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邪悪ヤンデレ厄災系ペットオメガスライム  作者: maricaみかん
3章 頂へと歩むオーバースカイ

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66話 相談

 ノーラが進化したので、ぼくは戦闘での立ち回りを考えるために、ノーラと話し合うことにした。

 これまでと同じような立ち回りなのか、それとも別の動きをする事になるのか。

 ぶっつけ本番は危険だから、ある程度練習してから実戦に移るつもりではあるけど、その前に方針を固めておきたい。


「ノーラは進化したことで戦い方が変わったりするの? 戦い方が変わるなら、戦術を練り直さなくちゃね」


「基本的には変わらんはずだ。体が大きくなったから、小さい隙間に入るようなことは出来んが、速度や攻撃の威力は上がっているぞ」


 つまり、これまでのように接近戦を基本にして動いてもらう事になるのか。

 前のノーラもかなり速かったけど、あれからさらに素早さが上がるんだな。

 ぼくがミア強化で加速するより速いのかもしれないな。そうなると、相手のかく乱もできるだろう。

 攻撃の威力が上がったことは嬉しいけれど、手足で攻撃するままなのかな。武器が使えるかどうかも気になるな。


「そうなんだね。じゃあ、前からと同じように敵に近寄って攻撃してもらおうかな。それで、ノーラは武器を使う事は出来る?」


「出来んことは無いぞ。だが、そこらの武器を使う位ならば直接殴ったり蹴ったりする方が強いな。それに、殴る蹴るの威力はうちの力でもっと強く出来るはずだ。素早さを下げてまで使うほどではないだろう」


