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06 村と村の交流で恋人を探します。

 私には幼馴染が四人いる。

 エレア。ローレル。ユーア。キャシュ。そして私、ガルア。

 女の子ばかりの五人組。

 エレアとユーアが一つ年上で、キャシュと私が真ん中で、ローレル一人が年下。


 皆仲良し!!っていいたいけど、ほとんど毎日喧嘩している。

 村には女の子が多くて、男の子が少ないから、誰かがあぶれて、結婚もできない事になりそうで、男の子の取り合いをしている。


 けれど私はまだ男の子の良さ?みたいなものが解らなくて、私はキャシュと遊んでいる方が楽しくてうれしい。

 キャシュは同じ年なのに、私より頭一つ分小さくて、一つ一つのパーツも小さくて、何かを運ぶ時には「うんしょ、うんしょ」って言いながら運ぶのが可愛らしい。


 手伝おうとすると怒って「自分の仕事は自分でする!!」と言って口を利いてくれなくなる。


 そのキャシュが恋をした。

 隣村の三つ年上のアンソニー。

 歳上なだけあって包容力があって、話す仕草も格好いい。

 けれどアンソニーの好みは出るとこ出て引っ込むところは引っ込んでいる子で、その相手はエレアだった。


 アンソニーはエレアだけには特別優しくて、もうすぐ結婚の申し込みをするんじゃないかと噂になっている。

 キャシュの落ち込みようは、見ているこちらのほうが辛くなるくらいだった。


 一度「キャシュはアンソニーの恋人に選ぶこと出来ない?」と内緒で聞いてみると「ごめん、子供すぎて対象外だよ」と言われてしまった。


 「キャシュのいいところを解ってくれる人が現れるよ!!私にもきっと!!」

 そう伝えると「ガルアにはまだ早いよ!!」と笑われてしまった。


 アルツ村から十三人の、私達と同世代の子達がやってきた。

 一つの村だけで結婚を繰り返すとよくないから、他所の村の子となるべく結婚するように言われている。

 一人の男の子がキャシュのことが好きになり、キャシュもその子のことが気になるようだった。


 キャシュも私もまだ結婚できる年になっていなかったので、結婚の約束をして、二ヶ月に一度キャシュに会いに来ていた。

 キャシュも、ときたまアルツ村へ会いに行ったりして、とても仲良くしているように見えていた。


 三ヶ月、キャシュに会いに来なくなり、キャシュがアルツ村へ会いに行くと、結婚の約束をしていた子は、他の村の女の子と結婚していた。

 

