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邪悪ヤンデレ厄災系ペットオメガスライム  作者: maricaみかん
2章 水刃のユーリ

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裏 楽しみ

 王都に来たアクアは、ユーリの大会を楽しみにしていた。エンブラの街での闘技大会では、ユーリの格好いいところを存分に見ることが出来たし、今回も期待できるだろう。

 仮に負けたとしても、ユーリが最高であることに変わりはないが、ユーリが活躍しているところを見るのもとても楽しかった。

 アクア水をユーリに飲ませて、ユーリの身体能力を上げていった甲斐がある。アクアは自身の判断に満足していた。

 ただの剣術を使っているユーリも格好よかったが、今回はアクア水を存分に使うことが出来るルールだ。ユーリとアクアが一心同体であることを改めて確認できる。アクアは本当にワクワクしていた。


 だから、ステラとしてユーリに接する際、誘惑をしてタジタジになるユーリを楽しむのではなく、しっかり大会へ向けて英気を蓄えさせることにした。

 そうする中で、ユーリが本当に落ち着いている姿を見て、何かアクアにこれまで感じたことのない感情が芽生えた。ユーリはなんだかんだでいつも気を張っている。そのユーリが、ここまで甘えを前面に出すことを、アクアは見たことがなかった。それゆえ、ユーリに対して、可愛さのようなものを感じていた。

 この日ステラとしてユーリにかけた言葉はすべて本心だったが、特にユーリに頼られたいという思いは強かった。何度もアクアとしてユーリに言っていたことではあるが、ユーリは自分でできる事は自分でしようとしてしまう。

 ユーリに頼ってほしかった。ステラとしても、ユーリヤとしても、アクアとしても。そうすれば、ユーリが自分を必要としていることを強く実感できる。アクアはそう思っていた。


 次にアクアとしてユーリと接している時、ユーリからアクアの体の中にユーリを入れる提案をされたとき、ついにここまで来たかとアクアは思った。ユーリも自分と一つになることを望んでいる。そう思えて、興奮が抑え切れなかった。

 でも、そんな大きな楽しみは最後の方が絶対に楽しい。そう考えたアクアは、まずはスライムならではのマッサージをすることにした。

 ステラとしてマッサージをすることも楽しかったが、スライムの体ならもっと深く触れ合える。ステラを取り込まなければ、マッサージという発想はなかった。そう考えたアクアは、ステラに感謝していた。

 ステラとアクアのどちらがいいか聞いたとき、ユーリがどちらも最高と答えるだろうことは、なんとなくアクアにはわかっていた。ユーリは大切なもの同士でできるだけ順位をつけたがらないだろうと。あるいは、順位をつけることで関係が壊れることを恐れてかもしれない。

 それでも、アクアと答えてくれなかったことで、ユーリにスライムの良さを叩き込むために、アクアはスライムの体でしか絶対にできないマッサージをユーリに施した。

 これでユーリにさらなるスライムの魅力を知ってもらって、ユーリにもっと自分を好きになってもらおうとしていた。

 他のスライムには出来ないことであったし、他のスライムとユーリがこんなことをするほど親しくなることもあるまい。そう考えて、アクアは全力でマッサージしていた。

 ユーリにとって繊細であろう部分に触れたとしても、ユーリはすべて受け入れていた。アクアがユーリを傷つけることは無いと、ユーリは固く信じてくれている。

 その信頼が心地よく感じて、ユーリにいっぱい気持ち良くなってもらっていた。

 そのままユーリを取り込むと、前回のようにじっとしていることはせず、ユーリの体をいじったり、ユーリの体を動かしてみたり、ユーリが体の中にいる感覚をとにかく楽しんでいた。ユーリは一切抵抗しないので、思う存分ユーリを堪能した。ユーリが心地よく感じるように工夫もしたので、ユーリも楽しんでいただろう。アクアはユーリを取り込むことを本当に楽しんでいた。

 ユーリを取り込む感覚を十分に味わって、ユーリと1つになる感覚に満足したアクアは、今度はユーリと別れているがゆえの遊びを楽しんだ。ユーリに抱き着いてみたり、いろいろ触ってみたり。

 さっきとはずいぶん違う感覚で、複数の味としてしっかりと味わっていた。

 ユーリのそばに居るだけで本当にいろいろな楽しみがある。ユーリは本当に最高だ。アクアはご満悦だった。


 次の日。ユーリの大会を見ていたアクアは、本当に楽しんでいた。ユーリが大勢の弱者相手に大活躍する姿は愉快だと感じた。ユーリも昔は大勢の側だったが、自分の力でここまで強くなったのだと満足していた。

 そんな中、ユーリに暴言を吐くものがいて、アクアは本当に不愉快だった。せっかくユーリが活躍する姿を楽しんでいたのに、水を差されたと考えた。すぐにユーリに倒される程度の存在だったので、余計につまらなかった。

 なので、アクアはユーリをけなした奴を処分することにした。特に注目もされていなかったので、簡単に始末できた。


 次の試合では、アルラウネと戦っていた。結構そのアルラウネは強い個体だった様子で、ユーリがいろいろな技を使う姿を見ることが出来たので、アクアは満足していた。本当にアクア水をユーリにあげてよかったと。

 ユーリと契約して良いことはとても多くあったが、自分の一部であるアクア水をユーリが使いこなしている姿を見ることは、アクアにとってとても大きな楽しみだった。

 偶然ミーナがユーリと同じ大会に出て、ユーリが燃え上がっている姿を見て、アクアは偶然に感謝した。もともと頑張るつもりはあった様子のユーリだが、ミーナがいてくれたおかげでもっと本気になっていた。

