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第3話 同じ場所へ

第3話です。遂に冬季登場!

「久しぶり、咲。ところで、その後ろの木はお前がやったの?」


私は迷った。言うべきか、隠すべきか。でも、今はまだ使ったばかり。これからどうなるかなんて分からない。


「いやいや、そんなわけないでしょ?私は非能力者よ?私も同じで、何か物音がしたから来たらこんな状況で...」


「そうだったのか。にしても、こんな山奥に来るなんて。何かあったの?」


「いや、別に。そういう冬季こそ何でここに?」


「僕はちょっと特訓と思ってな。ほら、もうすぐ受験だろ?鍛えられるうちに鍛えとかないと。」


「ああ、そうだったね。」


「咲も凛華を受けるのか?」


「うん。まあ私は実践じゃなく一般だけど。」


「そうか、お互い頑張ろうな。じゃあまた。」


「うん、バイバーイ。」


 そう言って私は山を降りた。


「あの、さっき話してた受験とは一体?」


「ああ、そういえば言ってなかったね。私は今中3だからもう受験の季節なの。」


「それは分かります。ですが、実践と一般に分かれてるのは理由があるのですか?」


「それはね、私達が受ける学校が特殊なの。」


「ほう。よろしければ詳しく教えて頂けますか?」


「OK!まず、私達が受けようとしてる学校は『凛華高校』ってところ。ここは戦闘者を育てる『戦闘科』と一般生徒を育てる『一般科』で分けられてるの。私は一般科を受けるけど、冬季は戦闘科を受けるって訳。」


「なるほど、それで実践と一般に分けられてるという訳ですか。ですが、彼はなぜ一般科ではなく戦闘科なんでしょうか?」


「本人は、推薦で何故かそうなってた、って言ってたよ?」


「それほど能力が強力なのでしょうね。」


「まあそこは私にも分からないかな。とにもかくにも、私は勉強して、無事に一般科を合格するんだーー!」


「頑張ってください!」





「咲、お前戦闘科受けろ。」


「....へ?」


 突如担任に呼び出され来てみれば開口一番がこれである。


「...先生、私を殺す気ですか?」


「あいにく、そんな趣味はない。」


「じゃあなんで、非能力者の私を戦闘科に!?」


「校長が、お前から能力者の反応がすると言われてな。それもかなり強力の。それで、こんな強いやつを一般科に行かせるのはもったいない!との事だ。」


「能力者の反応?それは校長の能力ですか?」


「ああ。校長の能力は『判別』。この能力で、誰に能力があるのかや、その能力の強力差を感じることができるんだ。」


「なんともまあ便利な能力をお持ちで。」


「まあ、戦闘科を受けたからって一般科が受けられないわけじゃない。1度受けておいてくれ。」


 咲「わ、わかりました。」


校長からの指示とあれば従わなければなるまい。私は渋々戦闘科を受けることにした。


「あああ、どうしよう...受験まで後2ヶ月もないのに。」


「なんというかまあ、ご愁傷さまです。」


「他人事みたいに!」


「まあ実際他人事ですし?」


「あ、そうだ!ベルザ、あなた私の体に乗り移るとか出来ないの?」


「出来ますけど、受験はしっかり自分で受けてください。」


「んな事言ったってー!」


ふざけてるように見えるかもしれないが、内心はかなり焦っている。当然だ。戦闘科を受けるということは強力な能力を持っているか、相当な身体能力の持ち主ってことだ。どっちにしても、戦闘科を受けると事前に決めてた人達に私が勝てる要素なんてどこにもないのである。


「まあ今更嘆いてもどうにもなりません。とにかく、特訓しましょう!」


「そうだね。でも痛いのやだなー。」


「それは諦めてください!」


「だいぶはっきり言うね?ちょっとは励まして?」


こうして私の特訓が始まった。とは言っても変わったことをする訳じゃない。現状私は血液操作しかできないため、よりその状態を長く保つ特訓。そして、多少の武器の使い方を学んだくらいである。


「現状だとまあまあといったところですね。血液操作の三分の一くらいは発揮出来てるんじゃないですか?」


「はは、元は吸血鬼化のはずなのにその一部の三分の一って、しかも一番簡単なやつで。気が遠くなるよ。」


「まぁ後一週間、もうひと踏ん張りですよ。」


「そうだね。よし、続きを始め、」


「独り言多いね。」


「うわぁ!」


急に声が聞こえたから何かと思えば、冬季か。心臓に悪いったらありゃしない。


「ど、どうしたの?」


「いや、担任から咲が戦闘科になるって聞いてさ。今頃何してるのかなって思って適当に歩き回ってたらここで特訓してる咲を見つけたってこと。」


「そ、そういうことね。」


 まだ驚きが抑えきれない。だってあいつ幽霊みたいに静かなんだもん。


「しかし、能力者反応が出たって何言ってるんだろうな。咲、非能力者なんだろ?」


「うん、そうだよ。私もよく分かってないんだよね。」


「まぁあの人も年だし、もしかしたらボケてるのかもな。」


「いないからって結構ストレートに言うね。でも、流石に疲れたー。もう辞めたい。」


「まあ、あと1週間。お互い頑張ろうな。」


そう言うと冬季は私の頭を撫でて去っていった。


「......」


「好きなんですか?冬季さんのこと」


「え?いや、別に?そんなことないけど?」


「まあそういうことにしておきますよ。」


「そんなことより!続きをしないと!」


 今は1分1秒が惜しい、こんなことしてられない!





 そうして迎えた、試験当日。


「あああああああああ」


「大丈夫ですよ。ここまでできることはやったんですからきっとうまくいきます。」


「だといいなー。」


 そんなことを思っていると、試験官が入ってきた。


「これからお前達には、争い、競い合ってもらう。試験のルールは至って単純だ。この施設内には様々な魔物やアイテムがある。それらをとり、ポイントを稼ぐことだ。魔物やアイテムは無くなることはないから、心配するな。また、相手を殺したり、施設外に出ることは反則と見なす。この施設には至る所に監視カメラがあるため、反則行為は即失格だ。また、受験者同士でポイントを争っても構わん。その場合は、あらかじめ配った腕輪が反応し、勝敗が決まったら敗者は勝者に自分のポイントの三分の二を譲ることになる。ちなみに、反則での失格者は一般科の方の受験も出来ないことを覚えておくように。以上がこの試験の内容だ。」


 要は戦ってポイントを集めればいいのか。でも、奪い合いが発生するとなると、結構大変だな。


「ではこれより試験を開始する。制限時間は100分。スタート!」


 そう始まりのゴングがなると同時に受験者は皆、飛び出した。


「できることはやったし、後はなるようになるかな。よし!私も頑張ろ!」

次回、冬季の能力が明らかに!

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