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邪悪ヤンデレ厄災系ペットオメガスライム  作者: maricaみかん
6章 ユーリとアクアの世界

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if アリシアとの未来

 ぼくたちは、王都の近くに突然現れたブラックドラゴンを倒すために遠征していた。

 そして、実際にブラックドラゴンと戦っていく。

 その中で、じょじょにぼくたちは追い詰められていき。

 今ブラックドラゴンと戦っているのは、ぼくとアクア、そしてアリシアさんとレティさんだった。


 ブラックドラゴンと戦っていく中で、翼を振り回しながらも飛ぼうとしないことに気がついて。

 だから、空へと飛び立てば勝機があるのではないか。

 そう考えて、アクア水を身にまとって、アクア水ごとぼくの体を空中へと飛ばした。


 すると、ブラックドラゴンは全くぼくの速度に追いつけないようで。

 ぼくたちの姿を見たアリシアさんたちも、空へと舞い上がった。


 それからは、ぼくたち3人でブラックドラゴンを翻弄することに成功して。

 アリシアさんやレティさんと一体感を感じながら、順調に戦闘を進めることができた。

 王都の危機というのに不謹慎かもしれないけれど、アリシアさんたちと一緒なのが楽しい。

 つい笑顔になってしまいそうなくらい、幸せな時間だった。


 そして、ついにブラックドラゴンは倒れていく。

 完全に死んだことを確認して、アリシアさんたちの方を見る。

 すると、アリシアさんは片手を高く上げていて。

 何をするか分かったぼくは、アリシアさんの手に向かってぼくの手をつよく振った。

 パチンといういい音がなって、手に痛みが走って。

 それが今回の達成感に形を与えてくれたような気がした。


 即席のチームだったとはいえ、アリシアさんたちと相棒みたいに戦えたこと。

 とてもいい思い出になることは今でも分かりきっている。

 アリシアさんたちも笑顔を浮かべていてくれるから、きっと似たような気持ちなんだ。

 本当にこれまで頑張ってきてよかった。

 とても大変な戦いではあったけれど。得た物はとても大きかったな。


 それから、オリヴィエ様に褒美をもらって。

 そして、ぼくたちはカーレルの街へと帰っていった。

 転移装置があるおかげで、感慨もない位すぐだったけれど。


 ステラさんの家でいったんゆっくりと休んでから。

 アリシアさんたちと今回の戦いを振り返っていた。

 とても良い立ち回りができたとも思うし、課題が多かったとも思う。

 アリシアさんたちも似たような意見のようで、話は弾んだ。


「一歩間違えれば誰か犠牲が出ていた戦いだったから、反省はすべきかな。ユーリ君はどう思う?」


「そうですね。ぼくやアリシアさんの力なら、もう少し相手の性能を測ってから戦うこともできたかなと」


「なるほど。遠くから攻撃して、いったん様子見をするというわけだ。だとすると、死角を見つけてからのほうがいいだろうね」


「そうだね、アリシア。それに、他の人たちのブラックドラゴンへの近づき方も考えないとね」


  2人の意見も納得だ。

 隠れていないのならば、見つかった時にそのまま攻撃されるだろうし。

 逆に隠れたままならば、暴れているであろうブラックドラゴンにどうにか近づかないといけない。

 やっぱりアリシアさんたちの意見は参考になるな。

 肩を並べて戦う機会があったけど、今でも最高に尊敬できる師匠なんだ。


 それからもしばらくブラックドラゴンとの戦いについて考えて。

 ある程度まとまった意見ができたと思う。

 まあ、机上の空論の可能性はあるけれど。

 とはいえ、前回よりうまく戦える道筋は見えた気がする。


 考察については終わったけれど、まだブラックドラゴンとの戦いについて話していた。

 アリシアさんたちと一緒に戦えて嬉しかったという話だ。

 ぼくがその気持ちを伝えると、アリシアさん達はとても柔らかく微笑んで。

 満足感で満たされたような顔で、ぼくに語りかけてくれた。


「うん、あのときの戦いは最高だったね。私とユーリ君はまさに対等の相棒って感じだったよ。あんな素晴らしい戦いは、そう簡単にできるものではないよ」


「わたしはアリシアやユーリ君に比べるとちょっと活躍できなかったね。まあ、2人が楽しめたのだから何よりだけど。それに、ユーリ君がかっこよかった!」


 2人も楽しんでくれていたようで、嬉しいというかなんというか。

 それにしても、レティさんはかっこいいって言ってくれた。

 なんだか気分が上がるな。これまではずっとかわいい扱いだった気がするし。

 他にも、アリシアさんに認められたような言葉も良い。

 ずっと憧れていた人と対等な相棒なんて、最高としか言いようがないよね。


「アリシアさんたちも喜んでくれているようで、良かったです。ずっと前からの目標も達成できた気がしますし、あの戦いはいい経験でした」


「私達と一緒に冒険したってことだからね。私の夢も、もう叶ったような気分だよ」


 アリシアさんの夢を直接伝えてもらったわけではないけれど。

 きっと、ぼくが夢の一助になれていたのだと思えて。

 感極まってしまいそうなくらいだった。

 アリシアさんの夢が叶ったという喜び、ぼくの目標を達成できた嬉しさ。

 それらが相まったことで、これまで感じたことのないような心地で。

 だから、こんなにいい気分はもう味わえないかもしれないな。そう思いすらした。


「アリシアさんたちのおかげで、ここまで強くなれたんです。本当に、ありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします」


