表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
邪悪ヤンデレ厄災系ペットオメガスライム  作者: maricaみかん
3章 頂へと歩むオーバースカイ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/192

48話 連携

 ぼくたちは、今日アリシアさんたちにフィーナを紹介するつもりだった。

 今日は久しぶりのアリシアさんたちとの活動だけど、もしかしたら紹介を中心に1日潰れるかもしれないという覚悟はしていた。

 アリシアさんたちにいろいろ教えてもらいたい気持ちはあるけど、こういう事をおろそかにするのは良くないよね。

 結局のところチームを組む以上、人間関係という物は切っても切れないんだから。

 まあ、1日潰れるというのは本当に最悪の場合で、顔合わせだけで終わる可能性も十分にあるとは思うけど。

 フィーナの能力は特殊だから、いろいろな可能性は想定しておいた方が良いかな。

 さすがにアリシアさんたちがフィーナを化け物扱いすることはないだろうけど、うっかりフィーナの繊細な部分に触れてしまいかねなくもないかもと、気を付けておきたい。

 フィーナとアリシアさんたちの関係がうまくいかなかったら、ぼくは本当に困ってしまう。

 どちらも大切な人だけに、どちらかを切り捨てないといけない事態は避けたかった。


「フィーナ、今日はぼくたちの師匠をしてくれている、アリシアさんとレティさんに会ってもらう。ぼくたちの戦いとか、冒険者としての活動のいろいろな面倒を見てもらっているから、フィーナの能力についても説明しておきたいんだけど、いいかな?」


「ユーリさんが信頼できる方だというなら、構いません……ですが、その方たちが何と言おうと、わたしはユーリさんのそばを離れませんから……」


「大丈夫だとは思っているけど、万が一うまくいかなくても、フィーナを放り出すことはしないよ。もうぼくにとってフィーナは大切な仲間なんだ。アリシアさんたちの意見に逆らってでも、きみをパーティの一員として扱うことはもう決めたんだ」


「それは安心できます……ですが、ユーリさんのために、その人たちとうまくいくよう、頑張ります……」


 それからしばらくして、アリシアさんたちと合流した。アリシアさんたちには、新しいメンバーが加わったことはサーシャさんから説明してもらっているらしい。フィーナさんを見つけたアリシアさんは、納得した様子でフィーナさんの姿を見ている。


「なるほど。君がフィーナさんか。話は聞いているよ。ユーリ君たちが危ないところを助けてくれたみたいだね。

 まずは、そこにお礼を言っておこうかな。不測の事態は起こることとはいえ、私が聞いた話では本当に大変だったみたいだし、そこまでのイレギュラーは滅多にない。

 ユーリ君たちなら大丈夫だと思っていたけど、この近くでそんなことがあるとはね。ユーリ君たちが無事でいてくれて、本当に良かったよ。フィーナさん、ユーリ君たちを助けてくれてありがとう。ユーリ君たちは私たちにとっても、大切な存在なんだ。本当に良かったよ」


「本当にありがとうね、フィーナさん。ユーリ君たちに何かあったら、本当に悲しいところだったから、フィーナさんには本当に感謝してるよ。わたしたちのいない時にそんなことがあるなんてね。本当に危なかったかも」


 アリシアさんたちに心配をかけたかもしれないことは申し訳ないけど、アリシアさんたちがぼくたちの事を大切に思ってくれていることがよく分かってとても嬉しい。


「いえ……助けたのは事実ですが、ユーリさんたちはそれ以上の物をくれましたから……ユーリさんたちと出会えたことは、本当に幸運でした……」


「良い出会いだったみたいだね、ユーリ君。それで、フィーナさんはオーバースカイの中で、どういう立ち位置にするつもりかな?」


「後衛として、威力の高い攻撃を撃ってもらう、という感じですね。ぼくたちにとって、単純に防御力が高い相手はやりづらい相手の筆頭といっても良かったですし、本当にいい人が入ってくれたと思います」


「そうだね。アクア水はからめ手としては強いけど、単純な火力としては低い方だったし、カタリナさんの弓や、ユーリヤさんの罠なんかも、高威力という訳ではなかったからね。確かにいい人が入ったという評価になるのは分かる。

 私たちも、風刃が通じない相手に対してどうするかが悩み所だけど、私とレティだけなら、逃げることは簡単だからね。そうやって私たちは生き延びてきたわけだけれど、ユーリ君たちに同じことをするのは難しいだろうし、優秀なパーティメンバーが増えるというのはいいことだよ」


 本当にそう思う。逃げることも選択肢の1つだとは思っているけど、ぼくたちはモンスターより早く走れることの方が少ないだろうし、気づかれた後だと逃げることは難しい。

 できるだけ勝てる状況を作ってから挑みたいと思っているけど、モンスターが急に発生することがあるのは、本当に身に染みている。

 いざという時の手段が増えるだけで、本当にありがたいんだ。


「優秀なパーティメンバーと言えば、ノーラもとても強いんですよ。動きも素早いし、攻撃の威力も高い。前衛としては、かなり優秀だと思います」


 ノーラはぼくのセリフを聞いて自慢げな顔をしている。ノーラは本当に賢いし、強いし、可愛いし、最高のペットと言っていい。

 アクアと並んで、もう絶対に手放せない存在だ。アクアとノーラと一緒に眠ることは、最高の贅沢だと思う。

 そういえば、ノーラは進化するのだろうか。今でもとても強いから、どんなことになるのか恐ろしい気がするくらいだ。

 人型になってくれるのも嬉しいけど、猫型のままもいいよね。どっちでも、きっと最高というのは変わらないな。

 いつ進化するのかも、そもそも進化するのかもわからないけど、楽しみな気持ちが抑えきれない。


「ノーラも君たちのパーティなんだよね。キラータイガーより強いかもしれない、というのは聞いているよ。上手くやっているかな?」


「そうですね。アクア水を近接戦闘以外に使わないぼくよりは強いと思います。よく指示を聞いてくれる上に、指示を出しきれないときはちゃんと相手の強さを計って、攻めるか引くか決めてくれますから、そこらの人間よりよほどやりやすいですよ。

