第二話❀
「歌われる者~、歌う者~、誠に不思議なれ~」
僕の意識は浮上する
此処は一体……?
「其方、まだ居ったのか。困った奴じゃ」
僕は一体、どうして、こうなってるの……?
「口から言葉を発しない方が良い」
ふと自分の唇に指が触れる感覚があった
「其方を認知した途端、きやつらが喰うぞ。舌なめずりをして」
白い手が見える
その指差す方向に黒い影が蠢いていた
ちろちろ赤い舌も見える
ぎんぎらと目玉が光っていた
僕はぞっとした
眼だけを動かして僕は声の主を見た
白拍子の格好をした女性が宙に浮いていた
「ほう、わたしの姿が見えるのか。それは僥倖」
白拍子の姿をした女性がその手を僕の方へと伸ばす
僕と女性は手を繋いだ
繋いだ、筈だ
繋いだ感覚が正直無いけれど……
「わたしと一緒に居れば大丈夫じゃ」
女性は片手でお札の様なものを懐から出すと
「歌われる者、歌う者、真に願うは桜の如く!」
五芒星が宙に描かれた
光に乗ってお札が飛んだ
蠢く黒い物体へと
一直線に走った光は
物体へと届くと
四方に光を走らせた
物凄い声が響く
「ちと耳を塞ぐがよかろう」
言われた通りに耳を塞ぐ
それ程の轟音と異音だった
ついで目も閉じる
しばらくして目を開けると
桜吹雪が舞っていた
「もう大丈夫じゃ。祓ったからの」
ほほほ、と白拍子の女性が軽やかに笑った
僕の意識はまた混濁する
「さよならじゃ……。歌う君……」
誰なんだそれは……
僕の声は声にならずに
消えていく……
お読みくださり、本当にありがとうございます。




