第82話、メガシャーク
しばらく前に、”吞竜”は『サクラジマ・ジオパーク』を出港している。
先行観測に、レドーム装備の水空両用飛行艇、『満月』が出ている。
オリエ中尉とヒビキ中尉が搭乗していた。
青空と白い雲を背景に、二重の白くて丸い機体が飛んでいる。
「そろそろ、着水させようか」
オリエ中尉が、高度を下げようと、操縦桿を押す。
「ん、良いと思う」
ヒビキが、”呑竜”との距離を地図で確認した。
沖縄のアメリカ軍基地の、警戒領域が近い。
「Mayday,Mayday, We are Being attacked by mega・sharks, now!!」
「help!!」
広域無線で救難信号をキャッチした。
「ヒビキッ」
「了解」
オリエは即座に『満月』の高度を上げる。
ヒビキが、レドームを使って無線の発信地を逆探知。
「こちら日本軍です。 そちらに向かいます」
オリエが、逆探知した方向に機体を飛ばす。
「救難信号をキャッチ、救助に向かいます」
「メガシャークに襲われている様子」
ヒビキが”吞竜”に報せる。
「こちら”呑竜”そちらに向かう、気を付けてっ」
現場に急行すると、アメリカ軍の大型のエルキャックホバー揚陸艇が、メガシャークの群れに襲われていた。
◆
”LCAC-5級エア・クッション型大型ホバー揚陸艇”
通称、エルキャック揚陸艇。
M-7エイブラムス飛行主力戦車(FMBT)を、4車搭載可能な大型揚陸艇。
アメリカには、まだまだ土地が残っているので、揚陸艇の活躍の機会も多い。
現在、東アジアで、大地が残っているのは日本だけである。
この状況で、沖縄にアメリカ陸軍と大型エルキャックが配備されている意図は、全く明かされていない。
◆
呑竜の半分くらいの大きさのサメが複数群れている。
ドンドンドンドン
エルキャックに装備されている、火器が火を放つ。
「なっ」
「エルキャック発砲、なんてことを」
メガシャークの群れに半端な火力は厳禁である。
傷ついた仲間の血に狂乱状態になるからだ。
遠距離からの大口径、艦砲射撃が最も有効である。
「メガシャーク、数20、いや18、うう、共食いしてるっ」
ヒイラギが観測している。
傷ついた仲間に複数のサメがかじりついていた。
辺りは血の海だ。
「だめっ、こうなったら、電磁麻酔弾なんか効かない」
皆殺しにするしかない
「そこの、エルキャック」
”吞竜”の方向を言いながら
「そちらに逃げてっ」
「thank you, アリガト、アリガト」
ドドドーーン
オリエは、エルキャックとメガシャークの間に、ありったけの音響爆雷を投下した。
◆
「救難信号キャッチ、アメリカ軍のエルキャックがメガシャークに襲われている模様」
「全機、”殺傷”装備でスクランブル発進」
「なお、メガシャークは18、狂乱状態の模様」
「全機発進後、潜水、高速巡行に入る」
ブリッジの灯が赤く変わる。
電磁カタパルトで、二番機が打ち上げられる。
メグミたちが乗っている一番機が、下の格納庫から上部甲板にエレベーターで上がってきた。
「機関砲、徹甲弾、及び焼夷弾」
「チェック」
「通常魚雷2、クラスター魚雷2」
「チェック」
「対メガシャーク用、大口径狙撃砲”ピラルクー”」
「チェック」
ヒイラギが読み上げ、メグミがチェックする。
エレベーターが上がりきった。
カタパルトまで前進する。
「カタパルト接続よし」
ヒイラギが操縦桿を操作し、パイロンやエレベーターの稼働をチェックする。
メグミが。キャノピーを閉じた。
「一番機、メグミ、ヒイラギ機、発進準備完了」
機体の後ろに、ジェット炎よけの壁が床から起き上がる。
「……メグミッ、気を付けて」
ナンバだ。
「……了解っ、上げてください」
キイイイン
高周波ノイズを出しながら、電磁カタパルトが作動。
フル武装の、”水無月、H型”が大空に舞い上がった。




