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邪悪ヤンデレ厄災系ペットオメガスライム  作者: maricaみかん
5章 ステラの導き

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115話 執着

 今日はノーラと遊ぶつもりだ。またいつもの部屋で遊ぶことになる。

 最近はみんなとそれぞれ過ごしているけれど、新たな一面が見られたりして楽しいな。

 一番新しく出会ったのはシィで、その前にメルセデスたちと出会ったのだけれど、ある意味ではノーラと出会ったのはメルセデスたちの後だ。

 まあ、新しく話せるようになったというだけで、それまでにも色々と接した時間はなくならないんだけど。

 それに、それを言ってしまえば、アクアと出会ったときも比較的最近ということになってしまう。

 だから、ろくでもない考えかもしれないな。ノーラだってアクアだって、進化する前の時間を無のように扱われて良い気はしないだろう。


 それはさておき、今は目の前のノーラだ。2人きりになった途端にへばりついてきて、いつもの感じだと思える。

 猫だった頃からずっとぼくにくっついてきたノーラだけど、人型になってからは場所を選ぶようになった。

 きっとぼくに配慮してくれているのだと思う。ノーラは外で甘えたところで恥ずかしいと思う感じではないし。


 だから、こういう時間には目一杯甘えさせてあげたい。大切なペットだから、可愛がってあげないとね。

 アクアよりも女の子って感じがして照れとかはあるけれど、それで対応を変えるのは可哀想だ。

 ノーラだってぼくのことをご主人と呼んでいるあたり、ペットとしての意識が強いのだろうし。

 だから、アクアに似た感じで甘やかしてあげるのだ。そうすれば喜んでくれるはず。


「ノーラは可愛いね。それに、ぼくに気を使ってくれるようになって、賢い子だ」


「分かりきったことでも、ご主人に言われると嬉しいものだな。ご主人、もっとうちを可愛がってもらうぞ」


 ノーラはぼくに頭や体を擦り付けてくるので、頭をいっぱいなでてあげる。

 そうすると、明らかに上機嫌になった。鼻歌まじりになっているので、相当だな。

 それにしても、ノーラは可愛い。アクアも可愛いけど、ノーラにはノーラの可愛さがあるよね。

 アクアはぼくと居る時にはだいたい笑顔だけど、ノーラは割とコロコロ表情が変わる。

 なんというか、上機嫌なときとちょっと気を損ねている時の違いがわかりやすい。

 とはいえ、明らかに不機嫌な瞬間はないので、都合のいいペットとすら感じてしまう。

 まあ、だからといって、ぼくのために何もかもを我慢しているという感じはしない。

 なので、相応に幸せでいてくれているのだろう。嬉しい限りだ。


「どう、満足した? ノーラは身長が近いから、頭を撫でるには背伸びが必要なんだよね」


「ご主人が小さいだけだぞ。……冗談だから、そんな顔をしないでくれ。うちを膝枕して、しっかり頭をなでてほしいぞ」


 ぼくはいったいどんな顔をしていたのだろう。傷ついたのは事実だけど。

 まあ、冗談なのは本当だろうからそれは良いとして、膝枕か。ちょっとしんどいけど、ぼくにそうしてくれた人も味わっていたしんどさだろうし、我慢しよう。

 できれば、ソファの上でそうしたいところだけど、この部屋には無いんだよね。

 となると、地面に直接座らないといけない。

 とはいえ、それでノーラが喜んでくれるのなら十分か。よし、頑張るぞ。


「ノーラ、ここだよ」


「ご主人、失礼するぞ」


 ノーラはぼくの膝に頭を乗せてのんびりとしている。

 耳がピコピコ動いているのがちょっと気になってきたな。

 頭を撫でるついでに触ってみたら、ノーラは怒るだろうか。まあ、まずは普通に頭を撫でるか。

 そのままノーラの頭をゆっくりと撫でていく。髪の毛がサラサラしていて撫でやすいな。

 ノーラはゴロゴロというような声を出しながらくつろいでいる。

 そういえば、人のように話せるようになったのに、こういう声も出すんだな。

 可愛らしくはあるけれど、なんというか、ちょっと違和感のようなものがある。

 まあ、もとのノーラはよくこういう声を出していたから、懐かしさのほうが大きいかな。


「ノーラ、気持ちいいかな? ノーラの頭はなで心地が良くていいね」


「ご主人が喜んでくれているのなら何よりだ。ご主人の手は気持ちいいし、うちは満足だぞ」


 ノーラが満足してくれているのなら十分かな。そう考えて手を離そうとすると、ノーラがぼくの手をつかんで自分の頭に押し付けてきた。

 まだまだ撫でろということなのだろう。ノーラもわがままになって、可愛らしいことだ。

 わがままになったと言っても、ぼくへの配慮を忘れたりはしないだろうところが、また魅力的なんだよね。

 まあ、まるっきりわがままになったところで、誰かを傷つけたりしないなら、可愛いままだろうけど。


 再び頭をなでていく。こんどはさっきより素早くなでてみた。

 そうすると、ノーラは体を震わせていた。ビクビクしている。ちょっと面白いと思ってそのまま続けてみると、ノーラは息を絶え絶えにしていた。

 少し心配になって手を止めると、とろんとした目でこちらを見てきた。

 これは、気持ちよかったと解釈しても良いのだろうか。


「ご主人の手はうちをダメにしてしまうぞ。こんな事をされてしまっては、ご主人から離れられんではないか」


