中に傷を負った。
ヴリトラ「(こやつらさっきから動きが鈍らん。何故だ。)」
ふと視線を変えると、そこには強化魔法と回復魔法を使っている雫ちゃんの姿があった。
雫「はぁ、はぁ。」
ヴリトラ「(なるほど、魔法で強化していたのか。しかもあの娘、あのロボットたちを全て撃退してきたのか。)やるではないか。だが、貴様らが時間をかけるほど、こちらには援軍が....ん?なんだ?(魔物の気配が消えた。何がどうなっている!)」
セロ「おやおや、これは(魔物達に忍び込ませてた悪魔たちの反応が消えましたね。これはまずいですね。)」
雷斗「油断したな?」
セロ「くっ!」
直後、雷斗さんの斬撃がセロに迫る。
セロ「危ないですね!」
しかしセロはギリギリでその攻撃を躱した。
セロ「残念ですが、もうあなたに構ってる暇はなさそうです。」
そう言うとセロは空間に空いた穴から大量の悪魔達を呼び出した。
セロ「では、失礼します。」
雷斗「な!待て!」
雷斗さんは後を追おうとするが、悪魔達が邪魔で逃してしまう。
雷斗「まずいな。早くしないとセロが咲ちゃんの方へ。」
アザトース「さぁ、いくぞ。」
咲「くっ!」
アザトースはそう言うと、大量のエネルギー弾を放ってきた。
咲「ちぃぃ!(なんなのこの量は!)」
神宮寺「くっ!がっ!(知鶴を背負ったままではかえって足でまといか。)」
知鶴「神宮寺、私は大丈夫だから。どこかに置いて咲を助けて上げて。」
神宮寺「.....わかった。」
神宮寺くんは知鶴を部屋の隅に置くと、結界を貼った。
神宮寺「これがあれば瓦礫とかが来てもお前に当たることはないだろう。」
そう言うと神宮寺くんはアザトースへ向かいながら姿を変えた。
神宮寺「完全龍化!」
神宮寺が完全なドラゴンの姿に変化し、アザトースへ襲いかかる。
アザトース「はっ、たかだかドラゴンごときが私に刃向かえると思ったのか。」
しかしアザトースはその攻撃を片手で受け止めた。
神宮寺「何!」
アザトース「喰らえ。」
そのままエネルギー弾で反撃され、神宮寺くんが大きく吹き飛ぶ。
神宮寺「ぐぁぁぁぁ!」
咲「神宮寺くん!」
アザトース「さぁ、次は貴様だ。柊咲!」
咲「くっ!(やるしかないか。)」
私は魔法陣を展開し、刀を取り出す。
アザトース「喰らえ!」
アザトースがエネルギー弾を放ってくる。
咲「はぁぁぁ!」
私は何とか躱しながら、アザトースへ突っ込んだ。
咲「カウンターだ!」
アザトース「無駄だ。」
私は渾身の斬撃をアザトースへ叩きこんだが、その攻撃はシールドで防がれてしまった。
神宮寺「ぐ、まだだぁ!」
その時、神宮寺くんが起き上がり再び攻めようとする。
セロ「おっと、そうはさせません。」
しかし、その間にセロが割って入ったのだ。
セロ「(もはや咲さん達に勝ち目はありません。弱りきったところで横取りしますか。)」
神宮寺「邪魔だ!どけ!」
神宮寺くんはセロへ炎を放つ。
セロ「そう言わずに、少々付き合ってください。」
神宮寺「ぐっ!(まずい!このままじゃ!)」
咲「うぉぉぉ!(引くな!このまま押し込め!)」
アザトース「いい加減にしつこいぞ!」
次の瞬間、アザトースが風の斬撃を放った。
咲「(これは!)」
私はギリギリでそれを回避した。だが、
咲「がっ!」
アザトース「捕まえた。」
アザトースによって首を掴まれてしまった。
アザトース「これで貴様は終わりだ。」
アザトースはそう言ってエネルギーを溜め始めた。
セロ「(今です!)」
その時、セロがこっちに向かって来た。
セロ「初めから、私の目的はあなただけです!」
咲「がっ!がぁぁ!(何とか抜け出さないと!)」
