第80話、88
高知沖、約三カ月前にスーパーハリケーンが発生した場所まで来た。
海上、海中、三次元ソナー、艦船用ソナー、全てを使って調査する。
「艦長、これは……」
艦船用ソナーに、巨大な人型が現れる。
海中だ。
「艦をゆっくり近づけろ」
近づいた。
「外部モニターに映せ」
巨大な投光器に照らされた巨大な人型が映る。
「これはっ、青銅巨人『サカモト・リョーマ―』」
「ここはもと高知の桂浜か」
一部の亜細亜の国と、ソレントが結託して攻めてきた『ヨサコイ湾沖上陸戦』
この亜細亜の国は、後にソレントに吐いていた真っ赤な嘘がばれ、結果的に”エイプリルフール”を世界中に撒くという、皮肉な結果に終わるのだ。
その時、四国の東側の尖った所、室戸岬の青銅巨人『ナカオカ・シンタロー』と眼球部に装備された、高出力レーザーで艦隊を焼き払ったのだ。
西側の尖った所は、足摺岬だぜ。
大異変で水没してから、活動は停止している。
主武装が高出力レーザーのため、二体が向かい合っているという説は否定されていた。
「これはこれで、大発見だな」
近代史に関わることだ。
一日近く調査した後、結局レインメーカーに関することは出てこなかった。
三時くらいだ。
メグミとナンバが、甲板で並んでいる。
「何も出なかったね~」
「まあ。三カ月以上前のことだしね」
スーパーハリケーンのことである。
「九州沖くらいまで、調査に行くんでしょう」
「そうだよ」
命令が出ている。
「ん?」
「あれって『お札所』~」
ヨサコイ湾沖の上空を、巨大な直方体をした病院飛行艦が飛んでいる。
「病院飛行艦、『サイゴサキ』かな」
◆
『四国医療霊場、88カ所』
現在、
神社群は、安全。
クリスティアニティは、社会生活。
ブッティズムは、医療、を護っている。
『ヨサコイ湾沖上陸戦』の後、敵味方問わず多数の死傷者が出た。
そのときに、88カ所はそれぞれの札所が高度な医療を有した施設のネットワークとして生まれ変わった。
『四国医療霊場、88カ所』である。
1番札所から、88番札所、最後には、『蓮の花型医療用移動要塞、コーヤサーン』に診療すると、治らない病気はないと言われる。
さらに、『泳ぎ遍路』(×歩き遍路)をすると、(筋肉が)あふれるような健康な体を得られると言われている。
ちなみに、現在の遍路道は、ほぼ海の底だ。
◆
「逆うち(88番から逆に回ること)すると、義体(サイボーグの体)が得られるんだって」
ナンバが笑う。
「本当~」
メグミも笑った。
……事実である。
夕暮れだ。
赤い夕陽の中に黒いシルエットが浮かぶ。
甲板である。
男は、『サイゴサキ』を懐かしそうに見つめた。
「……泳ぎ遍路か……」
……若気の至り……だな
男は、片頬だけを歪めてニヒルに笑う。
イワオのようなシルエットだった。
「キャッ、キャア」
「スッ、スッ、ステキ~~ッッ」
ある美女が、後ろからその漢の背中を見つめていた。
フランソワーズは、その漢の部屋に、1番から88番そしてコーヤサーンの全ての、『御朱印』が押された掛け軸が掛けられていることを知っている。




