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[画像付き] 気象観測員『メグミさん』。 地表のほとんどが海に沈んだ近未来の地球で、日々がんばってます。  作者: トウフキヌゴシ
第三章

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第85話、大祓詞

 アナスタシアは、エルキャックに向かって海上を飛んだ。

「はい、邪魔っ」


 バカンッ、バカンッ


 脇のホルスターから、”トカレフ、454、ビューティー・アンド・ザ・ビースト”を取り出した。

 近づいてくるメガシャークの目を狙って打つ。

「ちょっとお邪魔するよー」


 チャカチャカチャカ


 ”ウエアウルフ”をエアバイクモードから、機動甲冑パワードスーツモードの切り替える。

 アナスタシアは、ウエアウルフを纏った。

 エルキャックの後部甲板に降り立つ。

 右手には、対メガシャーク用、ロケットバズーカ。

 左手には、M65、ガトリングガン。


「ふふふっ、イイッツ、パアレードオオッ」

 目の前の海面を黒く盛り上げながら、近づいてくるメガシャークを見ながら、片頬だけで獰猛に笑う。

 BGMは、クロネズミマーチだ。


 バウウウウウウウウ


 海上にオレンジ色のミシン目を描くように、M65、ガトリングガンが火を吹いた。 



「”満月”回収完了、二人とも無事です」


「よしっ、”吞竜”全速前進」

「メガシャークとエルキャックの間に入るぞ」

 流石にメガシャークの歯でも、潜水空母の装甲を抜くことはない。

 体当たりはまずいかもしれないが。


 ”呑竜”の甲板にネプチューンとコンゴウリキシ二機が出た。

 三機は、自分の倍くらいの長さのある大砲を抱えている。

 対メガシャーク用、狙撃砲”ピラルクー”を、ネプチューンで打てるように改造したのだ。


「ネプチューンは、リコイルを殺すことだけ考えてくれ」

「狙いは、砲身を支えてる、コンゴウリキシがつけるんだ」

 整備長であるオリエが、ネプチューンとコンゴウリキシに指示を出した。 

 ネプチューンの身長の倍の長さがあるので、砲身を二機のコンゴウリキシが支えることになる。


「おうっ」

「まかせろっ」

 コンゴウリキシのセキトリ、キバとウエダが気合を入れる。



『高天原に神留り坐す皇親神漏岐・神漏美の命似て、』



大祓詞おおはらへのことばっ」

 ササギがネプチューンのカメラを向ける。


 甲板の一段上にある外部指揮所。

 そこに、子猫を抱えた、白と赤の巫女装束の女性が立っている。

 全周波無線で、”お松大権現”に『安全祈願』を奏上しているのだ。


「ミヤビさんっ」

 ネプチューンのモニター越しに目が合った。

 ミヤビが薄く笑った。

 ササギが、うなづいた。



『八百万神等を神 バッカアアアアアン へ賜えひ、神議り賜ひて、』 



 ササギたちは、メガシャークに向けてピラルクーを撃った。



「一番機、残弾、0」


「二番機、焼夷弾だけ~」


「三番機、これで終わりだ」

 最後の魚雷を放つ。


 残っているメガシャークは、5体。

 5体とも一回り体が大きく、全身傷だらけである。

 長年生き残ってきた猛者のようだ。


 バッカアアアアアン 


 ”呑竜”からの狙撃だ。

 メガシャークは着弾の瞬間、体を斜めにして砲弾を弾いた。


「なっ、慣れてやがる」 


 一瞬のスキをついて一体が突進。


 バシュウウウウ


 エルキャックのバルーン部分にかじりついた。

「まずいっ」


「バルーンがヤラレタ、ワレ、コウコウ不能、ワレ、コウコウ不能」

 エルキャックが移動不能になった。


「”呑竜”、かじりついてるメガシャークにラムアタックッ」



 ”呑竜の艦首に装備されたラムエッジ”


 ”呑竜”の艦首下部には体当たり(ラムアタック)用のラムエッジが装備されている。

 古くは、旧日本海軍旗艦、戦艦”三笠”。

 戦艦”三笠”を参考に造られた、帆柱搭載型弩級戦艦、”文福茶釜”にも装備されている。

 弾尽き、刃が折れたあとの最後の武器である。



「命中する、全艦、対ショック姿勢っ」


 メガシャークは、当たる瞬間エルキャックから口を離し、するりと逃げて行った。


「まずいな」


 5体のメガシャークは、移動できないエルキャックを中心に、円を描くように周りを泳いでいる。

 身動きが取れなくなった。


「こちら三番機、燃料(海水)が乏しい」

「一旦帰投する」

 双発の”シーキャット弐”は燃費が悪く大食らいである。

 ”シーキャット弐”が”吞竜”に向かって高度を下げ始めた。


「……だめっ」

 ミヤビが声を出す。

  

「うわっ」

 ”シーキャット弐”にメガシャークが飛び掛かってきた。

 ギリギリかわす。


「シーキャット弐、残り飛行時間は」


「ギリギリ20分っ」

 まずいことになった。


 その時ミヤビは、上空に白と赤に塗り分けられた戦闘飛行艇が、飛んでいることに気づいた。


 ミヤビは周りに気付かせるように、大きく指をさした。



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