アザトース「さぁ、死ね。」
そして無常にも、そのエネルギー弾は私を捉えた。
かに思われた。
アザトース「な!?」
そのエネルギー弾は私に当たることはなく、私の周りには謎のシールドが貼られていた。
セロ「(なんですか、あのシールドは!)」
その時、どこからか声がした。
?「やっと見つけた。手間かけさせやがって。」
アザトース「ちっ!誰だ!」
その言葉と同時、部屋の天井から誰かが降りてきたのだ。
アザトース「くっ!」
アザトースが私から距離をとる。
?「ここまでよく耐えたな。咲。」
咲「え?」
煙が晴れていき、少しずつ姿が見え始める。
その声はとても聞き馴染みがあった。その見た目も、立ち姿も。この、きっと何とかしてくれるような安心感も。
咲「あ、あなたは。」
アザトース「何者だ!貴様は!」
?「そうだなぁ、なんて名乗ればいいかな。」
少し考えた末に、彼はこう言った。
?「俺の名前は霜凪氷華。またの名を、斑目冬季だ。」
そう、そこに居たのは間違いなく冬季だったのだ。
ベルゼブブ「(この気配は!)」
燐「来たか!」
次の瞬間、ベルゼブブがいきなり距離をとった。
ベルゼブブ「これ以上は危険と判断した。では。」
燐「あ!てめぇ!」
ベルゼブブは一瞬の内に消えていった。
燐「あーーもう!また逃がしたーー!....ま、とりあえずはいいか。あっちは大丈夫だろうし、他のところの加勢に行こーっと。」
レヴィアタン「はぁ、はぁ。まだやる気か?」
碧「当たり前でしょ。」
誠一郎「(や、やべぇ。そろそろ意識が飛びそうだ。でも!)」
碧「ここで辞めたら、きっと後悔する。でしょ?」
誠一郎「.....ああ。」
その時、空間の穴からベルゼブブがでてきた。
ベルゼブブ「撤退するぞ!」
レヴィアタン「何!なんのつもりだ!」
ベルゼブブ「事情が変わったんだ!急げ!」
レヴィアタン「...っち!クソが!」
レヴィアタンはそういうと、穴に飛び込んで消えていった。
碧「ぐっ!がぁ。」
誠一郎「碧!大丈夫か?」
憑依を解いた碧が倒れそうになる。
碧「誠一郎こそ。大丈夫?」
誠一郎「お前に比べれば大したことない。」
誠一郎くんも能力を解き、体が元に戻っていた。
誠一郎「しかし、風露さん。大丈夫だろうか。」
カーリー「くっ!(なんでこんなことに!)」
風露「もう終わりにしようか。」
水葉「観念しなよ!」
風露とカーリーの所へは水葉が駆けつけていた。
カーリー「(水神が来たってことは、ロキが負けたの!?これはまずいわね。)」
その時、カーリーが地面へ思いっきり突きを放った。
風露「な!」
カーリー「ここはもうすぐ崩壊するわよ。生徒を守りたいなら私は追わない事ね。」
そう言ってカーリーは去っていった。
風露「くっ!逃げられた。」
水葉「それよりも2人の所へ!」
雷斗「おりゃぁ!」
悪魔「ぐがぁ!」
雷斗「よし!やっと終わった。」
その頃、雷斗さんは全ての悪魔を倒し終えていた。
雷斗「本来なら今すぐにでも駆けつけてるけど、あいつ来てたしいいか。待機組の方に戻ろーっと。」
サタン「さぁ、まだまだ踊ろうぜ!」
ヴリトラ「そろそろ終わらせようか!」
湊「くっ!バケモンが!」
穂乃香「はぁ、はぁ。(まずいです。もう魔力が。)」
隼司「穂乃香さん!しっかり!(このままじゃジリ貧だ!何かないか。)」
そう思っていた時、
?「パラダイスボンバー!」
突如ヴリトラとサタンの足元が爆発したのだ。
サタン「ぐぅぅ!」
ヴリトラ「がぁぁぁ!」
たまらず2人が距離をとる。
ヴリトラ「....どういうつもりだ!ロキ!」
そう、そこに現れたのは敵幹部のロキだった。
雫「え!?(そんな馬鹿な!)」
