エンジン部
「もう少しだねえ」
メグミは、二重反転プロペラをつけたエンジンの前で言った。
前後で二重になったプロペラが、逆回転して、モーメントを打ち消す形式である。
重くて、機構が複雑になるが、モーメントをピッチなどで調節する必要が無くなるのだ。
「楕円オーバルピストンで、エンジンの回転数が軽く3万回転を越えるのよね」
一気筒8バルブ、楕円オーバルピストン、OHV,V型四気筒水素エンジンだ。
機体後部にクレーンで乗せる。
ボルトとナットで機体に固定した。
「プラグをつけて」
プラグキャップをかぶせる。
「キャブレターに燃料パイプを繋いでっと」
イタリアのアマル製キャブレターである。
「スロットルワイヤーを繋ぐっと」
クランクで始動するから、スターターモーターは装備していない。
最低限のバッテリーで十分である。
「アイドリングだけでもしてみようかな」
いそいそと、フロート部に燃料タンクに少しだけ、海水を入れた。
「メインスイッチオン」
カチッ
操縦席のスイッチを入れた。
「よいしょっと」
機体後部に戻ってきた。
横から、エンジンにクランクを刺した。
ヴヴヴブブブ
全身を使って回す。
バララランッ
「かかったあ」
メグミは、満面の笑みを浮かべた。
少し離れた所で、その笑顔に、”ハート”を射抜かれた男が一人。
空軍の士官の制服を着ていた。
か、可愛い
「ナンバ大尉、キットプレーンですか、珍しいものを作ってますね」
「そ、そうだな」
「評価の試験飛行は、うち(空軍)でやりますよね」
飛ばしていいのかの評価試験がある。
「!! そうだなっ」
ナンバは、評価の試験官を名乗り出ることを胸に誓った。




