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08 子は親の背中を見て育つ?

 幼馴染だからこそ恋に落ちれないってことあると思う。

 だって小さいときからのあんなことやこんなことを知ってしまっているんだもの。

 恋になんて落ちられない。



 昨日まで、そう思っていたの。

 クソガキだと思っていた幼馴染のガルがいつの間にか私を背でかばえるほどの男になっていたんだって私、気がついていなかった。


 一週間前、ガルに告白された。

 でもその時はまだガルを男だなんて思えなかったから「ありえない」って言ってしまった。

 たった一週間前のことなのに、今はガルから目が話せなくなってしまった。


 いつも嫌がらせしてくる近所の悪ガキ二人が私に絡んできて、鬱陶しかったからつい手を払ってしまった。

 手を払われて腹を立て始めて私に向かってきて、胸ぐらを掴まれて、拳を握るのが目に入った。

 

 私は殴られる覚悟をしなくちゃいけないんだと瞬間的に思って、目をぎゅっと瞑ったら「女相手に何やってんだ」ってそれはすごく低くて、すごく怒っているガルの声だった。

 目を開くとガルが私を背に庇って、私の胸ぐらをつかむ手を握りしめている手が見えた。


 私の心臓はドキドキして止まらなかった。

 悪ガキ二人は捨て台詞を言いながら走って逃げていくのが見えた。

「ミナ!男相手に何やってんだ!殴られたら、ミナなんか簡単に吹っ飛んじまうんだぞ!!」

「ごめんなさい・・・。いつもはうまくやっているんだけど、たまたま手が当たっちゃって・・・」


 私の肩をつかんで「ほんと、頼むよ・・・」と言って私を置いて先に歩き出してしまった。

「ガル!!待って!!」

「いやだよ」

「どうして?!」

「俺は振られたからな」

「ガルのばかっ!ちゃんと側にいて!!」


 ガルは振り返って私に手を差し出した。

 私はその手を取って「私が十六歳になったら結婚しようね」と伝えた。

 ふふっ。ガルは焦って何を言っているのかさっぱり解らない。

「なっ!ばっ!か言うな!!」


「ごめんね。私達が大きくなってることに気がついていなかったの。ガルの背中がこんなに大きくなっていることにも気が付かなくて・・・」

「俺でいいのか?」

「ううん。ガルでないと嫌だって解った」


「なら親父さんに話を通してからだ」

「うん、いつにする?」

「今から行く」

 私は嬉しくてガルの手を両手で握って「うん」って伝えた。

 ガルはお父さんに肩をバシバシ叩かれながら「幸せにしなかったら承知しないからな」と言われて、ガルは涙目になって頷いていた。


 お母さんは「収まる所に収まってよかったわ」と私の背を抱きしめた。

 ガルの両親に話に行くと、おじさんは「よく仕留めた!!」と言っておばさんは「ミナちゃんがお嫁に来てくれるのなら言うことなしよ」と言ってくれた。



 私が十六歳になり、それか半年してから私達は結婚した。

 なんで半年も掛かったかって?

 お父さんが「まだ早い!!」って文句ばかり言って、半年も伸びちゃったの。


 孫ができて一番喜んだのもお父さんだったけど。

 

 ガルはおじさんの農家を手伝うのだとばかり思っていたら、いつの間にか勉強を頑張っていて、庄屋の奉公人になっていた。

 私は子供の面倒を見つつ、お義父さんの農業を手伝いながらガルが帰ってくるのを首を長くして待っている。

 子供達も大きくなって、同じように首を長くして待っている。


 農家に定期的に現金収入があることはとても生活が豊かになる。

 お義母さんが畑に出られなくなった頃には子供達が畑で一人前の仕事ができるようになっていて、ガルは仕事を止めずにすんだ。


 最近は子供達も幼馴染といい感じになりつつある。

 最近ガルが「ミナの親父さんの気持ちが解るようになってきた」と時折こぼす。

 息子がいるから、お嫁さんが来てくれるのは楽しみだけどな。と言いつつ晩酌を楽しんでいる。

 ガルのおかげで我が家は裕福だ。

 息子も同じように庄屋に勤められるように勉強を頑張っているようだ。


 子は親の背中を見て育つんだなとしみじみと思った。

やっぱり恋愛話は苦手です。

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