観月「なんと!」
椎名「なんで!」
ロキ「決めたんだよ。もう言いなりはごめんだ。俺は楽しいと思えることをやるんだ。」
サタン「てめぇ!裏切りやがったなぁ!」
サタンが襲いかかろうとした時、
カーリー「サタン、ヴリトラ。」
ヴリトラ「カーリー、どうした。」
カーリー「まずいわ。このままだと全滅する。」
サタン「何?」
カーリー「詳しくは後で話すわ。とにかく撤退よ!」
ヴリトラ「くっ!」
そう言い残すと、3人は転移魔法で消えた。
湊「...何が狙いだ。ロキ。」
ロキ「俺は楽しいことをするって決めただけさ。」
そう言い残し、ロキは去っていった。
源「おーい!大丈夫か!」
その時、生徒達を避難させていた源先生が帰ってきた。
源「酷い怪我だ。雫、回復魔法できるか?」
雫「はい、何とか。」
こうして、待機組は敵を追い払うことに成功したのだった。
咲「と、冬季?本当に冬季なの?」
その姿を見て私は思わず目を疑った。髪は白髪であったが、その姿は間違いなく冬季だった。
冬季「よく頑張ったな、咲。お前の頑張り、しっかり見てたぞ。」
そう言って冬季は頭を撫でてきた。
アザトース「隙を見せたな!」
その隙をついて、アザトースが無数のエネルギー弾を放ってきた。
咲「冬季!後ろ!」
そのエネルギー弾が冬季の背後に迫っていた。
冬季「はぁ、せっかくの再会を邪魔しないでよ。」
冬季がそういうと、ひとつの巨大な氷の塊がそのエネルギー弾を防いだのだ。
アザトース「ば、馬鹿な!そんな氷程度に!」
冬季「よぉハスター。あの時はよくも殺してくれたな。」
冬季が少しずつ歩み寄っていく。
セロ「(チャンス!)」
これを見かねて、セロが私を奪いに来る。
冬季「止まっとけよハエが。」
セロ「がぁぁ!」
しかし、冬季は氷の塊を操作しセロへぶつけていた。
セロ「(な、何だこの威力。ただ氷が衝突してきただけなのに。)」
冬季「何をしたのか知らないけど、お前じゃ僕には何があっても勝てないよ。」
アザトース「ほざけぇ!」
アザトースが怒りのままに風の斬撃を飛ばす。
冬季「つまらないよ。お前。」
しかしその斬撃はシールドで防がれた、
アザトース「な!(何だこの強固なールドは!)」
冬季「もうやり残したことはない?なら終わりにしようか。」
アザトース「ふざけるなあ!まだ私は終わらない!」
アザトースはそういうと、凄まじい大きさのエネルギー弾を放った。
アザトース「これで終わりだぁぁぁ!」
冬季「全く、無駄なことを。」
冬季はそう言いながら、指先程度の大きさのエネルギー弾を放った。2つのエネルギー弾が衝突したが、アザトースのエネルギー弾は打ち消されてしまった。
アザトース「ば、馬鹿なぁ!」
咲「す、すごい。」
アザトース「わ、私の全力が!ここら一帯を破壊する程の力が!」
冬季「ああ、そうなんだね。すごいすごい。」
アザトース「ぐぐぐ、貴様ァ!」
アザトースが襲いかかろうとした、その時、
冬季「お前はもういいよ。じゃあな。」
既に冬季はアザトースを通り過ぎていた。
そしていつの間にか持っていた刀を納刀すると、
アザトース「がぁぁぁぁぁ!」
アザトースの体は切り刻まれた。
アザトース「ば、馬鹿な。この私が、こんな奴らに...」
そう言い残し、アザトースは塵となって消えた。
セロ「ちっ!(なんですかあの化け物は。とりあえず撤退せねば!)」
セロは急ぎ足で撤退して行った。
神宮寺「な、なんだこれ。」
知鶴「一体何が...」
咲「(これが、冬季の力!)」
そんなこおを思っていると、辺りが崩れ始めた。
冬季「っと、そろそろ出るか。みんな、掴まれ。」
咲「え?でもどうやって出るの?」
