第17話 特別な休日
いつも特訓する彼らのつかの間の休日。
咲「はぁーーーー。」
ベルザ「随分大きなため息ですね。」
咲「そりゃそうだよ。あんな組手した後なんだらさ。」
あの後、私はエネルギー弾を使って知鶴さんと遠距離の克服のための特訓をした。しかし、相手は魔法を使え、遠距離に強い能力。さすがに今覚えた技術でどうにかなるようなレベルではなかった。攻撃が当たりそうになるし、周りの戦闘の流れ弾も飛んできたりしたからいつもより疲労が溜まったのだ。
知鶴「お疲れ様。これよかったら。」
そう言って知鶴さんがカフェオレをくれた。
咲「ありがとう、知鶴さん。」
知鶴「知鶴でいいわよ。あんな態度とっちゃったからなんだけど、あなたとは対等な友達でありたいから。」
咲「じゃあ、知鶴!改めてよろしくね!」
知鶴「ええ、よろしく。」
クラス対抗戦から本当に変わったよなぁ。雫が根はいい子って言ってたのがわかる気がする。
碧「お疲れー2人とも。」
咲「碧、そっちも終わったのね。」
碧「うん。いい経験をさせてもらったよ。」
雫「あ、皆さん!お疲れ様です!」
その時、怪我人の治療の手伝いを終えた雫が戻ってきた。
雫「皆さん凄かったです!とても勉強なりました!」
知鶴「そう。それなら良かったわ。」
雫「あれ?男子陣はいないんですか?」
碧「あぁ、湊と冬季は先生に呼び出されてたよ。なんでかは分からないけど。
誠一郎くんは、
「どうせあいつらやりすぎで怒られてるから、励ましのお菓子買ってくるぜ!」
だって。」
咲「あはは、ブレないというかなんというか。」
雫「にしても、今日は少し疲れたよね。」
碧「そうだね。あの二人も疲れてるだろうし何か休息が欲しいよね。」
知鶴「なら、休みの日にみんなで出かけませんか?」
雫「賛成!楽しくなりそう。」
咲「なら、あの二人も誘いに行こっか。」
碧「そうだね。それがいいや!」
その頃、生徒指導室では湊と冬季が先生を待っていた。
冬季「俺ら何かしたかな?」
湊「いや、怒られるようなことはしてないと思うんだけど。」
ガラガラ
ドアを開ける音と共に先生がはいってくる。
源「すまん、待たせたな。」
冬季「大丈夫ですよ。それより、僕らなにかしちゃいましたかね?」
源「いや、そういう訳では無い。誰が聞く耳を立てるかも分からんから手短に済ませる。」
そういうと先生は向かい合うように座り、1つの資料を見せてきた。
湊「これは一体?」
源「冬季はもう知ってると思うが、最近我々を潰しに来てる組織がある。そいつらの情報がほんの少しだけ取れたんだ。」
冬季「よく取れましたね。」
源「まぁ、この前は学校側でのみの調査だったからな。バトラー全体に共有したら話は別だ。」
そこには今わかってる幹部の情報や、候補として挙げられてる組織名があった。
冬季「で、これを俺らに見せるってことは。」
源「ああ、本来ならバトラーが片付けなければならないんだが、Aランクの俺が負けたため、頼れるのはSやSSのランクになる。ただ、それでも戦力としては少ないんだ。」
湊「それで、僕らに戦力の一つとして加わって欲しいと。」
源「....本来なら、こんなこと頼むなんて教師として失格なんだが、無理を承知で頼む!冬季は相手の実力が分からないとはいえ、相手の幹部とやり合えた。そして、その冬季と互角の湊も十分戦力になる。どうか、頼む!」
そう言って先生は頭を下げた。
湊「(先生でもかなわないとは。これは相当強いな。)」
冬季「俺はいいですよ。あいつらに危害を加えられたらたまったもんじゃないですから。」
湊「相変わらず友達思いだな。いいですよ。俺もやります。」
源「恩に着る。」
こうして、先生からの話は終わった。
冬季「しかし、まさかこんなお願いをされるとは。」
湊「勝てると思うか?」
冬季「分からない。だが、負ける気もない。」
湊「ふっ、そうだな。」
咲「あ、いたーー。」
その時、後ろから咲達が俺らを見つけてやってきた。
碧「先生からのお説教は終わったの?」
湊「ああ。全く、あれくらいでどうこう言わなくても。」
知鶴「あれくらいって。あれより上があるって事!?規格外ね。」
碧「ねぇ、さっき話してる途中に出たんだけど、明日の休みにみんなで出かけない?」
湊「俺はいいけど、冬季はどうする?」
冬季「俺も行こうかな。」
咲「じゃあ決まり!穂乃香さんと誠一郎くんにも伝えとこう。」
雫「いいですね!人は多い方がいいですしね。」
こうして、休みの日の予定が決まった。
翌日、各々が身支度を済ませ約束の場所へ向かっていた。
咲「よし!一番乗り。みんなもうすぐ来るかな?」
冬季「お、一番乗りは咲だったか。」
咲「あ、冬季!おはよう...って」
ベルザ「これはこれは。」
ベルザも思わず驚く。それもそうだ。そこには綺麗な服をきてまるでモデルのような雰囲気でやってくる冬季がいた。
冬季「なんか色んな名刺貰ったよ。モデル雑誌がどうとか言ってたかな。」
咲「まぁそうでしょうね。」
ちなみに、冬季はウルフカットで顔も整ってるため、極たまに女と間違えられている。
碧「やっほー!って1人知らない人いる!?」
冬季「いや知ってる人だと思うが。」
碧「前から顔はいいと思ってたけど、まさかここまでとは。あなたの隣歩きたくないわ。」
咲「同感。」
冬季「???」
当の本人は無自覚である。なんなんだこいつ!