「もちろんだよ。それで、ちょっと相談があるんだ。私達をオーバースカイに加入させるつもりはない?」


「ユーリ君がリーダーのままでね。あなたなら、きっとわたしたちもうまく扱えると信じているからね」


 アリシアさんの提案にはとても驚いたけれど。

 でも、とても嬉しい。何も考えずに受け入れたいくらい。

 とはいえ、仲間に相談しないことにはね。

 いくらアリシアさんたちと言えど、そのあたりは無視できない。

 申し訳ないけれど、少し待ってもらうことになる。とはいえ、きっと受け入れられるだろうけれど。


 その旨をアリシアさんたちに伝えて、仲間たちとも話し合って。

 アリシアさんたちはオーバースカイに加わることになった。

 2人がぼくの指示で動く姿にはどうしても慣れないけれど。

 それでも、今のオーバースカイは何にも負けない最高のチームだと思える。


 それからも、何度も依頼をこなしていき、アリシアさんたちと協力することにも慣れてきた。

 そんなある日。ぼくはアリシアさんから呼ばれていた。


 アリシアさんたちが住んでいる家。今はステラさんの家だけれど。

 かつては別の場所だったんだよね。オーバースカイに2人が入るまでは。

 それで、前のアリシアさんたちの家に呼び出されていたんだ。

 だから、きっと大事な話なのだろうとは思う。


 アリシアさんはぼくを部屋へと連れて行って、そして。

 ぼくの方を真剣な目で見つめながら話し始めた。


「ねえ、ユーリ君。私は今まで、男なんてどうでもいいって思っていたんだ。家族なんて、作る必要もないって」


 とてもそうは思えないけれど。

 アリシアさんはぼくにとても真摯に接してくれた。どうでもいい相手への対応ではない。

 まあ、家族がほしいかどうかについては、ぼくには分からないことだけれど。


「そうなんですね。今は違うということですか?」


「そうだね。ユーリ君は私の夢である、対等な仲間との冒険を叶えてくれたけどね。新しい夢もできたんだ」


 なるほど。アリシアさんの夢はそうだったのか。

 なら、本当にぼくが叶えることができたってことじゃないか。嬉しいな。

 それにしても、新しい夢か。きっと今回の話に関わってくるのだろうけれど、なんだろう。

 ぼくの疑問に気づいているのかいないのか。アリシアさんはそのまま話し続ける。


「それはね。私の子供に冒険者としてのいろはを教えること。そして、立派な冒険者になってもらうことなんだ」


 ああ。つまり、子供が欲しくなったと。

 それは分かったけれど、どうしてぼくに話を?

 もちろん、アリシアさんの新しい夢は応援したいけれどね。

 アリシアさんはぼくを見てほほえみ、さらに話を進めていく。


「それでなんだけど、ユーリ君。私と子供を作ってくれないかな?」


 それは……アリシアさんはぼくと結ばれたいってこと?

 光栄ではあるけれど、戸惑いのほうが大きいような気がする。

 もちろん、アリシアさんが望むのならばかまわないけれど。


「えっと……結婚とかをするってことですか?」


「必要ならね。ユーリ君には悪いけれど、君に恋や愛を抱いている訳ではない。ただ、私に触れてもいい相手は、今も未来も君しかいないから」


「悪いなんてとんでもない。アリシアさんにそこまで認められているのなら、嬉しいだけですよ」


「なら、受けてくれるかな?」


「はい、喜んで。ところで、レティさんには話をしたんですか?」


「ユーリ君と私の子供なら、全力で可愛がるそうだよ。レティも君を気に入っているからね」


 レティさんなら、きっとうまく子供を育ててくれるんだろうな。

 ぼくに対してお姉さんとして接してくれるけれど、とても心地良いから。


「なら、レティさんも一緒というか、そんな感じなんですね」


「そうだね。アクアだって君とずっと一緒だろう?」


 確かに、契約者と契約モンスターが一緒にいるなんて、当たり前の話か。

 なら、家族がいっぱいになるだろうな。

 ぼくとアリシアさん、アクアとレティさん、ぼくたちの子供。

 うまく子供を育てられるか、ぼくには分からないけれど。

 だけど、頼りになる人たちはいっぱいいるから。だから、きっと大丈夫。


 これからアリシアさんと結ばれて、どんな未来が待っているだろうか。

 でも、どんな形だとしても、きっと幸せなのだろうな。





 アクアはユーリの周りの人間をほとんど支配していた。

 だから、今無事な人たちだけでも、乗っ取らずにすむならば。

 アクアはそんな考えを抱きながら、同時に諦めも頭によぎった。

 きっと、自分はユーリ以外のすべてを支配してしまうのだろうと。


 ただ、そんな未来は訪れなかった。

 アリシアがユーリに持ちかけた提案。

 ユーリとアリシア、2人の子供を作るという計画。

 それを知ったアクアは、2人の子供を可愛がりたいと考えた。


 だから、アリシアもレティも操る訳にはいかない。

 そんな考えがアクアに生まれて。

 そして、アリシアもレティもユーリを大切にしてくれていて。

 2人の温かい心が、アクアを解きほぐしていった。


 これからアリシアとユーリは子供を作っていくのだろう。

 そんな未来を夢見ながら、アクアはいま手元にある幸せを噛み締めていた。

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