 お気に召したと判断して大丈夫そうだな。

 まあ、もともとノーラが望む限りずっと飼い続けるつもりだったので、ぼくから離れられなくなっても問題はない。

 とはいえ、これを何度も求められるとちょっと疲れちゃうかもしれないな。

 それでも、ノーラが強く望むのならば是非もないといったところか。

 ノーラはぼくの癒しなんだから、しっかりと優しくしてあげるのがぼくの努めだよね。


「前にノーラはぼくを逃がさないって言ってたけど、ノーラが逃げられなくなっちゃったかな」


「ご主人、まさかそんな思惑が? うちはご主人の手のひらの上で踊っていただけだったのか?」


「ふふっ、どうだろうね。でも、ノーラとずっと一緒にいられるのはうれしいかな」


「くっ、ご主人の言葉で喜ばされてしまううちが憎い……これでは、ご主人のおもちゃではないか。いや、ご主人にもてあそばれるのなら、悪いことではないな」


 ノーラはメチャクチャなことを言っている。

 こんな言葉を人に聞かれてしまったら、大変なことになるな。

 まあ、ノーラがそういう状況を考えない発言をするとは思わないけれど。

 ノーラはとっても賢いので、ぼくを困らせようとする場面は選んでくれるのだ。

 だから余計にノーラにメロメロにされてしまっているように感じる。

 かわいいペットに魅了されるのは当然のことだから、全く問題はないんだけどね。


「今のだけで弄ばれているって言うなら、こんな事をしたら耐えられないかな?」


 ぼくはそんな事を言いながら、ノーラの耳をゆっくりと触っていく。

 外側の毛が生えているところを撫でたり、内側に指を滑らせたり、つまんでみたり、押してみたり。

 そんな事をしていると、ノーラの顔はとろけているような姿になっていた。

 ノーラ、やっぱり耳が弱いんだな。それにしても、なんだかちょっと変な気分になっちゃいそうな顔だ。


「ご主人の手つきからは熟練の技を感じるぞ。ご主人の技巧に翻弄されるばかりだな、うちは」


「こんな事をするのはノーラくらいなのに。でも、ノーラが楽しんでくれているみたいで良かった」


「それだけでこれほどの技術を? うちはご主人が恐ろしいぞ。だが、うちのために磨いてくれた技だと思うと、もっと堪能したくなるな」


「なら、しっぽも撫でてみようか?」


「くっ、ご主人にもてあそばれるだけだと分かっていても、体が求めてしまう……悔しいが、お願いするしかないぞ」


 ノーラは一体何と戦っているのだろう。まあいいか。

 そのまま、ぼくは尻尾を触っていく。指を走らせたり、軽く握ってみたり、先を撫でてみたり。

 そのたびにノーラは軽く震えていた。うーん。うまくできているのかよく分からないな。

 でも、ノーラが嫌がっているのなら止めてくるだろうし、もっと続けるか。

 それからも、ノーラのしっぽを色々といじりまわしていた。すると、ノーラは甲高い声をだし始めた。

 これはどういう声なんだろう。でも、目の焦点が合っていないから、そろそろやめておくか。


 ぼくが手を止めると、ノーラはゆっくりとした動きでこちらを向く。

 ほてった顔に、ボーッとした目をしている。口は半開きで息は熱い。

 そのまま、ノーラはぼくに激しく抱きついてきて、ずっと震えていた。


「ご主人、ご主人……うちは、うちは……!」


 ノーラが何を伝えたいのか全くわからないけれど、ノーラは力強く抱きしめてくる。

 それに応えるつもりで抱き返すと、ノーラはぼくに頬ずりを始めた。

 それから、ぼくの顔中にキスの雨を降らせてきた。


「ひどいではないか、ご主人……ご主人の一番はアクア様だとわかっているのに、納得できなくなってしまうぞ」


 ぼくはノーラを傷つけるようなことをしてしまったのだろうか。それくらい、ノーラの声から切なさを感じる。

 ぼくの一番がアクアだということは確かだ。ノーラはぼくの一番になりたくなったのかな。

 それなら、ノーラを可愛がらないほうが良かった? そうは思いたくないけれど。


「ノーラに悪いことをしちゃったのかな。だとしたらごめん。でも、ノーラはぼくの大切なペットだから」


「ご主人は悪くない。うちが悪いのだ……己の分際をわきまえようとしないうちが……所詮、うちは異物でしかないのだから」


「ノーラが傷つくのなら、分際なんてわきまえなくていいよ。ノーラが望むことをすれば良いんだ」


「ご主人は優しいな。だからこそ、諦められなくなってしまう……ご主人、うちに愛してると言ってくれ」


「もちろん、ノーラのことは大好きだし、愛しているよ」


「ああ、嬉しいな……うちの言っていない言葉まで付け足してくれる。やはり、最高のご主人だ」


 ノーラはそんな事を言いながらつらそうな顔をしている。だから、つい言葉が出てしまう。


「ノーラだって最高のペットだよ。だから、そんなに悲しい顔をしないで」


「わかっているぞ。ご主人がうちを想ってくれていることは。だから、またこうやって甘えに来てもいいか?」


「当たり前だよ。何があってもノーラを大切にする。それが、ノーラを飼い始めた者の責任だから」


 ノーラは笑顔になってまた強くぼくに抱きついてきた。ぼくはゆっくりとそれを抱き返す。


「ご主人、うちをペットにしたことを後悔したとしても、絶対に放り出さないでくれよ。そんな事をすれば、うちは何をするかわからんぞ」

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