 それに、いるだけで空気が明るくなるような気がしますし、本当にいるだけ得という感じですね」


「ノーラは本当に賢いわよね。あたしにもよく懐いてるし、しっかりモンスターも倒してくれる。ユーリもいいペットを持ったものよ。アクアにしろ、ノーラにしろね」


「そうか。君たちのパーティは実力も確かだけど、雰囲気もいいからね。ちゃんと皆が仲良くやってるパーティというのは多くないし、仲良くやった結果責任がバラバラということもよくある。

 君たちは役割がはっきりしているし、誰が指示を出すかも明確だ。本当にいいパーティだと思うよ。私たちが駆け出しのころだったら、ぜひ入りたいと思っただろうね」


「そうだね、アリシア。和気あいあいといえば聞こえはいいけれど、結局なれ合いでしかない人たちってよくいるし、そういう人たちに限って、ちょっと失敗するとすぐ関係が悪くなるから。あなたたちはそういう心配はあまりしなくて良さそうだよね」


 ぼくたちのパーティがいい雰囲気だと言われるのは嬉しいな。それにしても、アリシアさんたちの駆け出し時代って、どんな感じだったんだろう。

 新入り同士でアリシアさんたちとパーティを組むというのも、きっと悪くないのだろうけど、アリシアさんたちはやっぱり師匠という感じが強いかな。


「ま、あたしたちはね。いくらユーリがヘタレだったからって、仲間を見捨てるほどの奴じゃないのは分かり切ってるわ。だから、こいつを見捨てないでやったんだし」


「ユ、ユーリさんはかっこいいですし、頼りになりますよっ。それに、カタリナさんも優しいですし、アクアちゃんもかわいいですっ。ノーラちゃんとフィーナさんも、きっと上手くやっていけますよっ」


「ユーリなら大丈夫。アクア、絶対にユーリを守る。ユーリの生活も、ユーリの大切なものも」


「ふふ……本当に、みなさんと出会えて良かった。絶対に、この居場所を守ってみせます……」


 ノーラはみんなが話している間、ずっとぼくに擦りついていた。話を聞いてないように見える時も、話は理解しているんだよね。

 だから、あまり叱る気にもなれない。本当に聞き逃してはいけない話は、ちゃんと邪魔せず聞いてくれるから、余計にね。


 それから、フィーナとノーラの能力と役割について細かく説明していた。アリシアさんたちはやはりフィーナを拒絶せず、しっかりフィーナの事を見ていてくれた。

 少しは心配だったけど、やっぱりぼくたちの尊敬する師匠だ。本当に、この人たちで良かった。何度も思っていることだけど、また思った。


「それで、フィーナさんは、近接戦闘はできるかな? ユーリ君は固定砲台でもいいと考えているようだけど、できるかできないかで、取れる手段は大きく変わってくる。私だって、風刃で固定砲台という役割ができない事はないけど、近接戦闘もできるからこそ、ここまでこれたという自負がある。フィーナさん、どうかな?」


「全くできないという訳では……ただ、ユーリさんやアリシアさんのように、能力を近接戦闘には生かせないので……」


「なるほど。衝撃を自分にぶつけて加速とかも難しいかな?」


 その言葉を受けてフィーナは首を横に振る。衝撃が当たったら危なそうだとは感じていたけれど、やっぱりそうか。


「そんなことをしたら、大ケガをしてしまいます……そこらのモンスターくらいなら、素手で能力を使わずとも倒せますが……」


「そうか。そうなると、ユーリ君たちが足止めする方が良いというのも分かる。ただ、近接戦闘しながら、別の場所に衝撃を発射するくらいの事は出来た方が良いよ。強く集中しないと使えない能力は、いざという場面に弱い。その辺は、ユーリ君はうまくやっているよ」


「わかりました……いろいろと、試してみたいと思います……この力は、あまり使ってきませんでしたから、成長の余地は大きいはずです……」


 昨日ちょっと試しただけでいろいろできるようになったことに驚いたけど、そういう事情もあったのか。フィーナが能力を使う才能があるのは間違いないけど、ぼくが先達として、いろいろ教えられるかもしれないな。


 それからは、いつものように、ぼくたちがモンスターを討伐して、アリシアさんたちがアドバイスがあるときに話しかけてくれるという形で進んだ。

 ノーラは敵の背後や側面をうまくとる方法を教わっていたし、フィーナは動きながら能力を使うコツについて教わっていた。

 ぼくたち全体としては、大勢の相手ではなく、強い1体に連携するための考えを教わった。

 お互いがお互いの攻撃を邪魔せずに生かしあう。言葉にすれば簡単だけど、すごく難しい。

 ただ、ぼくたちにはアクア水で軌道を変えるという手段があるので、他のパーティよりはやりやすいらしい。

 初めてキラータイガーを相手にした時より人数が多いから、これまでと同じようなモンスターと戦う時でも戦術は大きく変わることは間違いない。しっかり練習しておかないとな。


 アリシアさんたちと別れた後、ぼくたちだけで街の闘技場で少しだけ練習していった。ぼくたちで苦戦するような相手だと、人型モンスターとかドラゴンとかだよね。単純な手だけじゃだめだから、しっかり対策しておきたい。

 それから帰って、今日もアクアとノーラと寝た。アクアのそばは前よりももっと心地よくなっているかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