 これなら、ユーリの格好いい姿をもっと見ることが出来る。当然、アクア水が役に立つところも。

 アクアはユーリのペットとして、ユーリに自分に頼ってもらうことも楽しみだったが、自分が頑張って強くしたユーリが活躍する姿を見ることも本当に大好きだった。

 弱いままのユーリを自分に依存させることを夢見なかったわけでは無いが、今のユーリの方がきっといい。本当にアクアのユーリは最高だ。何をしていても自分を喜ばせてくれる。ユーリは最高の飼い主だと、アクアは他の飼い主を知っているわけでもないのにそう確信していた。


 それからのいくつかの試合では、ユーリは全く苦戦していなかった。接戦にも接戦の味があるが、圧勝した時の余裕気なユーリもいい。アクアはユーリの新しい一面を見ることが出来たと喜んでいた。

 その後、オリアスという者との試合があった。何かアリシアに因縁があるのか、アリシアと親しいユーリに絡んでいた。この時点でアクアのオリアスへの好感度は一気に下がっていた。

 だけど、今後の態度次第では見逃してやってもいいかな。そうアクアが考えていると、オリアスは結構強い様子で、ユーリの様々な技を引き出していた。特にユーリがアクア水で加速する技は、ユーリとアクア水がしっかり触れているのが嬉しくて、アクアはとてもいい気分になっていた。

 ユーリが水刃と名付けられた技を使っている時のユーリの嬉しそうな顔も良かったし、別にオリアスを殺さなくてもいいかな。

 そう考えていたアクアだったが、オリアスがユーリを殺すと口にしたことでその気は完全に失せた。絶対にむごたらしく殺してやる。アクアはそう決めた。

 その後、オリアスが雇っていた貴族に叱責されてから、オリアスが1人になったタイミングを見計らい、アクアはオリアスの全身を操って、痛みをより刺激するように改造した後、オリアスの骨を1本1本ゆっくりと曲げていった。

 オリアスはずっと混乱したままで、何が起こっているのかわからないという様子のままに死んでいった。その後、アクアはオリアスを溶かして処分した。


 ユーリとミーナの試合をアクアは本当に楽しんでいた。ユーリは真剣な顔をしているが、ずっと楽しそうだったし、これまでの試合で使った技の総決算という感じで、本当に見ごたえを感じていた。

 ミーナが本当に強かったので、ユーリもアクア水をどんどん使っていっていた。多少ユーリがケガをしていたが、それくらいなら別にかまわないと考えた。ユーリの命が危なくなることは無いと確信していたから、素直に応援できていた。

 ミーナがユーリを追い詰めたおかげで、ユーリのアクア水を使う技術がどんどん上がっていって、アクアはそれに合わせて興奮していた。ユーリと自分がどんどん深くつながっていくことを感じて、アクアはミーナにとても感謝していた。

 ミーナとの決着の時、ユーリが無理をして左腕をぼろぼろにしていた時は少しだけ心配したが、ユーリはミーナに勝って本当に嬉しそうで、アクアまで嬉しくなっていた。それから、ユーリが宿に帰ってきた時、ユーリと一緒にとても喜んだ。本当に今日のユーリは格好良かった。アクアは今回の大会に非常に満足していた。


 それから、ユーリが勲章をオリヴィエに受け取り、首に下げて帰ってきた。ユーリが称えられることは喜ばしいことかもしれないが、ユーリの周辺に変な人が寄ってくると、処分が面倒だ。アクアはそんなことを考えながら、ユーリの勲章を眺めていた。


 また後、ミーナとヴァネアをユーリに紹介されて、ユーリはその2人と語らっていた。その2人と別れた後のユーリは満足げで、ユーリにまたいい交友関係ができたとアクアは素直に喜んでいた。

 またユーリがミーナと戦うことがあったら、もっと格好いいところが見れるかもしれないし、もっとアクア水を使いこなしてくれるかもしれない。アクアはミーナにそれなりに期待していた。


 さらに後、オリヴィエがユーリのもとを訪ねてきた。オリヴィエがユーリを自分のものにしたいと言うことには少し腹を立てたアクアだが、ユーリに対して悪意を持っている様子ではなかったので見逃した。

 オリヴィエは確かに人間の中では強いようだが、アクアにとって脅威になるほどではなかった。ユーリが帰ってきた時の様子から、ユーリがかなりオリヴィエに絆されているようだったので、オリヴィエに対して何かするつもりはアクアから無くなっていた。

 ただ、ユーリの首にチョーカーを付けていることだけは腹立たしかった。

 あれではユーリがペットのようではないか。自分がユーリに着けるならともかく、他者につけられている事がアクアは気に食わなかった。

 だが、ユーリは悪いようには思っていなかったから、アクアは我慢することにした。


 その日の夜。少しだけカタリナに体を返すべきか考えていた。そのまま解放することは怖かったので、カタリナのアクアに操られていたという記憶を消して、アクアが操っていた間の記憶を本物として植え付けることも検討した。

 しかし、アクアは何故かそれを実行するような気にはなれなかった。結局、今のままカタリナを操り続けることに決めた。


 自分はユーリといて幸せだが、ユーリは自分といて幸せなのだろうか。アクアの心に、ほんの小さな疑問ができた。

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