 大人を挟んだ話し合いになり、婚約破棄したとして、三年間アルツ村の村長が責任を持って、税金の半分の量を支払う事で違約金となった。


 けれどそんなものでキャシュの心が癒えることなどないと私は両親に言ったが、「これ以上はもうどうしようもないんだよ」と言った。

 ただ「アルツ村はしばらく他所から人は来ないだろう」と父が言っていた。

「どうして?」


「もう、信用出来ないだろう?アルツ村のことは。他所の村の連中に、アルツ村がしたことを話して聞かせればいい」

「そっか・・・でも、苦労するのはキャシュの相手以外の人達なんだよね?」

「村で居づらくなるさ。それに耐えるしか生きていきようがないだろうし、針の筵だと思うぞ」

「やっぱり納得行かないね」


「キャシュのことはいいからガルアのことが大事だよ!!来年はもう結婚できる年になるんだから、早く相手を見つけてちょうだい」

「がんばります・・・」


 いろんな村の子が、来たり、行ったりして、結婚相手を探している時、森で採取している時に森の中で倒れている男の子を見つけた。


 私は何度か頬を叩いて、声をかけるけど反応がなくて、持っていた水を飲ませようとするけど喉の奥に入っていかなくて、仕方なく口移しで水を飲ませた。

 一度飲み込むと次から次へと欲しがり、水筒を傾けるだけで水を飲み込んだ。


 一息ついたのか、目を覚まして「はらへった・・・」というので、その日採取した、そのまま食べられる物を与えた。

「俺はルーグス村のウェルデン」

「私はヴァッカ村のガルアです」

「助かったよ。迷子になっちゃって・・・」

「取り敢えずヴァッカ村に来ますか?」

「頼むよ・・・」


 私が連れ帰ると「ガルアが男を連れてきた!!と噂になり、キャシュまで見に来る始末だった。

 私が連れ帰ったウェルデンは交流のない村の子なので、女の子たちは大騒ぎしていた。

 ウェルデンの見た目もちょっと良かったからもある。


 騒いでいる女の子の中にキャシュが居て驚いた。

「だって、すごく格好いいじゃない・・・みんな好きになっちゃうよ」

「えっ?キャシュも好きなの?」

「えへへっ・・・うん・・・でもまだ話したことないから・・・」

「そっか、入ってきなよ」


 キャシュを家に入れて、三人で色んな話をした。

 村の違いや、今度から交流できないかなどの話もしたりした。

 キャシュはその日の内に、ウェルデンに告白していた。

 私はなんとなくその答えを聞きたくなくて、席を外した。

 キャシュは翌日「えへへへっまたフラレちゃった」と笑っていたけど、本当は泣きたかったんだろうと思った。



 ウェルデンが今度は村の連中と一緒に来るよ。と言って、私にキスをした。

 私は唇を押さえて三歩下がって「なっ、なに・・・?」

「俺のファーストキスを奪ったのはガルアじゃないか」

「あ、あれはっ!!水を、飲ませる、ためで・・・」


「知ってる。でも、これでガルアのファーストキスは俺のものだ。・・・ん?初めてだよな?」

 私はウェルデンを叩いて「当たり前でしょうっ!!」

「次のキスも予約したから、誰ともキスするなよ」

「ばかっ!しないわよっ!」


 セカンドキスもその場でされて、それは舌を絡め合う、深いキスだった。

「ごめんサードキスの予約になっちゃった」


 ウェルデンが村の若者たちと一緒に村から出ていって、半月後、ウェルデンと村の者達がやってきた。


 初めて会う人ばかりなので、皆人気者で、結婚の決まっていない相手は交流を盛んにしていた。

 

 私とウェルデンは婚約することになった。半年間、互いの村を行き来して、交流を持って、結婚することに決まった。

 日にちも決まって、私がウェルデンの村で住むことになった。

 キャシュは私を見て「おめでとう」と言ってくれたけど、心からのおめでとうではなかったと思う。


 小柄で誰から見ても可愛いキャシュ、あなたより先に私が嫁入りすることになるとは思わなかった。

 でもね、村から遠いから、両親にも簡単に会えなくなるんだよ。

 村にいる間に、仲直りしたいよ。

 これが最後かもしれないから。

 

 仲直りしたいと思いながらも仲直りは出来なくて、結婚までの半年間、淋しい時間を過ごすことになった。


 ウェルデンが迎えに来てくれた時、キャシュに会いに行ったけれど、無視されて、私は「キャシュ、バイバイ」と言ってキャシュと別れた。

 両親にも別れを告げ、私はウェルデンと手を繋いで歩いて旅立った。


 ウェルデンのご両親はいい人達で、快く迎えてくれて、日常をこなしていた。


 二ヶ月新しいお嫁さんがやってくることで持ち切りになり、ウェルデンは「ガルアが来る時もこんな感じだったんだよ」と笑って教えてくれた。


 この村の同世代の子たちとも仲良くなれた。

 他所の村の子が多かったので、一から仲良くなれたのだ。

「新しく来る子って、どんな子だろうね?」

「いい子だといいよね。手癖や男癖の悪い子が来たら最悪だよね」


「って、言うことは経験あり?」

「そう、男癖が悪くて、次から次へと手を付けていったんだよ!!」

「うそっ!!」


「本当。もう追い出されたけどね。その代わり離婚したのも三件あった」

「すご〜い!!魔性の女ね?!」

「それがそうでもなかったのよね〜?」

「へぇ〜〜〜そういうものなんだ」



 新しいお嫁さんを迎えに行くのはウェルデンの一つ上のカースで「寄り道せずに帰ってくるんだよーー!!」と送り出されて、連れて帰ってきたのはキャシュだった。


 キャシュは「えへへっ」って笑って「秘密にしていたんだ」

 って、笑った。

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