第55話、ミツクビシステム
アナスタシアは、規定の雇用料と、日本軍の情報データベース、”ミツクビシステム”にレベルAまでアクセスする権利を得た。
「破格の報酬だねえ」
規定の雇用料はともかく、国が管理するデータベースを自由に使えるのは、科学者にとってかなりの報酬になる。
「早速、起動してみよう」
手持ちのタブレットPCを起動し、”ミツクビシステム”にアクセスする。
起動画面には、日本の古い古文書”日本古書事記”に出てくる”ミツクビの竜”を、模した絵が出てきた。
◆
ミツクビの竜
”日本古書事記”に出てくる、三つの頭と二つに尻尾を持つと言われる竜。
腕は翼上になっており、肌や鱗は黄金色に輝く。
地上に降りたち、竹の中に隠れた姫を守るために、月から飛来したとされる。
伝説では、ライバルの”ゴッド・ジ-二アス・ドラゴン”と、今でも地上のどこかで死闘を繰り返しているとされる。
先の大戦末期に、機械で再現しようと言う計画があったが、詳細は知らされていない。
(閲覧には、レベルSの権限が必要である)
◆
「さてと……」
レインメーカー中間報告書
報告者:ヤスコ・サワグチ
一番古い報告が、約50年前に確認されている。
突発的に起こる急激な異常気象、特に”スーパーハリケーン”の中に、艦船の影の目撃証言が上がる。
目撃証言はあるが、あらゆる探査手段に反応がないため、見間違いと処理されてきた。
最近、”旧国会議事堂上部の階層建築を利用した海上軍事基地”の最下層まで、空軍の降下猟兵を潜水させた結果、”レインメーカー計画”の計画書と思われるものを発見。
AIを用いた完全自立型のステルス艦に、ナノマシンを使った、気象兵器を載せる計画と予想された。
17個目となる、ハイパーカーボン製のステルス装甲が、海軍中尉により発見される。
最新の発見者である、海軍中尉も異常気象の中で、艦船の影を見たと証言している。
この海軍中尉も参加した、調査団を編成。
レインメーカー調査作戦を”陽だまり(サニーデイズ)”作戦と呼称。
日本空軍所属、酔鯨級潜水空母、”呑竜”をこの作戦の特務空母に指定した。
先日、日本軍基地を出港したところである。
付属の資料として、不明艦船の目撃場所と当時の付近の気象。
ハイパーカーボン製のステルス装甲の拾得場所を記載した地図を添付する。
「ふ~ん」
地図を見ながら、
(ステルス装甲が作れた時代は、まだ陸地があったんだよな)
何とはなしに、その時代の地図を重ねてみた。
「……その時代の陸地の上は航行してないのか……」
アナスタシアは、レインメーカーに関する重大なことに気付きつつあった。




