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[画像付き] 気象観測員『メグミさん』。 地表のほとんどが海に沈んだ近未来の地球で、日々がんばってます。  作者: トウフキヌゴシ
第二章

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第71話、ツーリング

「ツーリングに行こう」

 ユタカが言った。

 二人の休日を邪魔したことに対する、補償だという。

「良いところがあるんだよ~」


「え~と」

 ナンバは、エアバイクに乗れない。


「ふふ、メグミの後ろに乗ればいいんだよ~」

 俗にいう、”タンデム”というやつだ。

 基本、体は密着する。


「……ナンバ君が良ければ……」

 想像したのだろう、少し顔が赤い。


「うん、メグミさんが良ければ……」

 ナンバも顔を赤めた。


 甘っっ

 ユタカが二人を、ニヤニヤしながら見ている。


「……ユタカさんも、エアバイクに乗られるんですね?」


「乗るよ~」


「私は、エアバイクを姉さんに教わったのよ~」


 ガレージに移動する。


 銀色の、エアモトグッチ1100sの横に赤いエアバイクが停まっている。


「エアドゥカティMHRミッレだよ~」



 ”エアドゥカティMHRマイクへイルウッド・レプリカミッレ”


 大戦前に生産された、クラッシックエアバイク。

 横起き90度、Lツイン酸素水素分離型エンジン。

 エンジンの燃焼室のバルブ(蓋)を、ばねを使わず機械式で開閉する、デスモドローミック機構。

 シリンダーヘッドには、開閉させるためのベベルギヤ(傘上の歯車)が独特の造形美を見せる。

 ”ベベル、Lツイン”と呼ばれるものである。

 丸いライトにロケットカウル、赤い(イタリアンレッド)車体に緑の模様が美しい。



「スターターのモーターが、スズキのGSX1100Fのを、プラスマイナス逆にすると乗るんだよ~」

 ユタカが指を指した。


「姉さん、ブレーキのキャリパー変えたの~」


「ブレンボのツーポッドエアブレーキに変えたよ~」

 モディファイは、足回りから固めるのがユタカさんの流儀。 


 二人のエアバイク談義はしばらく続いた。


「ふふ」

 ナンバは、楽しそうに話している姉妹を幸せそうに見ている。


「あ、ごめんね~、二人で盛り上がって~」

「ナンバ君」


「いえ、楽しいですよ」

「ユタカさんに、メグミ……さん」

「……メグミさん」

 ナンバが少し視線を逸らす。


「な~に~」


「メグミと呼び捨てにしてもいいだろうか?」

 顔が赤い。


「!?、はい」

 メグミが、ボッと赤くなる。

「タイチロウと呼んでもいい?」

 消え入るような声だ。


「うん」


 あ、甘あああ

 ユタカは、気を利かして背中を向けている。


 流石にこの三人では気まずいと思ったのか、ツーリングには、アナスタシアとオリエを誘うことにした。

 ヒビキは、ウエタと旅行中である。

 全員、エアバイク乗りだ。


「邪魔にならない?」

 オリエが電話で聞いて来た。


「姉さんと一緒で、逆に気まずいかも~」


「ふふ、分かったわ」

 

「いいよっ、暇してるからね」

 アナスタシアは、二つ返事で了承した。


 二人とも参加することになった。

 出発は、二日後早朝。

 一旦、ナンバは、寮に帰った。

 待ち合わせ場所は、イズモ参りの時と同じ、桟橋である。




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