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[画像付き] 気象観測員『メグミさん』。 地表のほとんどが海に沈んだ近未来の地球で、日々がんばってます。  作者: トウフキヌゴシ
第三章

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第81話、ファーム

 ”吞竜”は、九州沖に移動してきた。


「もう少し進むと”自由アメリカ同盟”の支配地域になるな」

ナンバが、上部甲板で双眼鏡を覗いている。


 沖縄は、”自由アメリカ同盟、極東方面派遣艦隊、空母打撃群”が大戦前から駐屯し実効支配していた。

 ”自由アメリカ同盟”は現在、鎖国している。

 近づくと攻撃してくるので、支配地域を大きく迂回する必要があった。


「今回はここまでかなー」


 遠くの沖に、活火山である、”サクラジマ”が、空に噴煙を上げている。

 周りには、海上に浮かべたプールのような構造物に、火山灰を溜め”農場”としている。

 

 ”サクラジマ・ジオパーク”である。



 ”サクラジマ・ジオパーク”


 現在、サクラジマは山頂部の一部を除いて水没している。

 火山活動は続いており、火山灰は周りに降り注いでいた。

 その火山灰を、プールのような海上構造物で受けとめ、農場を作っていた。

 魚を肥料にして土壌改良を行っている。

 魚の体内の”ソダーツX”が植物にどのような影響を与えるかはまだ分からない。



「少し寄るか」

 ”サクラジマ・ジオパーク”は人工物であるため、上陸はしやすい。


「ブリッジ、”サクラジマ・ジオパーク”に上陸許可を申請してくれ」

「出たら、上陸しよう」

 無線に言った。


「了解、聞いてみます」

 ……

「許可出ました」


「分かった、艦を”サクラジマ・ジオパーク”に向けてくれ」

 ナンバが、ブリッジに帰った。


「全艦に告げる、”サクラジマ・ジオパーク”に上陸許可が得た」

「明日は一日滞在する予定である」

「明日一日を、”全休暇”とする」

 長い航海である。

 休暇は取れるときに取るのが基本だ。 



 サクラジマを中心に、緑の人工大地が広がっている。

 周りの人工海岸の一部に、マングローブ林が作られていた。

 その奥に、砂地に生える、スイカ、ごぼう、菜っ葉類、大根などが植えられている。


 特に、バランスボールくらいの大きさになる、”サクラジマ・大根”は有名である。

 ソダーツXの影響はまぬがれないようだ。  


 午前中”吞竜”の乗組員たちは、野菜収穫体験や野菜バイキングなどを楽しんだ。


 午後から人工ビーチに来ている。


「タイチロウ、塗ってくれる」

 メグミは、仰向けに寝ている。

 上のビキニのひもを外していた。


「分かった」

 ナンバは、とても大事なものに触れるように、”サンイーター・パーフェクト”をメグミの背中に塗った。 

 少し離れた所で、ビーチバレーをしている者もいる。


「ミイ」

 ミヤビが、水着姿のササギの横に座り、無言で彼の膝にコネコを置く。

 オオネコは自分の膝の上だ。 

 赤と白の巫女仕様の水着を着ている。

 

「え~と、巫女さん?」

 ササギが、周りを見回した。

 周りに、そこそこ人はいる。


「…………」

 ふるふるとミヤビが、首を横に振る。


「……ミヤビさん?」


「ん」

 首を立てに振った。


 子猫は、胡坐をかいた足の上で眠ってしまった。


 自分は、ミヤビさんに口説かれて……いるのだろうか……?


 片目の黒い眼帯をずらす。

 ミヤビの表情を盗み見ても、さっぱりわからなかった。



「スイカ割り、一回、十万円は高くな~い!?」

 どこか遠くの方から大声が聞こえてくる。


 ”サクラジマ・大根”と同じように、スイカもバランスボールくらいの大きさをしている。


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