主翼部
「次は主翼だ」
メグミが言った。
時間は朝である。
「あれっ、メグミ少尉?」
後ろから声を掛けられた。
振り向くと、二人の女性が立っている。
「オリエ少尉とヒビキ少尉」
「新人研修は、お世話になりました」
日本海軍に入隊して半年。
新人研修の時に、同じ班になったのだ。
「え、ええ、こちらこそ」
「それで、なにをしているの」
オリエが、きょろきょろと周りを見回す。
「飛行艇、作ってますっ」
メグミが元気に答えた。
「んっ、”蓮月スーパーエイト”、海軍が販売してる」
ヒビキだ。
「そ、そう、頑張ってね」
オリエが少し引き気味に言った。
二人は私服だ。
街に遊びに行くらしい。
「行ってらっしゃい」
メグミが答えた。
「さて」
クレーンだ。
左右に分かれた主翼を繋ぎ、フロートの上に乗せる。
ボルトで固定した。
翼の端に支えの台をひく。
「フラップに……」
取説を片手に、
「操作用のワイヤーっと」
組み立てていく。
「次は、垂直尾翼だあ」
左右の翼の真ん中くらいについている。
「ラダーをつけて」
「あなた、まだやってたの?」
「んっ」
「あっ」
もう夕方になっている。
夢中になって、昼ごはんも食べていない。
「くすっ、仕方ないわねえ」
オリエが少し笑った。
◆
”ホッカモット亭”
日本軍が、日本食の保存を目的に経営している、弁当屋チェーン。
量も多くて値段も手ごろ。
チキン南蛮が美味しい。
過去にあった弁当屋とは無関係である。
◆
「はいっ」
「チキン南蛮でよかった?」
オリエが弁当を、買って来てくれた。
「大好きっ、ありがとう」
「ふふっ、どういたしまして」
作りかけの飛行艇の横で、三人が仲良く食べた。
「今度一緒に飲みに行きましょう」
「うんっ」
メグミ、オリエ、ヒビキの出会いであった。
メグミさん、日本海軍に入りたて。