神宮寺「俺はもう完全龍化は出来ないぞ?」
冬季「まぁ見てなって、ほら。」
そう言った瞬間、冬季の体が浮いたのだ。
知鶴「な、なんで浮けるのよ!」
冬季「なんでって言われてもなぁ。」
咲「とりあえず早く出て!」
冬季「別に出れなくても死なないから大丈夫だよ。」
3人「そう言う問題じゃない!」
こうして、私達は無事に脱出に成功し、ハスターを討伐することができたのだった。
咲「ん、んん〜。」
冬季「お、起きたか。」
咲「うわぁ!亡霊!?」
冬季「殺すな。生きとるわ。」
咲「冬季?って、そっか。」
久しぶりすぎて忘れていたが、いつもは冬季が傍にいてくれたっけ。
咲「他のみんなは?」
冬季「寝てるよ。まぁ今回は今までとは段違いに大変だったからな。」
咲「そっか。」
そこで私は気になっていることを聞くことにした。
咲「ねぇ、冬季。聞きたいことが山ほどあるんだけど。」
冬季「まぁ、だろうね。」
咲「まずは......霜凪氷華ってなに!」
冬季「いやそこかよ!」
そんな突っ込みをしながら冬季は話してくれた。
冬季「霜凪氷華ってのは俺の本来の名前だな。」
咲「本来の名前?どういうこと?」
冬季「俺の本来の姿は、氷神、霜凪氷華。四神の奴らと同期だ。」
咲「...え?え!?」
冬季「まぁ混乱もするだろうがとりあえず今はその事実を受け入れとけ。」
咲「あ、はい。」
冬季「んでま、色々あって斑目冬季って姿で生活してたんだけど、俺1回死んだことになっちゃったから安易にお前らと会えなくてさ。だから。」
冬季はそういうと、フードを被った。
冬季「この姿、見覚えない?」
咲「あ、凪さん!ん?てことは私たちをボコボコにしたのは冬季ってこと?」
冬季「そうだな。」
咲「....手加減してよ。」
冬季「あれでもだいぶしたぞ?ただでさえいつも能力を抑えてるのに。」
咲「というか、なんで生きてるの!」
冬季「え?今そこの疑問にいくの?まぁいいけど。」
そういうと冬季は能力で氷の分身を作った。
冬季「んで、色とかをつければ」
咲「おぉ、冬季が2人になった。」
冬季「まぁ、こういうことだ。あの時ハスターにやられたのは分身体だったんだよ。というか、お前らと常日頃一緒に過ごしていたのは全部分身体だ。」
咲「そうだったの。」
冬季「だから書いただろ?『絶対に戻ってくる』ってさ。」
咲「...そうだね。」
その時、私の目から涙がこぼれる。
冬季「え?どうした?どこから痛むのか?」
咲「強いて言うなら心が痛むよ。」
冬季「心?」
咲「あの時、私がどんな思いをしてたか。どんだけ辛かったか。」
冬季「......ごめん。(そうだよな。友達を失った時は辛いに決まってるよな。)」
咲「だから。」
そう言って私が服を掴む。
咲「もういなくならないこと。いいね?」
冬季「...あぁ、約束するよ。」
冬季がそう言って手を重ねる。
冬季「安心しろ。俺が負けることはない。」
咲「そんなこと言って、ハスターにやられたじゃん。」
冬季「それは斑目冬季としての話だ。霜凪氷華に敗北はない。」
咲「ふふっ、期待してるよ。氷神さん。」
私はそう言って笑みを浮かべた。
冬季「あ、そうそう。正体もバレたし、今後は俺も稽古に加わるから。」
咲「え?」
冬季「しっかり強くなるよう導くから安心しろ。」
咲「あ、あははは(しばらく怪我したままがいいなぁ。)」
セロ「くっ!(あの白髪の男。とんでもない実力でした。まさか私が一撃でここまでダメージを負うとは。)」
ベルゼブブ「痛そうだな。」
セロ「ええ、とんでもない目に会いました。」
ベルゼブブ「まぁ、その程度で済んで良かったじゃないか。」
