表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[画像付き] 気象観測員『メグミさん』。 地表のほとんどが海に沈んだ近未来の地球で、日々がんばってます。  作者: トウフキヌゴシ
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/96

第71話、朝チュン

 朝だ。

 メグミのレントハウスである。



 ”ジャイアント・スズメ”


 昔のカラスと同じくらいの大きさまで巨大化した、スズメ。

 陸上動物は、自重を支えられなかったり、住む土地の減少で巨大化は無理である。

 しかし、鳥類、特に魚を食べることが出来る種類は、体を巨大化させ逞しく生き延びている。

 本来スズメは、雑食性だが強引に魚を取って食べているようだ。

 魚の体内に残るソダーツXの影響で、体が巨大化しているのがその証拠である。



 チュン、チュン、チチチチチチ


 窓の外から聞こえる、スズメの鳴き声で目が覚めた。

 カーテンの隙間から、半分くらい水没した電信柱の上に、二、三羽、巨大なスズメがとまっている。

 鶏の鳴き声くらいの大きさはあるのだが。


「う~ん」

 腕の中で、メグミさんが身じろぎした。


「ふふ」

 起こさないようにそっとベットから出た。 

 顔を洗い、歯を磨いた。

 二つ、歯ブラシが並んだのを見て、昨夜のことを実感した。

 

「夢が叶ったか」

 メグミさんと家飲みをしたのだ。

 頬が緩む。

 さて、朝食の準備でもしようかな

 湯を沸かして、合成コーヒーの用意をする。


「あ、おはよう~」

 メグミさんが起きてきた。

「シャワー浴びてくるよ~」

 少し顔が赤かった。


「後で自分も入るよ」

 朝食の準備を始めた。

 風呂場から、シャワーの音が聞こえてきた。

 そ、想像以上に恥ずかしいなこれは


 ガチャ、ガチャリ


「?」


「メグミ~、あんたいるんでしょ~」

 ドタドタと誰かが玄関から、上がってくる音がする。


「えっ」


「えっ」


 バンッ


 次の瞬間、腕を後ろにねじり上げられた後、足を払われ床にうつぶせに倒されていた。


「誰だっ」

 

 首筋に、サバイバルナイフを当てられる。


「?、!?、?」

「ナ、ナンバだ」

 背中に柔らかいものを二つ感じる。


「ナンバ~~~~」

 不審そうな声。


「ナンバ~~」

 考えているようだ。


「ナンバっ」

 ひらめいたようだ。

 ばっと飛ぶように離れた。

「メグミの彼氏のナンバ君ねっ」

 

 ひねられた腕が痛い。

 起き上がると、メグミさんを少し大人にしたような女性が、ナイフをしまうところだった。


「ど、どうしたの~」

「あっ、ユタカ姉さんっ」

 メグミさんが、バスタオルを巻いて大慌てで出てきた。


「あははは、ごめんねっ」

 ユタカと呼ばれた女性は、あやまりながら頭を下げた。 



 メグミさんがシャワーから上がって来た。

 とりあえず、三人分の朝食を作って食卓に並べる。

 

「あ~、はじめまして、メグミの姉のユタカです~」

 頭をさげる。

 口調が少し似ているな


「メグミさんと、お付き合いさせていただいている、ナンバです」


「いや~さっきはごめんね~、不審者だと思っちゃった~」

 メグミさんとよく似たまなざしで見られる。


「ユタカ姉さん~~~~」

 少し怒った声だ。


「ごめんごめん、あ、そうそう、これで機嫌直して~」

 玄関に置いてあった、クーラーボックスを持ってくる。


「こ、これは」

 中には、トリニクが入っていた。


「ユタカ姉さんは、”日本野鳥の会”の隊員なのよ~」


 ナンバは、バッとユタカの方を振り向いた。

 

 

 ”日本野鳥の会”


 外務省の、特殊部隊。

 本来は、田んぼや畑を荒らす、鳥類を、観察、調査するために作られた。 

 国境に関係なく移動する大型化した渡り鳥などは、沢山の肉が取れる貴重な資源である。

 そのため、獲る量などについて、他国と外務省が話し合い、決められる。

 陸地が極端に減った現在、動物の肉は基本、鳥からしか獲れないのだ。

 最近は鳥類の巨大化が深刻で、田や畑を荒らす野鳥(人も襲う)に対抗するため、装備の重武装化が進んでいる。

 その結果、最も装備の充実した、実戦経験の多い、ウルトラエリート部隊になっていた。



 ナンバは、トリニクの希少さも去ることながら、ユタカが自衛隊で言うところの、豊富な実戦経験のある”レンジャー”部隊の隊員であることに驚いた。

 訓練でウミヘビを生で食べる系の部隊である。


「二人の休日を邪魔しちゃったわね~」

「ふふふ、そうね~、この償いは必ずさせてもらうわ~」


 その日の夕飯は”ヤキトリ”だった。

 ナンバとメグミは、久しく食べてないお肉に、涙を流して食べたという。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