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邪悪ヤンデレ厄災系ペットオメガスライム  作者: maricaみかん
6章 ユーリとアクアの世界

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if ノーラとの未来

 ぼくはノーラが進化してから、とても私生活が充実していた。

 アクアもノーラもとても可愛いペットで、家ではずっと甘えてくれる。

 とはいえ、甘えるだけなら進化前からもだったけど。

 でも今は、好意を言葉でも伝えてくれるから。

 そして、ぼくと楽しい会話をしてくれるから。

 ノーラが進化したことは、大きな喜びを運んでくれたよね。


 今日はノーラと2人で過ごす日だ。

 ノーラは2人きりになった瞬間から、ぼくに引っ付いてきている。

 体をこすり付けてくるのは進化前からの行動だけど、受ける印象は全く違うな。

 人間みたいに見える部分が大きいから、照れとかを感じちゃうんだよね。

 もちろん、進化したからといって対応を変えたらノーラがかわいそうだから。

 ノーラの行動はたいてい受け入れている。


「ご主人と一緒にいる時間は幸せだぞ。もっといっぱい時間がほしいくらいだ」


 ノーラの望みはできるだけ叶えてあげたいけれど。

 それでも、ノーラと2人の時間を増やすことは難しい。

 他の人たちとだって、過ごす時間を作りたいから。

 ノーラだって、何人もいる状況で一緒にいたいワケではないのだろうし。

 まあ、何人だとしてもぼくと一緒にいるだけで楽しんでくれていることは分かるけれど。


「ぼくもノーラと一緒だと幸せだよ。ノーラと出会えて、本当に良かった」


「ご主人はよくうちを受け入れたものだな。警戒心の強いご主人にしては、珍しいな」


 それはそうかもしれない。

 懐いてきたモンスターだからといって、それだけで信頼するものだろうか。

 まあ、ノーラを受け入れたことは絶対に正解だったから、問題はないんだけど。

 とはいえ、仮に他のモンスターが懐いてきたとして、拒絶していたかもね。

 ノーラのことは信頼しても問題ないと思えたのはなぜだろう。

 良かったことだから、理由は何でもいいか。


「ノーラは可愛かったからかな。ぼくにもちゃんと理由はわからないけど」


「うちは今幸せだから、ご主人にはとても感謝している。ありがとう。うちを信じてくれて」


「こちらこそ、ありがとう。ぼくのペットになってくれて。おかげで、ぼくも幸せだよ」


「うちとご主人は両思いだな。当たり前の話ではあるが。ご主人、体を借りるぞ」


 ノーラはそう言ってぼくに抱きついて体をこすりつけてくる。

 やわらかくて、暖かくて、いい匂いまでするから、大変な気分だ。

 ちょっと気疲れしちゃう部分もあるけれど、ノーラは幸せそうで。

 だから、ぼくも嬉しいのも事実なんだよね。


「ノーラ、楽しい? ノーラは進化しても、あまり変わらないね」


「まあ同じうちだからな。アクア様は変わったのか?」


 どうだろうか。変わったような、変わっていないような。

 ぼくは間違いなく大きく変わった。特にアクア水の存在で。

 アクアができることの幅が大きく増えたから、そういう意味ではアクアは変わったけれど。


「いろんな遊びをするようになったかな。あと、はっきり仲良くなったと思う。もちろん、これまでも仲は良かったけれど」


「そうなのだな。うちは進化してからのアクア様しか知らんからな。進化する前のアクア様には、うちが会うことはできなかったろうが」


 まあ、王都のそばで出会ったわけだからね。

 ミストの町でずっと過ごしていたぼくが出会うわけもない。

 本当に偶然の出会いだったけど、最高の幸運だったな。


「過去に戻ることはできないから、今を楽しむしかないね。いまノーラと遊んでいるのは楽しいよ」


「それは嬉しいな。ご主人が喜んでくれるのなら、最高の気分だぞ」


「ぼくもノーラが喜んでくれるなら嬉しいよ。さっきと同じだけど、両思いだね」


「……ご主人。うちとご主人とは本当の意味で両思いではない」


 ノーラは少しつらそうな顔でそう言う。

 つまりきっと、ぼくの思いがノーラに届いていないのかな?