 まあ、武器は重いしかさばるから、持たなくていいなら持ちたくないモノだろうな。

 それにしても、殴る蹴るの強化となると、猫型モンスターの契約技みたいだ。

 アクアはアクア水と本人の戦い方が一致していないけど、ノーラはどうなんだろう。


 まあ、ノーラが契約したいという相手が現れない事にはね。戦力の為だけに契約させるというのは嫌だ。

 仮にオーバースカイで契約するとしたら、カタリナかユーリヤだよね。

 フィーナは契約できるのかちょっと怪しいし、そもそも契約が必要ないほどの力を持っている。

 ぼくは契約する事ができないからね。ノーラもたぶんぼくと契約したいと思ってくれているだろうけど、アクアと契約解除なんてありえない選択だ。


 それは急いで考える事でもないかな。そもそもぼくが考えるべきことかも怪しい。

 それよりも、ノーラをどういう風に戦わせるかだよね。防具はどうしようか。

 猫の姿の時は着けていなかったけれど、今でも必要ないだろうか。

 モンスターは下手な防具より強い防御力を自前で持っている事もあるから、その辺も確かめてみるか。


「なるほどね。じゃあ、防具も必要ないかな? 攻撃が当たったら危ないなら着けてほしいけど」


「鉄の鎧くらいならいらんぞ。攻撃に当たりやすくなるだけで、生身で攻撃を受ける時と防げる限度はそう変わらん。当たらんように立ち回る方が賢いだろうな」


 その言い回しだと、鉄並みに防御力がある皮膚という事になる。

 そこらの人型モンスター相手なら鉄の剣でもかなり有効なのに、とんでもないな。

 でも、強い分にはありがたいか。ノーラがケガをしちゃう可能性が減るわけだから。

 仮にノーラがドラゴンより強いとして、それでノーラを恐れる事なんてありえない。

 いつものように甘えてくる姿は可愛いし、ぼくたちにしっかり配慮してくれる優しさもある。

 なによりも、ぼくはノーラが大好きなんだ。ノーラと一緒に居る幸せな時間の事を考えたら、ちょっとやそっとの問題でノーラと離れ離れになる訳にはいかない。


「それなら、動きやすい服を買おうか。ノーラはどんな服が良い?」


「ご主人が選んでくれるなら何でもいいぞ。さすがにまともに入らん服は勘弁してほしいが」


 その答えだと中々悩むな。まあいい。冒険の時に着る服は見た目より動きやすさを重視して、普段着はどうしようかな。

 ノーラのイメージだと動きやすそうな服が普段でも似合いそうだな。

 一番近いのはアリシアさんの服みたいな感じだけど、全く同じだとさすがに問題だから、どう変えようか。

 尻尾があるから、それを通せる穴のようなものも必要かな。スカートは色々見えちゃいそうだから止めようかな。

 いや、お尻より上に尻尾があるから、穴の開け方を工夫すれば大丈夫かもしれない。

 まあ、実際に服屋でいろいろと見ながら考えた方が良いか。服の事は後にしよう。


「それなら、今度服屋に行こうね。ぼくと一緒に行くだろうけど、他の人は連れていく?」


「アクア様は一緒でないと困るし、カタリナも着いてきて構わん。あとは、どうしてもご主人が連れてきたいのならだな」


 そうなるか。なら、アクアとカタリナとノーラとで出かけることにしよう。

 ぼくの服選びには自信がないから、できればカタリナの意見を聞きたい。

 でも、他の人の意見を混ぜた選び方は、ユーリヤあたりは嫌がりそうだよね。ノーラはどうなんだろう。


「ノーラ、服を選ぶときにカタリナの意見も聞いていいかな? ぼく1人だといい服を選べるか怪しいんだけど」


「先にご主人が選んで、カタリナがだめだと言ったら弾くのはどうだ。それならば、ご主人の意見が中心だからな」


 ノーラの案はとても良いもののように思えた。ぼくの選択に自信があるわけでは無いけど、きっとノーラはぼくの選んだ服を着たいのだろうし。

 それで、ノーラにおかしな服を着せてしまう可能性もつぶせる。

 ノーラがぼくの選んだ服を気に入ってくれれば嬉しいけど、ノーラが変な服を着ていると思われることは避けたいからね。

 よし、ノーラの案で行こう。


「そうさせて貰うね。おしゃれしたノーラを見るの、楽しみだなあ」


「ご主人がそんなことを言うとは思わなかったぞ。衣装の事などよく分かっていなさそうなのにな」


 それを否定はできないけど、せっかく服を選ぶのだから、ノーラの可愛い姿を見たいんだよね。

 サーシャさんやユーリヤの服を選ぶ中で、着飾った服を見る楽しみというのが分かってきた。

 だから、ノーラの服を選ぶときにはそれを意識することにしたんだ。

 それに、ぼくが楽しんでいる方がきっとノーラも楽しいだろう。

 ノーラがぼくの事が大好きだという事はさすがに分かる。ぼくは大好きな人の楽しそうな姿が好きだから、ノーラも同じかもしれない。

 ノーラには出来るだけ楽しんでもらいたいから、しっかりぼくも楽しもうとしないとね。


「衣装の事がよく分かっていないことは確かだけれど、ノーラがせっかくオシャレをしてくれるんだから、楽しまなくちゃ損だよ」


「そうか。ご主人がうちを本気で可愛がってくれている事がよく分かるぞ。ご主人、大好きだ」


 ノーラにぼくの想いが伝わっているのは嬉しいな。それに、ノーラから大好きだと言われることも。

 大好きだと大切な人に言われることはこんなに嬉しいんだから、ぼくも大切な人には出来るだけ好意をはっきりと伝えよう。

 まずは、目の前にいるノーラからだ。


「ありがとう、ノーラ。ぼくもノーラの事が大好きだよ。ノーラとあの日に出会えて本当に良かった」


「ご主人は最初うちの事を警戒していたがな。まあ、見知らぬモンスター相手では当然の反応なのだが」


 それを言われるとちょっと困っちゃうな。でも、あの日ノーラを受け入れることにしたのは大正解だった。

 ノーラが甘えてくる姿が可愛かったから決めたんだけど、ぼくの判断を後押ししてくれたアクアにも感謝しないとね。

 ノーラはぼくにとってもう絶対に居なくてはいけない存在だから、ノーラを排除するなんてもしもを考えたくはない。

 これまでも、これからも、ずっとノーラを大切にするんだ。


「あの時はごめんね。それで、モンスターと言う言葉で思い出したんだけど、ノーラは誰かと契約するつもりはある? 契約してほしいわけじゃ無いけど、契約するつもりならいい相手を探さなくちゃいけないからね」


「うちはご主人と契約したいのだがな。ご主人はアクア様と契約しているからそれは叶わん。まあ、オーバースカイの役に立てるようにするぞ。そこらの他人と契約するつもりはないから、安心するといい」


 ぼくもノーラと契約できるのならしたいけど、2重契約はモンスターの側も危ないらしいから、それは絶対にできない。

 ノーラはオーバースカイの役に立てるつもりだと言っているから、恐らく候補はカタリナとユーリヤかな。

 ノーラが契約をきっかけにぼくから離れていくことは無さそうだから、それは嬉しい。

 でも、ノーラを縛り付けてしまっているような。

 いや、その考えはぼくを大好きでいてくれるノーラに失礼だ。素直にノーラとこれからも一緒に居られることを喜ぼう。


「それは安心だね。ノーラは他人になんて渡せないよ。ノーラがどうしても去って行きたいならぼくは止められないけど、そんなことをノーラが言うとは思っていないしね」


「当然だぞ、ご主人。うちはご主人とずっと一緒に居る。うちを疑おうとするご主人には罰だぞ」


 そう言ってノーラはぼくに全身をこすり付けながらいろんな所を甘噛みしてくる。

 こんなの、全く罰じゃないよね。ちょっと恥ずかしさがあるとはいえ。

 ノーラが甘えてくるのに合わせてぼくもノーラを撫でまわす。主に頭や手足を撫でていた。


「ご主人も積極的だな。つまり反省しているのか? 人の姿になったからにはもう撫でられないことも覚悟していたが、これからもしっかり撫でてもらうぞ」


 ノーラにそんなことを考えさせてしまっていたのか。これは反省しないと。

 ノーラはいつでも甘えてきていいし、目いっぱい甘やかしてあげるのだとノーラにちゃんと伝えよう。

 アクアももしかしたら不安があったかもしれないな。後でしっかり甘やかしてあげよう。


「心配かけてごめんね。でも、これからいくらでも撫でてあげるし、他の遊びだっていいよ。ノーラが喜んでくれるなら、大抵の事はするよ」


「では、キスでもして貰おうか。……冗談だぞ、ご主人。ご主人がキスを特別に思っていることくらい分かっている」


 冗談だったのか。すっごくびっくりしちゃった。

 でも、口同士ならともかく、他の場所なら考えておこう。

 ノーラがわざわざ口に出したんだから、全く望んでいないわけでは無いはずだ。

 ぼくがキスについて考えていると、ノーラが決意を込めたような表情になった。一体なんだろう。


「決めたぞ、ご主人。うちはカタリナと契約するぞ。カタリナとならうちも嬉しい」

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