第14話 吸血鬼化
第1章最終話です!
そして、新たな物語が始まる?
私は気がつくと、私の心の中にいた。
「しかし、驚きました。まさか羽を生やすとは。」
「私にも何が何だか。どうなってるの?」
「恐らく、あなたが強い自分でありたいと思ったからでしょう。能力者自身に何があっても譲れないほど強い信念があると、体は能力の全てを出そうとします。ですか、まだ経験値不足なのか、羽を生やすところで止まってしまったといった感じです。」
「そんなことが有り得るの?」
「分かりません。私の憶測の域を出ないので。」
「そっか。」
きっと、私がもう一度羽を生やそうとしても、簡単には出来ないだろう。
「現状は、能力の半分を出したと言った所でしょうか。名付けて、半吸血鬼化ですね。」
「まんまじゃん!」
分かりやすいが、いいのか?それで
「おっと、そろそろ意識が戻る頃合ですね。」
「え?」
その瞬間、私はまた何かに引き込まれるように視界が暗くなった。
「う、うーん。」
目が覚めると私は病院のベットにいた。
「お、目が覚めたか?」
隣では冬季が付き添ってくれていた。
「碧は、他のみんなは?」
「私はここよ」
横を見ると同じくベットに横たわっていた碧がいた。
「碧は憑依による負担が溜まりに溜まって倒れたんだ。身体に問題は無い。お前はシンプルに傷が多いからな。特に、そのロキにつけられた傷とか深くて、危ない時もあったんだぞ?」
「そうだったんだ。あ、先生は?」
「先生も同じようなもんだよ。ただ、雫ちゃんの回復があったとはいえ、傷は深く、多い。少しの間は入院だろうな。」
「そう。」
コンコン。
その時、病室をノックする音が聞こえた。
「はーい。」
冬季が扉を開けると、そこには松葉杖を使って来た先生がいた。
「お前ら、大丈夫か?」
「それは先生の方ですよ。」
碧が心配そうな目で先生を見る。
「俺は心配いらんさ。しかし、ここまでやられるとは思ってなかったがな。」
「まぁそう落ち込まないでください。」
冬季が先生を慰める。
「ところで、結局あいつらなんだったんですか?」
「それがなにも掴めてないんだ。知ってるのはロキとヴリトラという名前と、ある組織の幹部ということだけ。それも、本人達が言った情報だから嘘かほんとかもわからん。」
「そういえばあいつら自分達は魔人だって言ってました。」
「魔人だと?なのにあの強さ...より危険度がましたな。」
「どういうことです?」
「俺のバトラーとしてのランクはAだ。これは普通の魔人ならタイマンで倒せるレベルなんだ。だが、俺はあいつと戦いわかった。悔しいが、何をしても勝てそうにない。」
「恐らく、あいつらは魔人の中でも最上種なのでしょうね。僕も、ロキには終始遊ばれていた気がします。能力も未知数ですし、本気だったらどうなってたか。」
実際に戦ったこの二人がここまで言うなんて。
「(...今のままじゃ駄目だ。早く吸血鬼化を使いこなさないと。)」
「咲さん、碧さーん!」
「思ったより元気そうね。」
「お邪魔します。」
そんな会話をしてたら、3人がお見舞いに来てくれた。
「よかったです。どうなるかと思いました。」
「心配かけたみたいでごめん。にしても、知鶴さんまで来るとは思わなかったな。」
「あんなことがあったら心配にもなるわよ。それにあなたの怪我には私との戦闘でできたものもあるし。」
案外、優しい人なんだな。
「....この前のあなた達を見下した発言、撤回するわ。あなた達は強かったわよ。」
知鶴さんは申し訳なさそうでどこか悔しそうにそう言った。
「でも、次は負けないわ。覚悟しておきなさい!」
