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邪悪ヤンデレ厄災系ペットオメガスライム  作者: maricaみかん
3章 頂へと歩むオーバースカイ

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72話 試練

 メルセデスたちはあれからも順調に成長していて、そろそろキラータイガー位なら安定して倒せそうだ。

 人型モンスターには2人では敵わないだろうけど、戦力として数える位はできるかもしれない。

 なので、オーバースカイにメルセデスたちを加入させるための準備をしていた。


 サーシャさんに相談すると、メルセデスたちのチームをいったん解散した扱いにしてから、オーバースカイに新しいメンバーとして登録することになるらしい。

 どういう原因でそうなるのかは説明されなかったけど、これまで新メンバーを加入させるときには大して手続きがいらなかったから、そのあたりが理由だろうか。

 チーム同士の合流にしないのだから、そうするとダメな理由があるという事だけは分かる。

 まあ、何でもいい。メルセデスを加入させることに問題はないらしいので、後はメルセデスたち次第だ。


 メルセデスたちをいつも使っている闘技場へと呼びだして、今回予定している事を話す。


「メルセデス、メーテル、今日はぼくと模擬戦をしてもらう。オーバースカイのみんなにも見てもらって、その結果次第でメルセデスたちをオーバースカイに加入させるか決めようと思うんだ」


 ぼくの言葉を受けてメルセデスとメーテルは目を輝かせる。

 この表情を見た時点でぼくはオーバースカイに加入させたいと思った。

 けど、ここでいい結果を残せないのにメンバーにしてしまうとメルセデスたちの安全が危ぶまれる。

 冒険者としての活動は命がかかっているんだ。好き嫌いだけで判断するなんてもってのほかだ。

 安易な感情でメルセデスたちを危険にさらすわけにはいかない以上、ここは真剣に行こう。


 メルセデスたちはぼくの言葉を聞いて明るい顔をしているけど、戦いの結果次第ではこの顔が曇ってしまうかもしれない。

 それでも、メルセデスたちのためにも簡単に合格にはしてあげられない。

 メルセデス、メーテル。きみたちの力を見せてくれ。


「やっとこの時が来たっすね! 絶対に合格してみせるっす!」


「そうね、メルちゃん。私たちが待ち望んでいた瞬間よ~。ここで結果を出してみせるわ」


 メルセデスたちはやる気バッチリみたいだ。つい期待してしまうけど、落ち着こう。

 やりすぎても良くないし、手加減しすぎても良くない。人型モンスター相手にちゃんと生き延びられるのか、しっかり確認しないと。


 メルセデスたちの準備ができるのを待って、ぼくは構える。メルセデスたちも構えた。

 今回はカタリナに合図してもらう。いちばん声が通りやすいのはカタリナだと思う。


 しばらくして、カタリナからの合図があった。ぼくは即座に水刃を2人に向かって放つ。

 これをまともに受けてしまうようなら、人型モンスターの能力には対応できないだろう。


 メルセデスたちは期待通りに、水刃を回避してぼくの方へと向かってきた。

 まず第一段階は合格だ。ぼくは今回の戦いでいくつか壁を用意することに決めていた。

 それら全てを突破できるのなら問題なく人型モンスターと戦えるはずだ。

 いくらか駄目だとしても、内容次第ではぼくたちがフォローすれば済むかもしれない。そのあたりの判断はみんなに任せるつもりだ。

 勿論ぼくの願いは全部の壁をメルセデスたちが突破する事。それならば、安心してメルセデスたちもオーバースカイとして活動できる。


「さすがにこれくらいは対応できるよね。なら、次だ。ぼくの防御を破ってみてくれ」


 次はアクア水で壁を用意してそれにどう対処するのかを見るつもりだ。

 人型モンスターには防御が固いものも多い。十分な火力を用意できないのなら、戦力としては期待できないことも多いだろう。

 メルセデスの能力は防御寄りだから、ここはメーテルに期待したい。


 メルセデスはまず剣でぼくの用意した水の壁を攻撃する。当然、それだけでは全く水の壁を超えることはできない。

 さあ、ここからどう対応する? 手間取っているなら、さらに水刃で攻撃するぞ。

 人型モンスターが自分への攻撃をおとなしく見ているだけのはずがない。そのことを、よく分かってもらわないとね。


「メーテル、この水、とんでもなく硬いっす! アクアさんに教わったっていうあの攻撃で頼むっすよ!」


「分かったわ。少し時間を稼いでちょうだい」


 駄目じゃないか。わざわざ敵の前で狙いを話すなんて。そのつもりなら、ぼくはメーテルを攻撃するかな。

 ぼくは水刃をいくつもメーテルに向かって放つ。メーテルは慌ててそれを避けていたが、攻撃の準備は失われたみたいだ。

 あの感じだと、こぶしに力を集中しているのかな。さて、メルセデスたちはどう対応する?

