表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

空飛びねこのおはなし

 これは、わたしたちのすむ星から、ずっとず~っとはなれた、とおいとおい星にすむ空飛びねこのおはなしです。


 空飛びねこは、ちきゅうにいるねこと、そっくりなのですが、せなかにはねをもっています。そして、空を飛ぶのです。


 はじめて空飛びねこを見つけたのは、うちゅう飛行士たちでした。うちゅう飛行士たちは、とおいとおい星にたどり着いた時に、空飛びねこに出会ったのです。

 とおいとおい星にすむ空飛びねこは、おおぜいでむれをつくってくらしています。だから、うちゅう飛行士たちも、空飛びねこたちのむれが空を飛んでいるところを見たのです。


 とおいとおい星の空をむれで飛ぶのは、空飛びねこだけではありません。空飛びあじや空飛びいわしといった、飛ぶおさかなたちがいたのです。

 うちゅう飛行士たちは、空飛ぶおさかなをつかまえようとしましたが、おさかなたちはすばやくにげてしまい、さらに高い空に上がってしまいました。うちゅう飛行士たちは、がっかりしました。


 そこへ、空飛びねこのむれが飛んできたのです。空飛びねこたちは、大きなむれをつくって飛んできましたが、空飛ぶおさかなを見つけると、ぱっと、ふたてに分かれました。そして、空飛ぶおさかなのむれをはさみうちにしたのです。


 こんどは、空飛ぶおさかなたちは、かんたんにはにげることができませんでした。空飛びねこたちは、空飛ぶおさかなを一匹ずつ口にくわえて、地上にあるねこの森へとかえっていきました。のこった空飛ぶおさかなたちは、空の低いところににげたので、うちゅう飛行士たちには、もう一度、おさかなをつかまえるチャンスがめぐってきました。

 そういうわけで、うちゅう飛行士たちは、空飛ぶおさかなをつかまえて、おひるごはんにおさかなを食べることができたのです。

 うちゅう飛行士たちは、とおいとおい星にいる間、空飛びねこたちのむれが飛んでくるのを見ると、あみを持ち、おこぼれのおさかなをつかまえるじゅんびをするようになったのでした。


 さて、しばらくの間、とおいとおい星をちょうさすることになったうちゅう飛行士たちは、とおいとおい星のさまざまなばしょを、しらべてまわりました。

 とおいとおい星には、大きな海と、小さなみずうみと、長い長い川と、高い高い山と、広い広いのはらと、かわいらしい森がありました。

 うちゅう飛行士たちは、しょうらい、とおいとおい星に、もっと多くのにんげんが来る日のために、とおいとおい星に町を作るけいかくをたてました。

「広い広いのはらに町を作るとしよう。」


 うちゅう飛行士たちは、そこで、広い広いのはらへと出かけました。

 そこには、ねこのしっぽ草が、たくさんたくさん生えていたのです。ねこのしっぽ草は風がふくと、いっせいに、ゆれました。ねこのしっぽ草がゆれはじめると、どこからともなく、空飛びねこがあつまってきて、広い広いのはらは、空飛びねこたちのあそびばに変わってしまいました。


 空飛びねこたちは、ねこのしっぽ草のゆれにあわせて、とんだり、はねたり、大さわぎ。空飛びねこたちは、ねこのしっぽ草がゆれると、たのしくなってしまうのです。いっぱいいっぱいあそんだあと、空飛びねこたちはつかれて、そのまま、まるくなってねむってしまいました。


 そのようすを見たうちゅう飛行士たちは、こまってしまいました。

「ここに町を作ったら、空飛びねこたちのあそびばとねどこが無くなってしまう。」


 そこで、うちゅう飛行士たちは、広い広いのはらの、はしっこのはしっこに町を作ることにしました。そこならば、空飛びねこたちのじゃまにはならないからです。


 うちゅう飛行士たちは、空飛びねこたちと、ともだちになりたいと思いました。だから、空飛びねこたちのいやがることはしないときめたのです。おかげで、うちゅう飛行士たちと空飛びねこたちのなかは、とてもとてもよいのです。


 とおいとおい星では、きょうも、空飛びねこたちが、空飛ぶおさかなをおいかけていることでしょう。夕ぐれちかい時間であったなら、空飛びねこたちの目が星のようにきらきらとかがやいて、たいへんたいへんきれいに見えるそうです。

 うちゅう飛行士が持ち帰ったしゃしんの中に、くらくなりかけた空に光のせんが、いくつもいくつもうつったものがありました。それは、あまりにはやく、空飛びねこたちがうごきまわったせいで、ぶれてしまった空飛びねこたちの光る目だったということです。


 とおいとおい星から帰ってきたうちゅう飛行士たちは、空飛びねこの光る目が、ながれ星のように見えたと言いました。そのため、ちきゅうに帰ってきてから、ながれ星を見るたびに、とおいとおい星で食べた空飛ぶおさかなのあじが思い出されて、おなかがぐうぐうとなるようになってしまったといいます。

 よっぽど、空飛ぶおさかなのあじがおいしかったのでしょう。

 

 うちゅう飛行士たちが、とおいとおい星の、広い広いのはらの、はしっこのはしっこに作った町では、おさかなのりょうりがめいぶつとなっています。

 もし、あなたがしょうらい、うちゅう飛行士になって、とおいとおい星にいくことがあったなら、ぜひ、空飛びねこたちとなかよくしてくださいね。そして、空飛ぶおさかなをいっしょにつかまえて、食べてみてください。

 

おしまい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] メルヘン! 空飛ぶアジ、食べてみたい。 ( *´艸`)
[良い点] 世界観にどっぷりと浸かって読みました。空飛びねこ、ねこのしっぽ草、いいっすね。かわいい。素敵な作品をありがとうございました。童謡書いてみようかな、ふと、そんな気になりました。
[良い点] 共存共栄って大事ですよね。 別の星では私たちの方が宇宙人。 遠い未来に別の星に移民するとき、こういう未来であってほしいです。 空とびねこがかわいいです!空とぶおさかなはどんな味でしょう。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