「望むところだよ!」
「次はそのスピードに追いついて見せるよ!」
「私も、次は一撃で仕留めます。」
「いいなぁ。僕もやりたい。エキシビションで誰か俺とやらない?」
「それは無理。」
私と知鶴さんが食い気味にツッコミを入れる。
「そんなー。なら、先生とやりましょう。」
「おい!俺にも拒否権があると思うぞ!?」
「あははははは!」
こうして、私たちにまた新しい友達が出来たのでした。
その一方で、ロキとヴリトラはアジトへ戻り、廊下を歩いていた。
「はぁ、もっと遊びたかったなぁ。」
「仕方なかろう。だが、あのままやり合ってれば、どうなってたかわからんぞ?」
「バカ言わないでよ。俺らが勝ってたに決まってんじゃん。」
「あらあら、相変わらず仲がいいのね。」
そんな会話をしている時、誰かが横から声をかけた。
「カーリー、いたのか。」
「ええ。にしても、ヴリトラその胸の傷。誰かにやられたの?」
「ああ、少々面白いやつがいてな。」
「ほら!ヴリトラだって楽しんでんじゃん!」
「ほんの一瞬だ。すぐに消えた。」
「ちぇー。」
「ほら、あの方が待ってるわよ。他のみんなも来てるから、終わったら来てね。」
「ああ、わかった。」
そこから少し歩き、大きな扉の部屋の前で止まった。
「相変わらず、すごい覇気。ドア越しでも感じるよ。」
「あぁ、凄まじいな。」
ヴリトラがドアを開ける。
「戻ったか、ヴリトラ。ロキ。」
「はい、ただいま戻りました。」
「ただいまです!大将。」
「ふふふ、ロキ。お前は相変わらず元気だな。で、どうだった?」
「Bクラス以下や、教員連中は全く問題ありません。ただ、Aクラスの奴らは少し厄介かと。この傷も、奴らからつけられました。」
「俺も、意外と強い剣士と会ったよ。」
「ほう、お前らがそこまで言うとは。今年の奴らは優秀なようだな。」
「どう致しましょうか。」
「とりあえず、お前達はしばらく休んで良い。ああそうだ。この後他の"魔人7人衆"の奴らも誘って、温泉にでも行くといい。」
「やったー!ありがとうございます!」
「寛大なお言葉、感謝します。」
「何、構わんさ。そうだ。戻るついでに"べラス"を呼んできてくれ。」
ヴリトラ「かしこまりました。では、失礼します。」
「失礼しまーす。」
「しかし、あの二人があそこまで言うとは。中々面白いじゃないか。こちらも戦力を増強しないとな。」
「お呼びでしょうか。我が主。」
その時、べラスと呼ばれる者が部屋に入ってきた。
「おお来たか。つい先程、ロキとヴリトラから報告を受けた。どうやら今年は豊作のようだ。」
「それはそれは、楽しみ甲斐がありそうです。」
「そうだろう?だが、あの忌まわしき奴らか動くことも考えられる。引き抜ける奴らは引き抜いておきたいのだ。頼めるか?」
「お望みのままに。」
「では、よろしく頼む。ふふふ。これからもっと盛り上がるだろうな。楽しみだ...」
あれから数週間がたった。私の傷はだいぶ良くなり、そろそろ退院出来そうだ。
「なんか、回復するのが早くなったような。」
「吸血鬼化の影響でしょう。吸血鬼は再生能力が高いのです。」
「へぇ。羨ましいなぁ。」
「やっほー咲!」
その時、碧が病室に入ってきた。碧は何日か前に既に退院していた。
「だいぶ元気そうね。」
「うん、意外と治るのが早くてね。」
「よかった。間に合わないんじゃないかと思ってヒヤヒヤしたよ。」
「ん?何かあるの?」
提出物でもあったのだろうか。
「あーそっか。咲は知らなかったね。そろそろ始まるんだよ。各学年でのバトルロワイヤルが!」
次回から第2章です!
新キャラ、新能力盛りだくさん!




