完成
みてみん使用成功。
「出来たっ」
メグミは最後のボルトを締めた。
”蓮月スーパーエイト”の完成である。
※すいません。複座に改造は無理でした。
イメージとかけ離れていたらごめんなさい。
みてみんを使ってみたかったのです。
「あとは、空軍に飛行評価をしてもらって、飛行許可証発効だ~」
「お、出来たのかい?」
「はいっ」
いつかの大柄な女性だ。
片目に黒い眼帯。
「最終チェックしてあげるよ」
「野郎ども、これが最後だ、隅々までチェックしな~~」
「お~う」
「了解」
「まかせな」
むくつけき男たちが機体に群がる。
”蟹漁獲用装甲双胴空母、ブラックオパール号”所属整備士の、”整備書類”まで作ってくれた。(お墨付きみたいなもの)
◆
「今日は、お願いします」
メグミが頭を下げた。
「お願いします」
書類を挟んだ板を持った、ナンバが答える。
「海軍気象部所属、メグミ・タチバナ少尉です」
「日本空軍所属、タイチロウ・ナンバ大尉です」
「これですね?」
「はいっ」
メグミが元気に答えた。
「整備書類がそろってるんですね」
「はいっ」
世間話をしながら、機体を確認していく。
「えっ、タチバナ少尉は、論文をかかれるのですか」
ナンバだ。
時々メグミのしぐさに見とれている。
少し顔が赤い。
「はい、”大ナマコのコノワタと再生医療について”という論文です」
メグミが恥ずかしそうに言った。
「えっっ」
それって、自分が憧れてる論文と同じ題っ
固まってしまうナンバである。
「あのっ」
固まってしまったナンバに、心配そうに声を掛けるメグミであった。
「し、失礼しました」
ナンバが復活した。
顔が見るからに赤い。
「ふふ、はい」
「では浮かべましょう」
「はいっ」
台座に乗せられた、飛行艇を海に浮かべる。
「では、試験飛行を始めます」
メグミは複座型を選んでいる。
ぎこちなくナンバが後席に座る。
あ、憧れの人がこんなに可愛いなんて
み、密室!!
飛行艇である。
当たり前だ。
「ふふ、いきますよう~」
機体右の穴にクランクを入れ回す。
※クランクを刺して、矢印の方向に回しましょう。
ククク、ゴオオ
ブッルルン
二重反転プロペラが軽く回る。
「かかったあ」
はしゃぐメグミ。
それを見て、顔を真っ赤に染めてうつむくナンバ。
もやい(ロープ)をはずして、蓮月は大空に飛び立った。
異常がないかを確認しながら、ゆっくり飛ばす。
帰ってきた。
パララララ
エンジンが止まる。
「はい、問題ないです。 許可証は問題なく発効されるでしょう」
ナンバが、手元のチェックシートを見ながら言った。
気象部の職場は、飛行艇の上が基本だ。
水無月も含めて最低限の整備は出来る。
「やったあ」
メグミがうれしそうに跳ねる。
「くっっっ」
ナンバが上を向いた。
「お、お疲れさまでした」
「よ、よろしければ、夕食でも食べに行きませんか」
もう夕方だ。
ナンパである。
「ふふ、いいですよ~」
「手続きのことも聞きたいですし~」
メグミが笑いながら答えた。
この後、二人は、完成祝いとして飲みに行く。
赤く塗られた、キットプレーン、”蓮月スーパーエイト”。
将来、二人の子供を乗せて飛ぶことになる機体である。
※さあ飛び立とう。
了
複座にしたかった。




