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[画像付き] 気象観測員『メグミさん』。 地表のほとんどが海に沈んだ近未来の地球で、日々がんばってます。  作者: トウフキヌゴシ
第三章

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第83話、狙撃

 ”呑竜”は、メガシャークに襲われているアメリカ軍のエルキャック揚陸艇から救難信号を受けた。

 救助のために、全艦載機がスクランブル発進する。


「三番機シーキャット弐、イノダ、コメダ、出るぞっ」

 可変翼を全開にした、フル武装の”シーキャット弐”が発進した後、"呑竜”は潜航する。

 ”スーパーキャビテーション航法”に移るためだ。

 ”電磁電導推進装置(キャタピラー)”と組み合わせると、海中で約時速100メートル出せる。

 艦首付近から出る大量の泡に包まれながら、”吞竜”は海中を疾走する。


 上空を、フル武装の、”水無月、H型”と”シーキャット弐”が編隊を組んで飛行中だ。

「こちら、二番機、メグミです。 ピラルクー(対メガシャーク用、大口径狙撃砲)の射程距離に入りました」

「狙撃します。 射線に入らないで」


「一番機、了解、先行する」

「三番機、了解、撃てるのかい?」

 二番機は、機体と同じくらいの長さの、狙撃砲を、()()()()()()

 腕がないと砲撃後のリコイルで、墜落の危険もある。


「「師匠なら、大丈夫っ」」

 イナバとヒイラギだ。


「ふふっ、三番機、先行する」

 若い二人の声に思わず笑いがこぼれた。

 二番機を残して、一番機と三番機が高度を上げ加速した。


「ヒイラギは着弾点の測距をお願い」


「了解ですっ」


 ガコン


 ピラルクーの薬室に、砲弾が装填される音がする。

 メグミは機体を安定させ、狙撃砲の照準器と同期した双眼鏡を覗いた。


「なああっっ」

 巨大なサメが、大きな口を開けて、丸くて白い機体”満月”に垂直に飛び掛かっているのが見えた。


 

 ”メガシャーク”


 成長促進剤”ソダーツX”により巨大化したサメ。

 タイタンホエールほどではないが、知能が高く群れを作る。

 普通のサメと同じように、血の匂いを嗅ぐと狂乱状態になる。

 海上で最も警戒しなければならない、最強のハンターだ。

 


「音響爆雷が切れた」

 オリエがつぶやく。

 エルキャックと、メガシャークの距離が少し離れた。

 少しは時間稼ぎが出来たようだ。 


「オリエッ、今、”呑竜”から全機上がった」

 ヒビキが、位置情報を発進し続けている。


「そう」

 機体を傾け、左に旋回しようとした瞬間、海が黒く盛り上がった。


 ドッパ―――ン


 巨大なサメが、大きな口を開けて飛びあがってきた。

 三角の鋭い歯がむき出しになっている。


「うわあああああ」

 オリエとヒビキが叫ぶ。


 パアアアン


 機体が丸く齧られようとする瞬間、オレンジ色に輝く砲弾が、サメの頭の半分を弾き飛ばした。


 ガツッ、バキッ


 下あごの歯が少し当たる。

 左翼端が少し削られた。

 左エンジンから黒い煙が出る。


「”満月”損傷しました、離脱します」


「離脱を許可、逃げてくれっ」

 ふらふらと離れていく。



 メグミは、ピラルクーの照準を、操縦桿と両足のペダルを操って必死に合わせる。

 双眼鏡には、着弾予想地点が白い点で表示されていた。

 今にも、巨大サメの口が閉じそうだ。

 

「間に合えええええ」

 絞り込むように引き金を引いた。


 バカアアアアアアン


 オレンジ色の塊が、サメの顔に飛んでいく。

 顔の前半分が消えてなくなった。

 下の歯が、機体をかする。


「”満月”損傷しました、離脱します」

 オリエの声が、無線から聞こえてきた。


「オリエッ、ヒビキッ」

 メグミは、唇の端をかみしめた。


「ヒット」

「ヒット」

「ヒット」

「ヒット」

 ピラルクーの装弾数は5発。

 メグミは、”満月”の進行方向にいるサメを優先的に、狙撃する。


 その後、ピラルクーをパージ、先行した機体を追いかけた。


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