セロ「どういうことです?」
ベルゼブブ「知らないのか?そいつの事を。恐らくそいつは霜凪氷華。5人目の神にして、紛うことなき最強だ。」
ヴリトラ「くそ!まさかロキが裏切るとは。」
サタン「んでカーリー。俺が引くことになったのはなんでだ?」
カーリー「....一瞬、地下でとてつもない魔力を感じたの。しかも2回。1回目はハスターがアザトースになった時のやつだと思うけど、2回目はその比じゃなかったの。」
サタン「なるほどな。異常事態という訳か。というか、ハスターはどうした?」
ヴリトラ「......恐らく、負けたな。」
サタン「あ?有り得るのか?アザトースになったあいつは化け物だぞ?」
カーリー「でも、ここに来ないということはやられた以外には考えられないわよ。」
サタン「だが、そんなこと誰ができるって言うんだ。」
カーリー「分からないわよ。とりあえず、このことをあの方に報告しましょ。」
燐「じゃ、私達は先に帰るわ。」
冬季「了解ー。」
雷斗「いや、お前もこいよ。」
水葉「そうだよ!私達を餓死させる気?」
冬季「ご飯作る要員で帰らせようとするな。」
風露「なにか予定があるの?」
冬季「まぁな。被害が及んだ所への復旧作業だ。」
燐「んなもん任せれば良くないか?」
雷斗「いつも勝手にやってくれてるけど。」
冬季「それはお前らがいると終わらないからだよ。」
水葉「それどういう意味!?」
風露「心外な。」
冬季「ほら、早く行け。いつまでもここにいたら怒られるぞ?」
雷斗「それもそうだな。じゃ、また。」
そう言って四神は帰っていった。
咲「ねぇ、冬季。いつもあんな感じなの?」
冬季「ああ、ほんと大変だよ。」
湊「苦労してるな。」
源「ほら、2人とも。帰りの支度は済んだのか?」
湊「あ、やべ。」
咲「私もまだだ!」
碧「ほら2人とも!早く帰るよー。」
雫「お土産買う時間減りますよー。」
知鶴「店を貸し切ってあげるわよ?」
穂乃香「知鶴様、そういうことでは。」
誠一郎「神宮寺、どっちが速く空飛べるか勝負しようぜ?」
神宮寺「いいだろう。負けて泣き言言うなよ?」
隼司「いいなぁ。俺らもなにか競おうぜ。」
観月「力比べか?」
椎名「テストの点数で比べる?」
隼司「そういうのじゃないだろ。」
湊「咲、準備しに行くぞ。」
咲「うん。じゃあ冬季、またね。」
冬季「いや、俺も行くけど。」
咲「え?でも復旧作業があるんじゃ。」
冬季「大丈夫大丈夫。あれ嘘だし。あいつら俺がこっちに混じるって言ったら自分たちもって言って聞かなそうだったから。ほらほら。」
そう言って冬季が背中を押す。
冬季「帰り道で聞かせろよ。俺が居ない間の事とかさ。」
咲「....ふふっ、もちろん。」
こうして、私達の合宿は終わった。本当に脳みそが焼き切れるくらい大変なことが起きたけど、それ以上に得たものもあった。
ベルザ「ふぁぁ、やっと帰ってこれました。」
咲「お、おかえり。ベルザ。」
ベルザ「って、冬季くん!?一体何が?」
冬季「また説明するの?」
咲「あははっ!」
これからは、前と同じように。...いや、前よりもずっと楽しい日々が過ごせる。そう思った私なのだった。
?「この気配。あいつが動いたか。懐かしいな。あの頃を思い出す。」
その時、頭に痛みが走る。
?「くっ!またこれか。(あの頃を思い出す度にこれだ。)...べラス。」
べラス「はい、ここに。」
?「次は確実に始末させる。魔人七人衆の全戦力を導入してもかまわん。」
べラス「承知しました。いざとなれば、我々も動きましょう。」
?「ああ、そうしてくれ。」
新たな策略はもう既に練られていたのだった。
次回
第4章へ