 このままぼくの水刃に翻弄されるだけならば、合格はさせてあげられないぞ。


「メーテル、どれくらいの水刃なら避けられるっすか!? ユーリさんはおとなしく見ていてはくれないっすよ。溜めながら回避も出来ないとだめっす!」


 よく分かっているな。全く動かず溜めなければ使えない技なんて、無いのと同じだ。

 メルセデスがメーテルをどうフォローするのかも見たいけど、まずはメーテルが最低限の事ができないとね。


「後ろにまで集中できないから、後ろを守ってちょうだい。前からだけならなんとかしてみせるわ~」


 メーテルがそう言うのなら、後ろからいっぱい攻撃するか。勿論前からも攻撃するし、横からも攻撃する。

 さあ、どうやってこの水刃をしのいで水の壁を壊すかな? ここが乗り越えられないようなら、みんなに相談するまでもなく不合格だよ。


 メルセデスはぼくの水刃から、水の膜を張ってメーテルを守る。

 水の膜は初めて出会った時とは違っていくつも出現させられているし、水刃を防げるくらいの硬さもある。

 メルセデスは水の膜を出したり消したりしながらうまくメーテルを守っている。

 メーテルも、自分の言葉通り正面からの攻撃を避けながらこぶしに力をためている。

 メルセデスの水の膜は最大で5枚みたいだ。同時に6個水刃を出してみようか。

 いや、そこまでしないと対応できない人型モンスターはそうはいない。試験の趣旨に反する事はするべきではないな。

 その辺の対応については今後教えていけばいい。まずは最低限の実力の確認だ。


「メルちゃん、準備できたわ! 私の攻撃をサポートしてね」


「分かったっす! ユーリさん、行くっすよ!」


 わざわざ攻撃のタイミングを教えてくれるのか。なら、しっかり妨害しないとね。

 相手の言葉を人型モンスターは認識してくるのだから、今回の結果がどうであれ、そのあたりはしっかり教えよう。


 ぼくは水刃をメーテルの進行方向を邪魔するように放つ。

 メルセデスが水の膜でメーテルを守るけど、完全には対応できていない。メーテルはまっすぐこちらに向かう事ができていない。

 さて、このままぼくに翻弄され続けるのなら、人型モンスターの相手は難しいよ。どう対処してくるのかな?


「なら、まずはあたいから攻撃するっす! これでもくらえ!」


 メルセデスは水の膜をこちらの壁に向かって垂直に出現させる。ああ、そういう狙いか。

 本気でメルセデス自身も壁を破るために行動しているようなので、メルセデスへの攻撃を増やして、メーテルへの攻撃を減らす。

 メルセデスは水の膜をぼくの作った水の壁へとぶつける。水刃と同じような攻撃手段だけど、まだ威力が足りない。

 でも、何度もぶつけられると危ないかもしれないな。

 だから、メルセデスへの攻撃をさらに増やす。メルセデスはそれにも対処しながら攻撃を続ける。


 そうしているとメーテルが近寄ってきたので、メーテルにもある程度水刃で攻撃する。

 メーテルはメルセデスと協力しながらぼくの攻撃をしのぎ、ぼくの作った水の壁に攻撃を当てることに成功した。


「これが私の全力よ~。お願い、通じて!」


 結果として、水の壁は破られた。第2段階も合格だ。メルセデスたちの成長は嬉しいけど、感動している場合じゃない。

 ぼくは模擬剣を構えて、メルセデスたちに向かって剣と水刃で攻撃を仕掛ける。


「さあ、ぼくに何か一撃当てたら、文句なしの合格だよ! 頑張って!」


 ぼくはメルセデスたちと戦いながら、足元にいくつかアクア水で罠を用意しておいた。

 怪しい水たまりのような物をいくつか設置していて、罠ではないただの水たまりもある。

 人型モンスターの狡猾さを考えると、これに対応できてほしいけど、どうだろうね。


「メーテル、足元に気を付けるっすよ! 絶対に怪しいっす!」


「もちろんよ~。ここまできて負けられないもの~」


 メルセデスたちは足元の水を避けながらこちらへ向かってくるので、そちらへ誘導するように水刃を放ったり、剣で攻撃したりする。

 それを受けてメルセデスたちは確信を深めたようで、絶対に水たまりには入ろうとしない。

 うん。とてもいい対応だ。これなら十分に合格をあげていいと思うけど、最後までしっかりやろう。


「これで決めるっすよ! ユーリさん、覚悟してください!」


 メルセデスはぼくに向けて水の膜を縦にいくつも向けてくる。当たったら大変だから、ぼくは避けながらメルセデスに剣で攻撃する。

 それに対してメーテルが横から剣を殴ってくる。ぼくは体勢を崩した。

 そこにメルセデスが模擬剣で攻撃してくる。もう十分かな。

 ぼくはメルセデスの攻撃を素直に食らって、両手を挙げる。


「まいった。メルセデスたちはこれからオーバースカイの仲間だよ。よろしくね」


 メルセデスたちはともに両腕を高く上げて大声で叫ぶ。


「「やったー!!」


 こういう時に息ぴったりなのはいいコンビの証って感じがするね。

 ついにメルセデスたちがオーバースカイの仲間になるのか。期間的には短いと思うけど、ぼくはとても待っていたような気分だった。


「これからよろしく、メルセデスさん、メーテルさん。ユーリはヘタレだけど、ちゃんと頼りにしていいわよ」


「よ、よろしくおねがいしますっ。お2人の事、歓迎しますよっ」


「よろしくお願いします……一緒にユーリさんを支えましょう……」


「よろしく。ユーリ、良かったね」


「ご主人が嬉しそうで何よりだ。2人とも、これからもしっかりな」


 みんなメルセデスたちを歓迎してくれているようだ。メルセデスたちとこれから一緒に冒険できると思うと、とても嬉しい。

 アリシアさんたちにも同じ気持ちを味わってもらえるように、頑張っていこう。


「ユーリさん、今までありがとうございました! これから末永くよろしくお願いするっすからね!」

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