表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/18

09 嫌いな幼馴染

 私の友人には幼馴染がいる。

 すごく仲がいいのかと思っていたら、その逆だと言って怒っていた。

「コレッサは信用ならないの!!」

「そうなの?」

「そう!!私がちょっといい人だなと思ったらコレッサは直ぐに近寄っていって、私より先にその人と仲良くなって『つまんない男だったわ』とか『あの男はクズよクズ』って私にこれみよがしに言いに来るのよ!!」


「ある意味仲がいいのね」

「私は知り合いだとも思いたくないんだけどね」

「まぁ、嫌な女ですわよね」

「でしょう?」


 私が同意したからか、スザンナは機嫌のいい顔をして「実はね・・・今ちょっといいいなって思っている人がいるんだ。コレッサとは関わりない所の人だから、今のところ安心しているんだ」

「あら誰なんですの?」

「レンダル様がちょっといいなって思っているの」


「あぁ、レンダル様なら私もいいなって思いますわ」

「でしょう!!」

 レンダル様というのは侯爵家の三男で、騎士団に入団することが決まっていて、騎士爵に最も近い人と言われている人だった。

「私やベルベットみたいに子爵家程度の家なら嫁に行けても伯爵家止まりだけど、騎士爵なら可能性あるものね」

「まぁ、そうかもしれないわね。それでもレンダル様は夢のまた夢な気がするわ」



「へぇ〜スザンナはレンダル様が好きなんだ」

 私の背後から声がして、私は飛び上がった。

「びっくりしましましたわ!!」

「コレッサ・・・」

「いいこと聞いちゃった!ウフッフッ」


 スザンナはさっきまで夢見るような笑顔をしていたのに、今は青ざめていた。

 コレッサは笑いながら私達の元を去っていき、翌日からレンダル様に纏わりついているのを見かけるようになった。


「本当にコレッサ様ってスザンナの想い人には手を出さずにはいられないのね・・・」

「ごめん・・・実は、レンダル様のことは勿論素敵だって思っているけど、本当はカジミール様がいいなって思っているんだ」


「あら?そうなの?」

「コレッサが聞いているのが解っていたから、嘘ついちゃったんだ」

「あぁ〜そうなのね。レンダル様お気の毒に・・・」

「嘘ついてごめんね」

「気にしなくていいわよ」

「実は・・・カジミール様とお付き合いすることになったの・・・」


「そうなの!?驚いたわ!!」

「互いの両親にも話したらいい縁ではないかということになって、うまく付き合っていけそうなら婚約することになっているんだ」

「そうなの?!おめでとう!!」

「まだ気が早いけどね」


 コレッサはレンダル様に纏わりついて、すごく嫌われているらしかった。

「やっぱり侯爵家の方となったら、下々の相手はしないものなのね」

 コレッサは男爵家の娘なので、私達より高位の方との付き合いは難しいだろうと思った。


 スザンナはレンダル様にあこがれているフリをしながら、カジミール様と逢瀬を重ね、半年後コレッサに邪魔されることなく婚約が決まった。


 コレッサは未だにレンダル様に纏わりついていて、今では教師たちから注意を受けるほどになってきていた。


 コレッサがスザンナの元にやってきて「レンダル様は手強いわ!けれどあなたより先に仲良くなってみせるからね!!」とスザンナに宣言していた。


 学園卒業時のパーティーにスザンナがカジミール様にエスコートされてるのを見て、コレッサは目を剥いていた。


 コレッサは私のところにやってきて「スザンナをエスコートしているのは誰なの?!」と聞いてきた。

 私は「さぁ〜?」と答え相手にしなかった。

 私もエスコートしてもらっている最中だったしね。コレッサなんかの相手などしていられない。


 コレッサはカジミール様をジッと見続けているのが気持ち悪かった。


 卒業から二ヶ月でスザンナとカジミール様は結婚することになった。

 スザンナはカジミール様には素直で、コレッサに今までされたことを打ち明け、コレッサだけとは関わらないでとお願いしたそうだ。


 他の人なら浮気しても許せるけど、コレッサだけは浮気だろうが、ちょっと喋っただけだろうが許さないと伝えたそうだ。


 コレッサはレンダル様に纏わりついていたことを皆が知っていたから、誰にも相手にされず婚約者を決めることも出来ずにいるらしい。


 私?私は二つ上の騎士爵を持っている方と来月結婚することに決まっています。


 私の騎士様とデートの約束の日、少し早く着きすぎたので一人でお茶を飲んでいる時、いきなりコレッサが私の前にドスンッと音を立てて座った。

「あなたに座っていいと許可した覚えはないのですけど」

 冷たく言い放つと、コレッサはちょっと身を引いたけれど、席からは立ち上がらなかった。


「なにか御用かしら?」

「スザンナはなぜ私を結婚式に呼ばなかったの?」

「嫌いだからじゃないですか?」

 そんなことも解らないのかと馬鹿にした顔で見ると、すごく傷ついた顔をしていて、私がイジメているような気分にさせられた。


「私はこれから約束があるので、そこをどいていただけますかしら?」

 私の話を聞く気はないのか「スザンナと私は幼馴染でしょう?」

「嫌われることばかりしてきたのだから、幼馴染とは思っていないと思いますよ」


「でも、私はスザンナのためを・・・」

「話を聞いてあげる所までなら友達や幼馴染だって言えるんじゃないかしら?友人がいいなって思っている人に手を出すのは嫌がらせだと思うわ」

「そんな・・・」


 

「連れが来たので失礼するわ」

 私はコレッサを一人残して、自分の分の支払いだけして私の騎士様と移動することにした。


 スザンナにコレッサと会ったことは伝えなかった。

 だって、スザンナは今も大切な友達だもの。

幼馴染の話は本当に苦手だと解りました・・・。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 実は悪い男から守ってるのかと思ったら、想像以上に浅い女だった件
2024/02/22 20:21 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