 あるいは、ノーラの望む形の好意ではないか。

 どちらにしろ、ノーラがどんな思いを望んでいるのかはわからないけれど。

 そういうところなのだろうか。だとすると、どうすればいいのか。


「言いたいことがあるのなら伝えてね。直せるように、努力するから」


「そういうことではない……! 努力では、意味がないのだ……!」


 思いは努力したところで変えられるものではない。

 だから、ノーラの言っていることは分かるような。

 だとしても、ノーラのつらい顔なんて見たくないから。

 ぼくができることならば、なんだってしてあげたいから。

 その思いは、間違っているのだろうか。

 ノーラが喜ばないのなら、ぼくにとっては間違いであるのだけれど。


「だとしても、ノーラが喜ぶためなら、きっとなんだってするよ」


「なら、なら……うちとキスしてくれ! それ以上のことだって!」


 ノーラからの言葉には、とても驚いた。

 つまりこれは、ノーラからの告白のようなもの。

 こんなにつらそうな顔で言わせてしまったことは反省したいけれど。

 でも、ノーラが望むのならば。是非もない。


 ノーラの決意に見合うくらいの覚悟を決めて、ノーラへと向かっていく。

 ぼくはノーラを抱きしめる。すると、ノーラからも抱き返してくる。

 それから、ノーラの唇へと向かっていった。

 唇が触れ合ってから、ノーラはぼくに強くしがみついてきて。

 とてもギュッと唇を押し付けてきたんだ。


 きっと、心の内に溜め込んだものが爆発したのだろう。

 だから、少し苦しいけれど耐えるつもりだ。

 ノーラはしばらくの間ぼくに激しくくっついていて。

 離れた頃には、お互い息も絶え絶えだった。

 ぼくとノーラはそんなお互いを見て笑いあって。

 だから、きっとノーラとなら幸せになれると思えた。


「ノーラ、大好きだよ。これからも、ずっと一緒にいようね」


「当然だぞ。うちを捨てるようなことをしたならば、ご主人がどうなるか、うちでも分からんからな」


 ノーラを捨てるようなこと、何があってもするわけがないけれど。

 だけど、その想いをきちんと伝えていかないとね。

 またノーラを不安にさせるワケにはいかないのだから。


「そんな心配はしなくていいよ。これからの幸せ、一緒に作っていこうね」


「ああ。ご主人のことも、必ず幸せにしてみせるからな」


「ノーラが一緒にいてくれるだけで十分だよ。でも、その気持ちは嬉しいな」


「うちのすべてを捧げるから、ご主人のすべてをくれ。そうすれば、お互い幸せなはずだ」


 ノーラの言葉からは強い決意を感じる。

 だから、きっと本気でぼくのことを幸せにしてくれるはず。

 ノーラにも同じかそれ以上の幸福を感じてもらうために、がんばるから。


 それから。

 ノーラとは男女の関係になって、アクアにも祝福してもらった。

 他のみんなも、ぼくの幸せを喜んでくれていて。

 だから、これからのぼくは幸福であふれるだろう。

 ずっと大切にしてみせるからね、ノーラ。





 アクアはユーリの周囲にいる人もモンスターもまとめて支配していた。

 ノーラは自由意志を持っているものの、アクアにとってはいつでも人形にできる存在で。

 だから、ユーリの全ては自分だけで埋めてしまったのではないかと感じていた。


 ただ、そんな思いを変えるきっかけになったのもノーラだった。

 ノーラはアクアが全く想定していない形でユーリと結ばれて。

 だから、アクアにとって唯一の、支配下にない存在と言えた。

 アクアにとってはノーラは間違いなく信頼できる存在で。

 ノーラがユーリを幸せにできることは少しも疑っていなかった。


 アクアはユーリとノーラの幸せを見ていることが楽しくて。

 だから、今の2人をずっと守り続けると誓っていた。

 アクアに残った最後の希望。ユーリとノーラの温かい時間。

 それを奪おうとするものは、決して救われないだろう。

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