キキィーー
その時、私たちの前に車が止まる。
碧「なにこれ?」
咲「私たち何したっけ?闇金!?」
冬季「借りてないだろうが。これは多分...」
その時、車から知鶴と雫ちゃんと穂乃香さんが出てきた。
知鶴「あら、待たせたかしら?」
咲「いや、大丈夫だけど....なんかすごいね。」
雫「忘れがちだけど、知鶴ちゃんは九重財閥の娘だからさ。」
知鶴「忘れがちってなによ!穂乃香、あなたは覚えてたよね!?」
穂乃香「いえ、忘れておりました。」
知鶴「ちょっと!?」
雫「にしても冬季さん。なんか凄いですね!もうほんと、なんか、ほら!」
冬季「語彙力!」
知鶴「あとは誠一郎さんと湊さんかしら。」
穂乃香「噂をすれば、あちらから向かってきてますよ。」
その時、向こうから走ってくる2人が見えた。
誠一郎「おーい!みんな来てるー?」
湊「いや、これは多分俺らが最後だな。」
咲「やっほー2人とも!って....え?」
ベルザ「なんというか、これまたデジャブですね。」
その時見たのは冬季と負けずとも劣らない湊の姿だった。ちなみに湊の髪型はセンターパートでありシンプルイケメンである。
誠一郎「こいつの隣歩くの嫌だったから急いで来たぜ!」
湊「お前から誘っといてなんだよそれ!」
知鶴「湊と冬季は隣で歩かせるのがいいですね。」
咲「そ、そうだね。誰も虚しくならないし。」
雫「じゃ、じゃあ行きますか!」
碧「おー!」
こうして私達は休日を満喫した。
ある時はゲームをしたり。
湊「く、勝てない。」
誠一郎「ゲームで俺に勝つのは100年早いね!」
穂乃香「こんなのいつもやってるものと変わりません。」
知鶴「だからって、シューティングゲームでフルスコア取る?普通?」
咲「 もうちょい右。よしここだ!あーーー!」
雫「惜しいですね。やはりクレーンゲームは難しいですね。」
冬季「ほい、取れた。」
咲「私の苦労はなんだったのよ!」
雫「くっ、これが天才ってやつですか。」
ある時はカラオケに行ったり。
誠一郎「♪~~」
穂乃香「意外と上手ですね。」
誠一郎「よし!いい点数だ。ほれほれ、みんなもこれくらい取ってみなよ。」
冬季「言ったな?後悔するなよ?」
雫「次は冬季さんの番ですね。」
冬季「♪~~~」
湊「相変わらず上手いなぁ。もう歌手じゃん。」
知鶴「湊さん、彼とカラオケきたことあるんですか?」
湊「うん。中学の頃はよく遊んでたよ。」
碧「だから2人だけ服装の気合いが違うのね。」
冬季「よし、95点。」
誠一郎「ま、負けた。」
咲「相手が悪いねこれは。」
冬季「ほら、次は咲と碧のデュエットだろ?」
咲「よし!碧、あの点数越すわよ!」
碧「もちろん!」
ある時は食べ歩きをしたり。
湊「ん、これ美味いな。」
咲「ほんと、食べ歩きなのもあるけどいつもの唐揚げより美味しね。」
穂乃香「すみません、これのレシピを!」
雫「穂乃香さん!それは秘密に決まってます!お店の人困っちゃいますよ!」
冬季「うん、甘くて美味い!」
知鶴「あなた、甘いもの好きなのね。」
冬季「うん。結構色んなやつ食べるよ。チョコ、ケーキ、大福....」
誠一郎「おーい、ロシアンルーレットたこ焼き買ったからみんなでやろうぜー!」
碧「なんでそんな地獄のやつ買ってきたの!」
誠一郎「だって面白そうじゃん?じゃあひとり一個選んでくれ。あ、冬季。能力禁止な。」
冬季「使わないよ。」
穂乃香「では行きますか。」
雫「うん。覚悟は出来ました。」
誠一郎「じゃあ行くぞ!せーの!」
同時に全員がたこ焼きを口の中に入れる。
知鶴「辛!ちょ、誰が水!」
咲「どうやらハズレを引いたのは知鶴みたいだね。」
湊「ご愁傷さまです。」
誠一郎「辛そー。」
碧「あんたが買ったんでしょうが!」
冬季「正直ホッとしてる。」
雫「私も」
穂乃香「私も」
知鶴「言ってないで助けて~。」
こうして私たちは充実した休日を過ごした。
碧「あー楽しかった。」
雫「また行きたいですね!」
知鶴「まだ辛いわ。」
穂乃香「知鶴様、お水です。」
湊「誠一郎、お前重そうだな。」
誠一郎「俺が悪かったけど、何も全員の荷物を持たせなくても....」
冬季「あはは、みんな楽しめたようだな。」
咲「そうだね...ねぇ、またみんなで出かけられるかな?」
冬季「あぁ。きっとできるさ。」
雫「2人とも、これからみんなで夜ご飯食べに行きましょう!」
咲「いいね!行こう!」
こうして、私たちの休日は終わった。楽しく、面白い。そんな休日をまた過ごしたいと願った。
湊「今日は楽しかったなぁ。」
その日の夜、湊は家へと帰っていた。
?「こんばんわ。Aクラスの湊さん。」
湊「!?」
その時、背後から湊へ声をかける者がいた。
湊「....誰だ?」
?「これは失礼した。私はとある組織の幹部、べラスという者だ。」
次回
湊対べラス
結末は.....