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[画像付き] 気象観測員『メグミさん』。 地表のほとんどが海に沈んだ近未来の地球で、日々がんばってます。  作者: トウフキヌゴシ
第二章

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第70話、シネマ

 三カ月の休暇に入った。


 メグミとナンバは、二人で映画を見に来ている。

 昔、東京湾を防衛するために、巨大な防御壁が作られた。

 しかし、”大異変”の海水面上昇のために、半分くらいが海上に出ているだけである。

 その出ている部分を、スクリーンにして映画が上映されている。

 メグミとナンバは、”イワオ”をレンタルして、船の上から映画を見るのだ。

 

「アナスタシアさんがチケットをくれたんだよね」

 

「そう、海軍と一緒に制作に協力したんだって~」

 二人は、ドライブスルーのフィッシュバーガーや飲み物を車内に持ち込んでいる。

「あ、はじまるよ」



 パン屋の朝は早い。


『ワトソン君、やはり焼き立てのパンの香りが一番、僕の頭脳を鋭敏にしてくれるよ』


『そうかい、ホムズ。 そろそろ、学校に給食用のパンを納入しに行く時間だよ』


『そうだな』


 チャカ、チャカ、チャカ、チャカ



「あっ、あれだよ~」

 メグミが指をさした。



 小さめの石焼窯を備えたパン工房が、”人型潜水球ネプチューン”に状態変化~(トランスフォ~ム)する。



 ”パン工房変形型、人型潜水球、ネプチューン”

 

 日本海軍と、アナスタシア博士が協力して開発した映画用の機体。

 CG、及び特撮は一切使われておらず、機能も本物である。

 支援用人工知能の、パーソナルネームは”ワトソン”

 映画内で、”ホムズ”の愛機であり良き相棒である。



『さあ、乗ってくれ、ホムズ』

 ネプチューンに変形した”ワトソン”がコックピットを開ける。 


 映画のタイトルは、『ベーカリー街のホムズ』


 このホムズは、ロッキングチェア探偵ならぬ、『パン石焼窯探偵』なのである。

 重要な推理の時は、変形した”ワトソン”でパンを焼くぞっっ。

 普段の職業は、腕のいいパン職人である。

 当然、パイプも吸わなければ、アへ〇なんてもってのほかだ。

 たまに、怪しげなパンを焼いて、()()()()を爆発させるくらいだ。


 ネプチューンH(ホバーユニット装備)型の背中のコンテナにパンを乗せ、学校に移動した。


『あ、おはようございます。帆無図ホムズさん」

 金髪、碧眼、白衣の下はナイスバディな美人である。

 ライバル登場。


『おはよう、ミス、森』

『お父さんの、ぎっくり腰は大丈夫かな?』

 英国紳士な挨拶だ。


 養護教員、モリ亜丁アティ。 

 別名、モリアティー養護教諭(教授×)。

 ホムズのライバルであり、ジアゲ団の首領代行でもある。

 現在、父であり首領である、”源三”がぎっくり腰のため、首領を代行している。

 いつもは、学校保健医の知識を生かして、ジアゲ怪人の改良を行っている。

 たまに、保健室に怪人用の培養槽を並べるが、

『美人には謎が付きものよ』

 と強引に誤魔化している。


『ふふふ、おかげさまで』

 モリアティーは、少し頬を赤く染めてホムズを見る。


『そうですか』

 ホムズは、照れたように顔を背けた。

 正体を知らないまま、お互い気になっているようだ。


『早く付き合えばいいのに~』

 二人の女生徒が、保健室に入ってくる。

 白金しろかね黒川くろかわだ。



「”クジラに乗った魔法少女”の、”シロたん”と”マコたん”だよ~」

 メグミが、ナンバに説明する。

 ”クジラに乗った魔法少女”のシリーズなのだ。



『大人をからかうんじゃありませんっ』

 顔がさらに赤くなった。


 その後、ホムズは、『踊る人形』の謎をパンを焼きながら解いたり、悪徳不動産の背後にジアゲ団がいることを突き止めた。


 シリーズ恒例でもある、ホムズが操るホバーユニット装備の”ワトソン”と、今回はジアゲ用の”ブルドーザー高機動型”との、ハイスピードアクションが繰り広げられる。


 ホムズにつかまって刑務所に入れられたジアゲ怪人は、巨大なクジラに深海に引きずり込まれるように、行方不明になるのだ。


 ちなみに、モリアティー養護教諭は、近い将来”ジアゲ団”を寿退社するらしい。



「面白かったね~」


「うん、しかし」

 隣に泊めてある、緑の迷彩塗装された軍用艇を見ながら

「あれって、軍事関係者だよね」

 ネプチューンの変形シーンで、「すげえ」とか「本物かっ」とか聞こえてきた。


「……ふふふ、イベントの時は、軍事関係者が半分くらい来るらしいよ」

 メグミが笑う。

 エレクトリカルパレードにも参考出品されたこともある。


 今夜ナンバは、メグミのレントハウスに泊まる予定である。

 

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